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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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1996/2383

親交無き葬式Ⅳ

 翌朝。午式を再び、留守番にするのは気が引けたので、桜の式神を部屋に残していくことにした。


「留守番は任せてください。何かあったら、すぐに連絡しますから」


 丑式が肩に乗れるくらいの大きさになったように、桜自身が小さくなったチビ桜が、手を振って部屋から出ていくのを見送ってくれる。


「丑式。一応、言っておきますが、刺激が強すぎる場合は拙者が止めに入りますからな」

「んもー。午式は少し心配症で過保護なんだな。二人とも立派な大人なんだから、大丈夫なんだな」


 昨夜から勇輝たちに呪殺された死体の観察について、議論を交わしていた二人だが、朝になっても平行線をたどっていた。

 勇輝たちとしては、午式の配慮がありがたいのだが、それで呪いを理解できずに終われば本末転倒。今後、自分たちの身を守るためには、そういったことも避けて通るわけにはいかないのだと覚悟を決めるしかない。

 宿の主である文枝に挨拶をして出ていくと、既に継司が道の脇で佇んで立っていた。腕を組んで目を閉じているが、どこか近づきがたい雰囲気を感じる。

 呪いはじんわりと這い寄ってくる感じがしたが、彼の場合は真逆で鋭い抜き身の刀を突きつけられているような気がした。迂闊に近付いたり話しかけたりしたら、自分が斬られるのではないかという錯覚に陥る。


「おはようなんだな。昨晩はお世話になっただ」

「あぁ、無事に起きてこられましたか。流石は広之様の御息女と言ったところでしょうか」


 継司はじっと桜の顔と勇輝の顔を順番に見つめた後、小さく頷いた。


「顔色も悪くないですし、今日はこのままもう一度検分しに参りましょう。昨晩のは顔合わせみたいなものですから」

「……勇輝殿。この御仁、恐らくかなりの場数を踏んでるようですぞ。得てして、こういう御仁は自分の尺度で物事を計りがちなので、無理な時には自分から言っておいた方が身のためですな」


 勇輝は午式の忠告に小さい声で返事をしておくことにする。昨日の今日で、ある程度は腹を括ることもできていた。どちらかと言うと、桜の方が耐えられるかが心配だった。

 横目で彼女の様子を窺うと、顔の筋肉が強張っていたが、それでも目の光だけは太陽に負けないくらい輝いている。


「夜と昼とでは見るときに何か違いがあるんですか?」

「基本的に見るのは夜です。しかし、あまりにも強い呪いだと、それ自身が一つの障害になって調査の邪魔になります。そのような場合は、呪いの力が薄まる昼にも調査をすることが必要になってきます」


 継司の言うことをそのまま受け取ると、今回の被害者は相当な重さの呪いを受けていることになる。それを初めて呪いを学ぶ人間に予告なく見せた辺り、午式の言う通り、過激な教え方も辞さないようだ。


「――――とは言っても、呪いを眼で見ることができるのは一握りの人間。俺のような奴は、肌で感じて理解するしかないんです。その点、君の場合は何かが見えているようですね。非常に心強い」

「俺、見えてるって言いましたっけ?」

「何度かそういう僧侶とも会ったことがありますから。何となく視線の動きを見てれば、見える人かどうかはわかります。外傷が見えない時は、大抵は顔を最初に見るものです。君の場合は、喉と胸辺りを見た後に視線を逸らしていました」


 ほんの一瞬の視線の動きを読まれていた。その事実に、流石は東雲家から直々に不審死事件を対応する様に言われている一族と思わざるを得ない。


「(多分、この人にガンドを撃ったとしても、視線を読まれて避けられそうだな)」


 高い洞察力は違和感に気付くことだけでなく、戦闘にも十分使われる。むしろ、戦闘においては攻撃するにしろ、防いだり躱したりするにしろ、相手の動きを見極めることが重要になって来る。

 技の東雲と言われる四方位貴族の家臣団であることを考えれば、多くの技のレパートリーがあると同時にそれを見極める目も養われている。そう考えると、その中から開藤家のような逸材が生まれるのは必然だったのかもしれない。

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