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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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1968/2383

解決Ⅳ

 勇輝と目が合った光雲は、立ち上がると勇輝に歩み寄った。


「任務ご苦労。姫様も不安が消えて安心していた。感謝する」

「いえ、自分に出来ることをしたまでです。でも、一番の活躍は彭侯を封じ込めた光子さんですよ」


 彭侯の能力を理解し、それに対応する結界をその場で張り直すなど巫女の中に何人もいない。光子のやったことは賞賛されてしかるべきである。巫女たちの術の難易度はわからない勇輝であったが、彼女が難しいことをやってのけていたことだけは理解できていた。

 故に、一番の功労者は光子であると勇輝は断言する。


「そう言われると私も鼻が高い。光子に話を聞いても、自分に厳しすぎて課題点や反省点ばかりしか口にしないので、客観的な評価を聞けて助かるよ」


 光雲は微笑むと勇輝の隣に座り、足を崩すように告げた。

 一瞬、戸惑った勇輝であったが、言われた通りに胡坐へと変更すると光雲は一拍置いて話し始めた。


「ファンメル王国との会談は無事に終了した。警戒していたが、特に大きな事件も発生せず、拍子抜けしてしまうほどに平和だった。いや、悪いことではないのだがね」


 勇輝は話を聞いていて表情が強張る。

 自分が城の近くにいる時は城で事件が起こり、城から離れると起こらない。水龍に言われたばかりだが、本当に否が応でも厄介な事件に巻き込まれる体質なのではないかと疑ってしまう。

 もちろん城の外に移動したのは、山で彭侯が暴れていたからなので厳密には違う筈なのだが、どうしても何らかの力が働いているようにしか思えなかった。

 最初にこの世界に来た時には、アニメや漫画の主人公のように活躍したいという気持ちがないわけではなかったが、こうも事件に巻き込まれるとそれはそれで辛くなってくる。肉体的にも精神的にも。


「どうした、急に顔がやつれたように見えるが……」

「その、このところ事件続きで、この先も続くかと思うと体がもつか心配で」

「それは良くないな。依頼している立場で言うのも何だが、たまには休むことも大切だ」


 温泉にでも浸かって息抜きするのもどうだろうか、と提案して来るのだが、生憎と勇輝には日ノ本国の地理的知識はない。訪れたことがある場所であっても、観光気分になれたのはほんの少しであり、そこでもやるべきことに追われてゆっくりする暇などなかった。


「そうか……東雲のところなら、雛森村から比較的近い。ついでに広之の奴も湯治と称して室内から連れ出してやってくれると助かる。あ、いや、そういえば儀を終えたばかりだったか。ここは彼女と二人、夫婦水入らずで――――」

「わー、ちょっと、何を言い出すんですか!?」


 勇輝は慌てて、ポケットの中を確認する。チビ桜は電池が切れた玩具のように眠っており、桜本人との接続は切れているようだ。

 水龍と話す際に少しだけ席を外して欲しいと要求があったので、そのままの状態が続いている。このまま時間が経過すれば、いずれ戻って来るはずだ。


「ははは、初々しいな。確かにあの儀を終えただけでは完全な夫婦ではないが、実質的に婚姻関係であるのは間違いない。早く慣れておかねば、彼女を不安にさせる原因になる故、心しておくと良い」

「が、がんばり、ます……」


 別の意味で胃が痛くなる勇輝。

 それを光雲は楽しそうに微笑んで見つめて来る。


「さて、一応、今後のことに伝えておこうと思う。一応、ファンメル王国使節団一行は、準備が整い次第、港へと向かうことになる」

「その時の警護、ですか?」

「それもそうだが、僧正殿が例の洞津で暴れた少女のことを気にしていてな。その様子を確かめた後、雛森村に戻るのはどうかと提案されている。もちろん、君の意向もあると思うので聞いておきたい」


 勇輝としては、僧正同様に気にはなるのだが、雛森村で待つ桜たちも心配ではある。桜と相談した上で決めたいと伝えると、光雲は笑みをいっそう深くして頷いた。

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