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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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1953/2404

封印結界Ⅲ

 見えにくい攻撃に誰もが攻めあぐねているが、勇輝はその中で一歩前に踏み出す。

 自分の周りにある結界が攻撃を防いでくれている今、誰よりも前に出て攻撃を止めさせなければならない。


「(俺に攻撃が集中すれば、その分だけ他の人が動ける。國明もその方が指示を飛ばしやすいだろ!)」


 そう思った時には、勇輝の体が前方へと加速していた。

 当然、彭侯も近づいて来る勇輝に気付き、迎撃を試みる。複数の緑色の光が口から放たれるが、勇輝の目の前で弾け飛んで霧散していく。

 しかし、黄金結界と言われる勇輝の結界も無敵ではない。許容量を超える攻撃が当たれば弱体化もするし、破れることもある。実際、勇輝の腕や腹、足に鈍い痛みが襲ってきていた。しかも、それは回数を増すごとに強くなってきている。


「こっちだ!」


 勇輝の動きが僅かに鈍ったのを見て、フェイが別の方から接近していく。彭侯もその声に釣られ、フェイと勇輝を交互に見ながら攻撃を再開した。

 その途端、勇輝へと集中していた衝撃波が一気に減る。


「これなら、行ける!」


 勇輝が再加速をする中、國明たちも黙って立ってはいなかった。次々に彭侯を取り囲むような位置へと動きながら近づいていく。

 今までとは違い、いくら足元をすり抜けることができていたとはいえ、八方塞がりの状況に彭侯は迂闊に動けないでいるようだった。その場で足踏みをしながら、あらゆる場所に向かって攻撃を放つ。最早、勇輝とフェイに構っている場合ではないといった様子だ。


「後は一刀両断して、再生する前にその体の中にある物を取り出して――――」


 残り数歩という距離まで迫った勇輝だったが、唐突に背筋に悪寒が走った。遅れて、彭侯の口だけでなく、体全体が強い光を帯び始める。

 そこからは考えるよりも先に、身体が体内から魔力を勢い良く放出させていた。

 空気が震え、視界が緑一色に染まる。思わず心刀をもった両手を上げて顔を庇うと全身に強烈な衝撃が走った。


「――――ガッ!?」


 前に進んでいた速度を殺すどころか、完全に押し返されて数メートル後方へ吹き飛ぶ。背中から地面に着地し、次いで大きめの石が脇腹に食い込んだ。

 一瞬、呼吸が完全に止まり、口から涎を出しながら咳き込んでしまう。


「くっ、全包囲に向かって攻撃を放った? 下手に近寄ると危険だ!」


 フェイは辛うじて衝撃波を防げていたのだろう。それでも体勢を崩して、勇輝同様に後方へと吹き飛ばされていた。

 家臣団たちの方は、勇輝たちよりも遠くにいた為か被害は少ないが、足が止まりかけているように見える。横に回避するばかりで、前へと攻めあぐねているのがすぐに伝わって来た。


「こうなったら、衝撃波を放たれる前に近づいてやる」


 先程の身体強化は、継続戦闘のことを考えて、魔力を出し渋っていた。

 しかし、事ここに至っては、そんな後先考えたやり方ではジリ貧になり、敗走する未来しか見えない。かつてバジリスクを屠ったように、文字通り一瞬で距離を詰めるのが最善手だろう。


「フェイ! 俺が斬り裂く! 体内にある物が見えたら、剣でも手でも足でも良い! 彭侯のいる場所から遠くに弾き飛ばしてくれ!」

「大きさは!?」

「掌に収まる程度!」

「わかった。タイミングはこっちで計るが、声くらいはかけてくれ!」


 頼もしい返事を聞いて、勇輝は笑みを浮かべて心刀を鞘に納めた。全力で距離を詰めるには刀を握ったままでは邪魔になる。鞘に納めて出来るだけ体に近い状態にしなければならない。

 左手は鯉口を切った状態で静止、右手を地面に添えて前傾姿勢を取る。一部だけ切り取ればクラウチングスタートに見えなくもない。

 小さく、長く息を吸い、体内を流れる魔力に圧をかけて、巡りを早くしていく。体全体に魔力が満ち、外へ溢れ出ようとするほどの勢いになったと同時に、勇輝は右手を地面から離した。

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