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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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解決Ⅴ

 一方、報告を終えた國明は、用意された部屋へと戻ろうとしていた。

 角を曲がり、自室への入り口の前に誰かが立っていることに気付き、わずかに目を細める。服装の紅白の色から即座に巫女であるということは判別できたが、誰もが似たような服や髪形をしている為、遠目では誰か判別もできない。

 怪しみながらも、それを表情に出さないように近づいていくと、相手も國明に気付いたようで少しばかり体の向きを変えた。


「何だ。何か用か?」


 ぶっきら棒に國明は言い放つ。

 襖の前で待っていたのは光子だった。既に報告は終えており、今回の作戦における巫女と武士との合同チームも解散されている。その為、彼女が國明に会いに来る理由が見当たらなかった。


「今回の任務について、一つ確認しておきたいことがありましたので」

「一応、作戦の指揮を執ったのは俺だ。答える義務があるのは当然だな。で、内容は?」


 國明は殊勝な心掛けだと感心しつつ、光子の質問を待つ。

 今回の作戦には幾つも穴があり、結果的に上手く行った部分が多かったが、國明から見て、上手く行ったとは言えないものであった。

 これから南条家を動かしていく者として、受けるべき批難は受け止めるべきであり、改善していくことが必要不可欠。その点、光子は巫女としての能力や評価も高く、光雲の娘と言うこともあり大局的な視点や客観的な視点で物事を見れると國明は考えていた。


「何故、そこまでして巫女を毛嫌いするのですか?」

「――――はぁ?」


 想定していない質問に國明は、たっぷり間を開けて返答を考えたが、それでも出てきた言葉は戸惑いと疑問を混ぜ合わせたものであった。


「失礼しました。語弊がありますね。巫女との共同戦線に否定的な意見をお持ちの理由を伺いたいのです」

「何だ、そんなことか」


 今回の異変を解決するために光雲から話を聞かされた時、巫女を連れて行けと言われて、怒りを露にした。そのことを言っているのだと國明は理解する。


「簡単だ。巫女など戦闘では足手纏いにしかならない。今回は偶然ではあるが、捕獲作戦という特異な状況であったために活躍する場があった。しかし、相手を捕獲でも封印でもなく、討伐するというのならば無駄以外の何者でもない」

「巫女の結界は様々な効力をもち、拡張性もあります。拠点防衛にこそ向いていますが、それを個々人に適応させれば、あなた方もより安全に戦うことが――――」


 國明は、あまりにも的外れな意見だと鼻で笑う。それが光子の癇に障ったのだろう。眉を吊り上げて、國明を下から睨みつけた。


「何がおかしいのですか? 私たちは国を守る為に――――」

「いや、言っていることは実に立派だ。俺もお前と同じ立場なら同じことを考えただろう」


 だが、と國明は言葉を続ける。


「お前は武士と言う生き物をまるで理解していない。前線に出る者の覚悟を理解していない。それを理解してから、もう一度、出直して来い」


 話は終わった、と言わんばかりに國明は右手で光子に避けるよう示し、襖へと手をかける。その際に、國明は襖を開けかけて、動きを止めた。

 おもむろに懐へと手を入れて、巾着袋を取り出す。さらにその中へと手を突っ込むと、光子の方へと振り返った。


「今回の事件が解決したのはお前の活躍が大きいと言ったな。それならば、これを受け取っておくのも当然の流れだろう」


 握り拳を突き出した國明は、さっさと受け取れとばかりに拳を揺らす。光子は戸惑いながらも両手を差し出すと、國明の拳が開かれた。中から零れ落ちて来たのは緑色の勾玉。久能が國明に別れ際、無理矢理握り込ませた物であった。


「こ、こんな貴重なものを……」

「俺たち南条家の分はある。元から渡されたのは二個だった。要らないというのであれば、巫女長に渡しておくと良い。じゃあな」


 今度こそ話は終わった、と國明は襖をさっと開けて、素早く中へ入り込んだ。呼び止めようと光子が片手を伸ばすが、その時には既に襖は閉じてしまっていた。

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