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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第25巻 常盤緑、白雪に消ゆ

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水龍Ⅴ

 何度か瞬きして、宿場町がある山の方へと目を凝らす。宿場町では生活するための魔法石の灯りがあるため、魔眼で見た時に場所の基準としてわかりやすい。

 そこから右側――――西の方へと視線をずらしていく。


「――――うん?」


 先程までなかった現象に勇輝は目を細める。チカチカと何かが光っている。その光はまるで懐中電灯のスイッチを入れたり切ったりを繰り返すようであった。

 遠くから見ている為、非常にわかりにくいが、移動しているようにも見える。勇輝は手すりから身を乗り出すようにすると、水龍も何かを察したのか上半身を持ち上げて、勇輝と同じ方角を見る。


「何か見えたか?」

「白い光が何度か瞬いていました。――――今も、まだ間隔を開けて光り出してます」


 可能な限り勇輝は、その光に別の色が混じっていないか限界まで目を凝らしてみるが、認識できるのはやはり白のみであった。そして、一分ほど見ていてわかったのは、光が宿場町に近づいたり離れたりを繰り返しているということだ。


「――――今、時子から僕に思念が届いた。また、奇妙な感覚に襲われている、とね」

「方角は?」

「君が見ている方と同じだ」


 その言葉に勇輝は嫌な予感がした。

 何せ、北の方では既に土蜘蛛や茨木童子と言った強大な怪異と出会っている。いくら、そちらの方にもう封印塚はないと聞かされていても、まだ何かいるのではないかと勘繰ってしまうのは不思議な話ではない。


「水龍さんでも感じ取れないんですか?」

「少なくとも、悪意は感じ取れない。そうなると精霊の類に近い存在かもしれないね」


 悪意があって何かをしようとするならば、日ノ本国の守り神として祀り上げられている以上、何かしらの反応があるという。逆に言えば、そこで起こっていることは何かの意思が働いているとしても、自然の摂理の範囲であるとも言える。


「それを逆手にとって、何かしらの呪いを――――なんてことになっていないと良いけどね」


 巫女長も長期的に見れば何が起こるかわからないと言っていた。それならば、自分の嫌な予感を信じて、解決に動くべきだと勇輝は考える。

 問題は、その解決すべき問題が判明していないことだ。故に、取れる手段は一つ。現場に赴いて、その問題を把握することだろう。


「今から、あそこに――――」

「いやいやいや、本気で言っているのかい? あそこに行くまでに、身体強化をしたとしてもかなり時間がかかるよ。特に今は雪道だから、余計にね」


 土蜘蛛の対応では一時間もかけずに踏破したが、それでも時間がかかりすぎるという。着く頃には、原因となる何かが立ち去っている可能性があった。

 では、このまま手をこまねいていろとでも言うのかと勇輝が立ち止まっていると、水龍が四肢で立ち上がった。


「こういうのは適材適所、というのだろう? 走るよりも飛ぶ方が早い。ちょっと、見て来るよ――――ま、追って来るなら追って来ても良いけど、追い付けるかな?」


 一瞬、上を見てそう言うや否や、水龍は浮き上がると天守から飛び降りた。その姿に慌てて手すりの下を覗き込むと、蛇のように体をくねらせながら、空を駆けて行く水龍が見えた。あっという間に城の塀を越え、気付けば街の端へと辿り着こうとしている。


「早っ……」


 初速なら僧正の方が早いかもしれないが、最高速度ならば水龍も負けていないのではないか。そう思う程の速さに目が点になってしまう勇輝。水色の光が煌めきながら尾を引いて消えていくのを見送っていると、背後から誰かが天守へと登ってくる音が聞こえた。振り返るとそこには光雲が立っていた。


「……君だったか。その、水龍様がこちらにいると聞いたんだが」

「あぁ、それなら時子さんからの連絡を受けて、あっちの方に確かめに行きました。飛んでいった方が早いって」


 勇輝の指差す方向を見た光雲は、ほっとした表情を浮かべたのも束の間、片手を額に当てて盛大なため息をついた。

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