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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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1980/2384

対応部隊Ⅱ

 翌日、言之葉邸に訪れた勇輝は目を疑った。


「あの、まさかとは思いますけど……午式さんですか?」

「ひひーん。そのまさかでございます。まさか、この拙者も同行できるとは思っておりませんでしたが、いやはや、勇輝殿がいらしてからは良いことばかりおきますなー」


 広之の式神で、主に南側の門の番人を務めているのが、馬の頭をもつ午式。普段は槍を持って、ただ門番を務める彼だが、四方位貴族の南条家の嫡男にして神童と謳われた國明の攻撃を力を抑えた状態でも凌ぎきることのできる実力の持ち主だ。槍だけでなく、二刀流もこなせる生粋の武闘派。

 ただし、本人からすると戦うよりも走る方が好きなのだとか。


「お父さんは動けないけど、式神を何人か連れて行く方が良いって言ってくれたの。まーさんは移動するのに適してるから」


 桜は午式の首を撫でながら微笑むが、勇輝はその最中も午式から目を話せずにいる。何しろ、目の前にいるのは馬だ。普段、見慣れている人の体に首から上が馬という状態ではない。頭から足、いや、尻尾の先まで全て馬。正真正銘、馬そのものが目の前に立っていた。


「おや、そう言えば勇輝殿はこの姿を見るのが初めてでしたな。ひひん、どうですこの素晴らしい疾走形態! そんじょそこらの獣など赤子のように置き去りにして見せましょうぞ」


 栗毛の艶の良い体を震わせて、午式は勇輝を黒曜石のような瞳で見つめる。出会った当初から感じていたことだが、よほど走るのが好きで、己の足に自信があるらしい。

 今回の目的地である村までは午式が乗せてくれるということであったが、同行者はそれだけではない様子。勇輝は、もう一人の見慣れない式神へと視線を移した。


「どーもー、お久しぶりだな。今日はよろしく頼むんだな」


 桜の肩の上にちょこんと乗った式神が一人。頭は牛で、名前は丑式(ちゅうしき)。勇輝は最初にこの屋敷を訪れた時に一度だけ、顔を合わせたことがある。

 その時は、ここまで体は小さくなく、立派な鎧を纏って大柄であったと覚えていた。


「なるほど、桜の式神と同じように、姿形や大きさをある程度変えられるってことか」

「んだんだ。いっつも、あんな格好してたら移動するときに面倒だ。だから、おらみたいにでかいのは、こうやって縮こまってるだよ」


 丑式は鎧のお腹辺りを擦って、頷いた。

 確かに馬ならばかなりの早さで移動できるが、牛となると同じ四足で動く生き物でも雲泥の差だ。丑式を待っていたら、文字通り日が暮れてしまう。


「そう考えると、おっ嬢の式神は便利ですな。一時的ならばともかく、ずっと浮いて移動してるのですから」

「え、浮いて移動するっておかしいことなの?」


 午式の言葉に桜が目を見開く。


「えぇ、式神の依り代を風に飛ばして追いかけるとかは主も使っていますが、人の形に変化したままとなると、なかなか難しいでしょう。そもそも、人は飛べませんから」

「んだ。だから、おらたちでもしっかり空を飛べるのは辰式(たつしき)酉式(ゆうしき)くらいだー」


 主が別に術式を付与すれば、その限りではない、と丑式は付け加えた上で告げた。

 桜は首を捻りながらも自身の分身である小さな式神、通称「チビ桜」を召喚して飛び回らせるが、何故飛べているのかを自身でも理解していないようだ。


「あれじゃないかな? 妖精庭園で飛ばしてもらった感覚があるから、それで何となくできちゃったとか。ソフィちゃんの使ってた妖精擬きも宙を浮いてたし」

「そうか。水魔法の制御の感覚で浮かしているのと同じかも」


 日ノ本国の技術にファンメル王国の技術を組み合わせる。それは桜が留学をして、努力をしていたからこそ身に着けることができたものだ。


「ひひん。子はいつか親を超えるものですが、うかうかしていると主も危ういかもしれませんな」


 地面を軽く足で掻きながら午式は笑った。

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