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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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1957/2383

封印結界Ⅶ

 落ちていた物を彭侯が飲み込んだと考えるのは安直だが、一番あり得そうなものではある。何せ勇輝の魔眼には印籠と彭侯の放つ光の色は一緒のように見えたからだ。

 ただし、深読みすれば別の考え方もあり得る。彭侯がいることを久能が知っており、わざと印籠を与えた可能性だ。


「とりあえず、あの宿に戻って老人に話を聞く必要があるな。後は……あの雪童子たちを呼んで、他に危険が無いか調べさせろ」


 國明も黒幕であるかどうかは別にして、久能から話を聞くということに関しては必須事項だと認識しているらしい。その傍らで、彭侯以外の危険がないかも含め、國明は警戒をしているようであった。

 すぐに家臣団の一人が巫女見習いたちに呼びかけて、結界の一部を解除させる。トンネルのように穴が開いた場所を潜り、雪童子たちが跳ねながら入って来た。どうにも雪がない所では素早く動くことができないらしい。


「みーつけたー。みーつけたー」

「これ、ずっと追ってたやつ―」


 光子が捉えた彭侯の周囲に集まって、何かの儀式のように跳ねて回る雪童子たち。彭侯はその姿を見ても視線を動かすだけで体を微動だにすることもできずにいた。


「お前たちが心配していたのは、こいつのことだろうが……。これを殺せば解決するのか?」

「うーん。殺さずに元いた所に帰せれば大丈夫じゃないかなー? でも、どこから来たかわからないから無理かなー」


 ねー、と雪童子たちが互いに声を上げて合唱する。

 桜曰「元々は数百年生きた樹齢自体に宿る精霊であるらしく、ここで転々と彷徨い歩いていた時点で、その樹木は何かしらの理由でなくなっているだろう」とのこと。

 それは言い換えると、彭侯の帰るべき場所は既にないということで、殺すしか方法がないことを意味している。


「樹木と共にある間は精霊。樹木が無くなれば、他の樹木を乗っ取ろうとする魔物という扱いか。なかなか、生き辛いものだな。そちらの界隈と言うのも」


 霊的存在のやるせない結末に同情の言葉をかける國明。だが、日ノ本国を守る立場としては、それ故に見逃すという判断はあり得ない。永遠に封印するか、殺すかの選択肢しかないのならば、殺してしまう方がまだマシである。そう思う者はこの場に少なくない数いただろう。


「とりあえず、雪童子たちが大丈夫だというのならば撤収だ。幸い、正午前に片を付けることができた。宿場町に戻り、さっさと海京まで帰るぞ」


 何度も國明や勇輝が確認をしたが、雪童子たちは他に心配することはない、と口を揃えて言う。

 心配事が無くなったのであれば、元々は水姫の護衛として呼ばれていた身だ。いくら水龍に頼まれたことだとはいえ、休んでいる暇はない。疲労と衝撃波の痛みにため息をつきながら、帰るための準備を整える。

 各班の人員確認と被害状況をまとめ、國明が彭侯の見張りの陣の敷き方を指示する。余程信頼をしているのか。無口で光子の護衛をしていた甲冑武者を、再び彭侯の見張りとして付けた。そこには当然、光子も近くにいるからなのだろうが、勇輝は何かしらの考えがあるのかと深読みしてしまう。


「色々と大変だったけど、どうにかなりそうで良かったよ。まぁ、僕はあまり活躍できなかったけど」

「いやいや、港では大活躍だっただろ? それにこいつをあと少しで倒せそうだったじゃないか」


 勇輝がフェイの頑張りを賞賛していると、唐突に彭侯の封じられた結界から声が響いた。詠唱を誰もする必要がないので反射されないとわかっていても、何かされるのではないかとビクついてしまう。


「――――やぁ、久しぶりだね。異装の刀使い。無駄に元気にはしゃいでいるようで結構だ」

「この声……大龍か!?」


 蓮華帝国の貴族である李家の嫡男。いわゆる國明と同じような立ち位置で、かつて勇輝たちに身勝手な理由で危害を加えようと襲って来た男の声であった。

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