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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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1991/2383

亡霊武者Ⅵ

 中も外観と同様に、歴史を感じる木の色を柱や床の板から見ることができた。さらに独特の香りが漂っていて、カビや埃臭さとは別種のものを感じ取れる。


「いらっしゃい。冒険者の御家族さんかね?」

「いえ、言之葉家の使いです。村長の文枝殿でよろしいですかな?」


 午式の視線の先には、白髪を後ろで団子に結い、かんざしを挿した老婆が立っていた。背は低く、曲がっており、かなりの老齢であることが察せられる。


「いかにも、小鳥遊村の長をさせてもらっている文枝じゃ。遠い所をわざわざお出でくださり、感謝いたします」

「こちらこそ、お出迎え感謝いたしますぞ。さて、早速、村で起きたことを詳しく調べたいのですが、その前に荷物を置かせていただいてもよろしいですかな?」

「あぁ、もちろん。部屋を用意させていただきました。そちらの名簿にお名前を書いたら、どうぞ、こちらへ」


 受付台を示した後、腰の後ろに手を回して、ゆっくりと奥へ進んでいく。勇輝たちは二冊ある内の開かれた台帳に名前を書いた。

 靴を脱いで上がった先は、しっかりと磨き抜かれた廊下が続いており、立ち並ぶ障子は不自然なほどに白い。


「よく、手入れをされているのですね」

「えぇ、村の若いのが暇を持て余しているので、うちだけでなく、各家の清掃などを週に一度手伝ってくれるんじゃ。代わりに菓子を渡してあげると大層喜ぶものでね」


 文枝が案内したのは一階の最も奥にある角部屋であった。八畳ほどの大きさで、勇輝たちには荷物を置いても広々と使える広さに、思わず目を丸くする。


「良いんですか? このような良い部屋を」

「構わないよ。どうせ、まだこの時期は人が多く通らない。それに部屋も使わずにしておくと痛むから、むしろ使ってくれた方が、こちらとしても有り難いんじゃ」


 文枝は全員が入るのを見届けて、出入り口である障子のところへと立つ。


「申し訳ありませんが、食事は用意できません。必要ならば向かいの食事処を使ってやってくださいな」

「ありがとうございます。何か他に気を付けることは?」

「いえ、部屋を傷つけなければ、大丈夫じゃ。何かあったら、入口のこちらとは別の奥の方におりますので、声をかけてくださいな」


 文枝は頭を下げると、戸を閉めて出て行った。


「ふむ、誰でも侵入できるのは少し心配なんだな。荷物に貴重品は無いとはいえ、置いておくのは必要最小限に抑えておいた方が安心だな」

「そうだな。私は盗られても替えが利くけど、使い慣れた物だから心配かも。勇輝さんは?」


 桜はお札を作るための毛筆や硯などを入れた物を抱えて悩んでいた。

 対して勇輝は緊急時の煙玉や食料などの冒険者グッズしか持ってきていない。あったらあったで困ることはないが、村の中ではそこまで必要にはならないはずだ。


「俺は村の中で補充が利くから置いていくよ」


 勇輝は腰のベルトに付けていたポーチを取り外していく。それを見ていた桜は、一瞬悩んだ後、部屋に置いていくことにしたようであった。


「午式かおらのどちらかが残っていれば問題はないだよ」

「ひひ、あなたが残ってどうするんですか。あなたの役割はここにいるよりも、おっ嬢たちと出歩いて異変を見つけることでしょう。留守番も門番も似たようなもの。ここは拙者にお任せくだされ」


 右手で強く胸を叩き、アピールする午式。イケメンなのに、勇輝は何故かその顔の向こうに馬の顔が見えてしまう。


「確か、お亡くなりになった方の遺体が、まだあるんですよね?」

「そうです。四方位貴族の領地内で不審死が発生した場合は、まず検死を生業としている術士を呼び、その後に荼毘に付します。昔は土葬だったのですが、魔物を呼び寄せることに繋がる為、早くから火葬に切り替えたとか。尤も、火葬できる場所も少ないので、火の術にも長けている術士が来ることが多い。今回は、それに一緒に立ち会うことになっているのです。恐らくですけど、既に一度検死はされているとは思うのですがね」


 人差し指を立てて午式は説明をしてくれた。どうも、今回の事件は勇輝たちだけでなく、四方位貴族の家臣も一緒に調査をすることになるらしい。

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