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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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1922/2383

子供は風の子Ⅰ

 居た堪れない視線を浴びながら、勇輝は雪が踏み固められた道を歩く。

 久能を保護して部屋へと送り届けた後、事情を國明と光子に話した勇輝は、呆れを通り越したと言わんばかりの顔で國明にため息を吐かれた。曰く、「巫女長の名を勝手に使って何をやっているのか」と。

 正直に人助けだと答えれば、さらに倍の大きさのため息が返って来た。流石に、その時点で光子も額に片手を当ててしまう。


「問題点は二つですね。一つはこれで見つけられなかったら、それは巫女長様の失敗として数えられること。もう一つは詳細は伝わらずとも私たちの行動が漏れる可能性があることですね。さっちゃん、あなたが傍にいて――――いえ、あなたの場合、むしろ人助けを優先する性格だったわね」


 チビ桜に向いた視線は、すぐにジト目に変わった。

 桜自身も光子に言われた手前、バツの悪い顔で苦笑いをするしかない。ポケットの中に入ってやり過ごそうとしなかった辺りに、反省の気持ちが伺える。


「まぁ、変なところで血の繋がりを見せつけられちまったな。とりあえず、お前の第一優先は何か忘れるな。印籠探しは責任をもって自分一人でやれ。他の者を巻き込むなよ」


 國明の言葉が脳内で何度も蘇る中、勇輝は意外に滑る雪に足を取られて転びそうになる。慌てて、両手を着くことでその場に踏みとどまることに成功するが、その先にある斜面を見て背筋がゾッとするのを感じた。


「立てるか?」


 フェイが後ろから勇輝の脇の下に腕を差し込んで引き起こす。勇輝とは違い、しっかりと足を踏みしめて転ぶ気配すら見せない。本人からすると、それくらいできて当たり前らしいが、十分すごい技術だと勇輝は素直に褒める。


「それくらいじゃなきゃ、伯爵のところで騎士なんてやってられないよ。それに限定解除の身体強化。アレを使っている時は、足場なんてもっと不安定だからな」


 フェイの得意とする身体強化は、風を纏って高速で移動したり、空中での移動を可能にしたりする能力がある。形のない空中を蹴るだけの技術があれば、確かに雪程度は平気に違いない。

 両手に着いた土混じりの雪を払いながら、勇輝は前を見る。國明は昨日と違って心刀の能力を使っておらず、振り返ることなく進んでいた。今日は昨日に比べて長丁場が予想されることと単純に雪がそこまで積もっていなかったことが要因だ。


「昨日やってたなら、今日もやってくれればいいのに」


 自分の不注意は棚に上げて、小さく文句を言う。ただ、言ったところで転んだ事実は消えないし、この先の道が変化するわけでもない。大きく白い息を吐くと、勇輝は魔眼を開けたまま前方のあらゆる場所へと視線を向ける。

 そして、その視線は知らず知らずの内に地面へと吸い寄せられていく。久能が落としたという印籠の存在を見つけ出そうとしてしまっていた。当然、それには勇輝自身が気付いていたが、何度視線を上げて左右を見回していても、自然と下がって来てしまう。


「勇輝さん。何か見えたり、聞こえたりした?」

「いや、今のところは無いな。フェイは――――聞こえるには聞こえてたんだっけ?」


 勇輝同様に何者かの声を聞いていたのはフェイのみ。確認してみるが、フェイは首を横に振った。


「そう簡単に見つかるなら苦労はしないだろうな。多分だけど、昨日は大人数で来たことに驚いて出て来たんじゃないかって推測してるんだ」


 裏を返せば、それに警戒して姿はおろか、声すら出さないという手段に出ていることもあり得る。少なくともフェイ自身はそう考えていると語る。木霊が妖精と同じタイプの存在ならば、昨日の邂逅で悪戯を仕掛けてきているはずであり、それが無いということは接触が難しくなっているという予想であった。


「昨日、雪を落されて――――」

「……何?」

「いや、何でもない」


 フェイが悪戯をされていた可能性を指摘しようとしたが、何故か鋭い視線を浴びせられてしまった勇輝。思わず問いかけを止めてしまう程の気迫に納得がいかず、一人で首を傾げてしまう。

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