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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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1947/2384

彭侯狩りⅣ

 消えていった光は彭侯の放っていた光と同じか、それ未満。

 しかし、彭侯らしき存在は一向に現れる気配がない。恐らく、彭侯自身は木の生命力を吸いあげていて、元々中にいた木霊のみが出て行ったのだろう。

 それを狙っていたのか、國明は心刀を抜き放ってゆっくりと上段に構える。


「この木を焼き尽くす。そうすれば、嫌でも中から飛び出て来るはずだ」

「いや、だからって、まだ大丈夫な木を燃やすなんて――――」

「このまま放っておけば、全ての木々が汚染される可能性がある。そうなる前に手を打つには、この方法が一番早く確実だ!」


 國明の心刀から炎が立ち上る。刀身に纏った炎は肌を焦がすような熱を発しながら、刀と同じ形状を保ち、その明るさを上げていた。

 周囲にいた雪童子たちは、結界を張る前に外へと避難させた。だが、結界の外で國明の作り出した炎の刀を見て、距離を取り始めている。

 結界の向こう側に影響は出ていないが、既に結界内の雪は解け始めていた。彼らも結界内に居たら、ものの十数秒で溶けて体を失っていたに違いない。


「――――参る」


 上段から一転。大きく半円を描くようにして下段へと構えた國明は、木へと近づくと刃を上にして片手で真上に斬り上げた。真紅の残像が見えると同時に一本の細い亀裂が木に刻まれる。

 それはまっすぐと木の頂点近くまで奔ったかと思うと、木が一瞬にして炎に包まれた。まだ残っていた葉は炎となって蝶のように舞い、あっという間に燃え尽きて地面へと落ちていく。

 木の中にあった水分は蒸発し終えているようで、パチパチと乾いた音が炎の中から響き渡った。


「すごい、威力だな。マリーの中級魔法の威力と遜色ないぞ……!」


 ファンメル王国でもかなりの特訓をしたマリーの魔法の威力は、そこらの魔物には受けることすら不可能なレベルに達している。それに負けずとも劣らずといった様相にフェイは目を丸くした。


「これで驚いてもらっては困るぞ。異国の騎士よ。まだ、これでも全力には程遠い。それよりも、どこからか彭侯が飛び出してくるはずだ。互いに距離を取って、どこから出ても対応できるようにするべきだ」


 そう告げた國明は刀の切っ先を地面へと突き刺す。すると、ぬかるんでいた地面が乾き始めた。勇輝が足を動かすと、枯れ葉の乾いた音が足裏から伝わって来る。


「(熱量を自在に操作できているのはわかっていたけど、大火力の直後に、安定してできるとか……こいつ、やっぱり強い……!)」


 國明の心刀の能力は散々見て来たが、彼と同じように能力を扱うどころか把握すら出来ていない勇輝は、その姿に思わず賞賛の言葉しか出てこない。

 言之葉邸で戦ったあの夜と比べてみれば、先程の攻撃も規模・火力共に遥かに上。慢心故に使わなかったということも十分考えられるが、勇輝からしてみれば勝ったはずの勝負に負けた気分になる。


「勇輝さん! 魔眼で何か見える!?」

「あ、あぁ、木の幹の中で光が移動している。多分、比較的低い場所で動いているから、上の方を警戒する必要はない!」


 桜に促され、周囲に彭侯が飛び出て来そうな位置を知らせた。

 國明が放った一撃で入った直線は、木をほぼ両断している。その片方で光が動いているので、勇輝はそちらの方へと指を向ける。


「よし、一から六は念の為反対側へ。それ以外は、俺と一緒にこっちへ来い!」


 家臣団は各班二人が巫女の護衛に付いている。それ以外の者に國明は指示を出しながら勇輝の指し示す先へと向かった。その最中に時折、刀を振るうと、紅の斬撃が飛んで折れそうになっていた枝を纏めて斬り飛ばす。

 配置につく頃には、かなりの枝が無くなり、ほとんど幹だけが残った状態で、地面に炎が着いたままの枝が大量に積み上がっていた。

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