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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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1952/2405

封印結界Ⅱ

 木の葉が一瞬で灰塵となり、炎が雪のように舞い散った。

 生き物である以上、この火力を浴びせられれば、大火傷を負って長い時間は生きられない。それでも勇輝たちは、万が一に備えて構えを解かずに目を凝らす。

 立ち上る煙と炎の中、勇輝の魔眼は異様な光を捉えていた。


「(さっきまで弱かった光が――――!?)」


 真っ赤に染まった炎を切り裂くほどの緑の閃光。網膜が焼け付く中、一瞬ではあるが、その光源を勇輝は確かに見た。手のひらに収まる程度の大きさで、円筒状の物体を少し圧し潰した形状をしていた。時代劇などでよく見たことのあるそれは、久能と名乗った老人が探していたものと同じ名であった。


「(あれは、印籠!?)」


 彭侯がいたところに突如として出現した印籠。

 久能が探していた印籠と目の前にある印籠。それが同一のものであるかなど久能にしかわからない。だが、勇輝の直感はそうであると告げていた。


「馬鹿なっ!」


 國明の声が響き渡った。

 それもそのはず。渾身の一撃であった炎が消えると、そこには五体満足の彭侯が立っていたからだ。毛の一本すら焦げていない姿には、家臣団にも動揺が走る。


「――――いや、効いていないわけじゃない。炎で焼かれるよりも早く、再生してるんだ」


 緑の閃光の後、彭侯の体が形作られるのを勇輝は一瞬であるが確実に目撃していた。それは同時に彭侯を倒すのが困難であるということでもある。


「あいつの中から、アレを奪い取らないと永遠に再生し続けるのかも」

「おい、自分一人で納得するな! アレって何だ!?」


 國明の怒号に勇輝が説明をしようと顔を横に向けた。その時だった。頬全体に何かが当たった気がした。


「なん、だ?」


 眩んでいた目を何度か瞬きして、魔眼を開き直す。すると、彭侯の口から緑色の光が何度も放たれているのが見えた。

 その速度は恐ろしく早く、魔眼でやっと捉えられる速さで、避けれるかどうかも怪しい。迫る光を前に両腕を心刀を掲げると、その手前で弾け飛んだ。


「結界で防げた?」


 勇輝の周囲には結界が展開されており、魔法攻撃であれば自動で防いだり減衰したりしてくれる効果がある。それが発動しているということから彭侯から放たれているのが何かしらの魔法攻撃であることは、すぐに理解できた。


「――――がっ!?」


 そうしている内に、勇輝の近くにいた家臣団の一人が唐突に吹き飛んだ。数メートルほど体が浮き上がり、地面と平行に吹き飛ぶほどの威力だが、当たるまで一切の反応をしていなかったところを見るに、肉眼では見えていないようである。


「風の魔法!? 気を付けろ。圧縮した風の塊を撃ってきてるぞ」


 自らと同じ属性ということもあったからだろう。フェイがすぐに周囲へと注意の声を促す。本人は身に纏った風で防ぐことができているようで、勇輝同様に動くことができる状況だ。


「風か。西園寺のところの鎌鼬を思い出せ! 奴の顔の向きに気を付ければ、放つ前に回避行動に移れる!」


 いきなり、そんなことを言われても対応できるはずなどがない。

 普通ならば、それで終わるところなのだが、南条家の家臣団はやはり違った。即座に國明の言ったことを理解して、横に転がるようにして躱していく。

 もちろん、彭侯が顔を向けただけで不可視の攻撃を放ってくるとは限らない。それ故に、ただ横に飛んだだけの者も少なからずいるが、逆に言えば被弾する者は明らかに減った。


「この人たち、どんだけ臨機応変に動けるんだよ……」


 よく観察すれば風の塊は微妙に空間が歪んで見える為、ガンドほど不可視という訳ではない。だが、音速と見紛う速度で撃ちだされる攻撃を見て避けるどころか、その前動作で回避に移るという芸当には恐ろしいという言葉しか勇輝は浮かばなかった。

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