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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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1978/2384

命短しⅦ

 あらゆる視点や側面から物事を考える。数学を得意としている勇輝だったが、こういう場面でこそ、それを活かさなければならないのではないか、と反省をした。


「では、その村への出発は?」

「明朝を予定しています。二人だけでなく、私の式神も何人か同行しますので、ご安心を」


 勇輝の視線が卯式へと移ると、当然とばかりに彼女は胸を張った。

 広之の言葉から、卯式以外も来ると想像できるが、誰なのかは全く推測できない。可能性があるとするならば、比較的姿を現す子式と午式なのだが、午式に関しては門番の役目があるので難しいだろう。

 あと一人、巳式もあり得そうなのだが、勇輝はその考えを振り払った。


「(あの人が来たら、調査とかしている場合じゃなくなりそうだな)」


 蛇頭の式神である巳式は、いわゆる戦闘狂に近い性格だ。他の式神曰く、「あれでも丸くなった方である」とのこと。勇輝からすれば、それでも十分、脅威以外の何者でもないので可能ならば今回の同行者候補には入っていてほしくなかった。


「ふふふ、では、他の同行する式神は当日のお楽しみということで」


 広之は意地悪そうな笑みを僅かに覗かせて、立ち上がった。


「因みに、一つだけ忠告を。例え親しい仲であろうとも警戒することを怠ってはいけませんよ。先程から私が軽く呪いを掛けていたことに気付いていないようですので」

「えっ!?」


 勇輝は慌てて左右を見回したり、自分の体や顔を触ってどこか怪我がないかを確認する。もちろん、痛みも傷もなく、違和感はどこにも感じない。

 即座に魔眼を開くと足元から黒い靄のような物が触手のように勇輝の体に巻き付こうとしていた。


「妻に結界の性質を少し診てもらっていたのですが、どうやら、君の結界にも抜け穴があるようですね。周囲に円筒状に発生しているようですが、上空と地中からの侵入に脆弱性があるかと」


 勇輝の結界は、ただの二重の円を自分の場所に合わせて地面に存在するものと定めた契約が、どういう訳か契約の女神に受け入れられてしまったことで発生している。

 ただし、本来は地面に描く円が勇輝の場合は、重心から真下に行ったときに地面と触れた場所が起点となる為、空中に概念的に存在している形となっていた。そして、基本的に円の魔法陣の効力は描いた場所から上に大きく力を発揮する。


「あちらの国の魔法陣の源流は、召喚用の術式が元になっていると聞きました。魔なる者を呼び出し、使役する。その契約を結ぶまで、その魔法陣から召喚された存在が出てこれないようにするためだとか」


 それ故に描かれた魔法陣が円筒の底で、そこより上に効果を発揮する。逆に言えば、そこより下には効果を発揮しにくいし、他人が魔力を展開することも可能だ。


「私なら桜の使う岩の槍を足元から突き上げるように使うでしょう。恐らく、炎や岩を放つ魔法よりも効率的に破壊できます」


 勇輝はその光景を想像して、体感温度が数度下がった。何せ、そんなものが結界を貫通してきたら、どう考えても当たる場所は一つしかない。

 桜が首を傾げる横で、微笑む広之と卯式。どうやら、勇輝の想像していることがわかっているらしい。


「後は桜から聞いた『音を媒介にする催眠系の術』でしたね。恐らく、五感に作用する物は一通り気を付けておいた方が良いでしょう」


 既に勇輝が経験したものには、心刀の材料にかけられた呪いが視覚系と蓮華帝国の貴族である大龍が用いた暗示をかける聴覚系である。残るは味覚、嗅覚、触覚だ。

 そうなると警戒するには、味覚の場合は食べ物や飲み物。嗅覚の場合は香水や匂い袋。触覚の場合は生物は勿論、人が触れやすそうな場所や物ということになる。


「今回の事件が、どの系統の呪いかはわかりかねますが、常に注意を怠らないという修行だと思って頑張ってください。では、明日は陽が完全に昇ったら出発ということで、よろしくお願いします」


 広之はそう告げると、勇輝と桜を残して、卯式と共に去って行った。

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