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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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1946/2383

彭侯狩りⅢ

 そもそも四方位貴族と空間を共にするということ自体が異例中の異例。光子にとっても貴重な機会と言える。

 緊張するのは変えることのできない事実。それならば、その範囲内でできることを全力でやるしかない。そんな考えから出た勇輝の言葉であったが、予想外に光子には効果があったようだ。


「なるほど、修行の一環と考えれば、これほど適したものもない。最強格の護衛の下で、実践とほぼ同じか、それ以上を要求される。乗り越えれば、どれだけの糧になるか」

「あー、みっちゃんの貪欲な向上心に火がついちゃった。勇輝さん、こうなると本当にみっちゃんは自分にも他人にも厳しくなるから気を付けてね」


 桜の忠告に勇輝は疑問が脳内を駆け巡る。

 言っていることは理解できるが、この場においては、むしろ、その方が空気が引き締まってよい。より効率的に動けるのならば、それに越したことはないはずだ。

 桜も若干ではあるが、光子が真面目過ぎる堅物委員長属性をもっているような発言をする。間違ってはいないのだろうが、それは少し友人としても失礼なのではないかと声を潜めて言うと、桜はきょとんとした顔をした後に苦笑いした。


「まぁ、勇輝さんは知らないよね。本気になったみっちゃん、見たことないと思うから。何しろ、我に返ったみっちゃん自身が自己嫌悪するくらいだし」

「――――逆に何があった?」


 あの桜が苦笑いをするということは方向性は違うにしろ、マリーやアイリスみたいに突出した何かがあるようにしか思えない。もちろん、悪い意味で、だ。


「おい、何をしてる。結界の準備は整ったのか?」

「はい。結界の方は滞りなく展開されています。強度も十分あることは私が保証します」

「そうか。それは良かった。じゃあ、とりあえず、戦う準備はできているな?」


 國明の視線が勇輝とフェイに向けられる。二人は顔を見合わせて、瞬きした。

 先程、巫女の準備ができるまでと指示をされたのは理解していたが、準備ができたからと言って自分たちに出来ることは何もない。そう考えていたからこそ、國明の準備の意味が理解できずにいた。


「ほら、さっさと刀を抜いておけ。いつ飛び出してきてもいいようにな」

「あぁ、そういうことか。でも、まだ樹木に入ったばかりだし、簡単には出てこないんじゃないのか?」

「簡単に出てこないなら、引きずり出すだけだ」


 お札も持っていない國明が一体どうやって彭侯を木の中から追い出すのか。勇輝は不思議に思いながらも彼の後をフェイと共に追いかける。


「あの、私は?」

「さっきも言ったはずだ。お前は何かあった時に控えておけと。その時かどうかは――――こいつに聞け」


 一瞬、躊躇った後、國明は自身の隣にいた面頬をつけた甲冑武者の鎧を裏拳で叩いた。その男は声を発することなく、光子の下へと歩いていくと、両手をだらりと下げたまま身動ぎ一つしなくなった。

 一緒に行動していたとはいえ、あまりにも不気味な様子に光子の頬が引き攣る。対して、武者は置物のように立ち尽くすだけ。


「さ、時間が惜しい。さっさと終わらせるぞ」


 國明は時間の無駄だと言わんばかりに、踵を返して目的の木へと向かっていく。そんな國明の手には白い粉と瓶が握られていた。

 國明は瓶の中身を幹に振りかけて、四方へと白い粉をばら撒いていく。その動作を見て、勇輝は僧正が以前やっていて、自身も幾度となく繰り返し行った行動であることだと思い至った。


「まさか、その木を――――」


 勇輝が呟く中、國明は両手を合わせて幹へと向き合う。


「御身に永きに渡って見守りいただけたことに感謝を――――」


 山の神に捧げるもの、と僧正は言っていたが、勇輝の魔眼は木の中から何かが抜けていくのを認識していた。それを勇輝は、妖精庭園の経験から、木に宿った妖精――――この国での言い方に合わせるならば木霊のような存在であると考えた。

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