表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第4巻 消えた焔は地の底に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

184/2417

鋭き目で射抜くものⅢ

 まっすぐに伸びる通路を進んでいく。時間にして五分ほどで更に下り坂が緩やかになり、壁や地面にヒカリゴケとは違う緑の光や、赤い色が目立ち始めた。

 ユーキは片手を上げて、赤い光を放つ部分を肉眼で確かめるとピンクや紫に近い色をした石が溶岩からわずかに顔を出しているのが見えた。


「おそらく、鉱石トカゲが掘り出している途中だったのかもしれないな。入口に近い方は既に露出していたから、それ以上掘る必要はなくて苔がたくさん生えていたんだろう。鉱石トカゲが増えすぎて新たな餌場を探していた結果、苔が掘り起こすときに毟られて生えていないんだろうな」


 松明を近づけたフェイが地面を指でなぞってトカゲの残した爪痕を確認する。その爪痕の中に僅かに顔をのぞかせている鉱石が目に見えた。


「じゃあ、この辺りを掘り返せば宝石があるの?」

「いや、ルビーみたいな宝石はゆっくり冷やされないといけないから、こんなに浅いところだと違うものか、あっても質の悪いものの可能性が高いと思うけど、フェイはどう思う?」

「同感だ。もう少し広いところで、爪痕が大きい箇所があるなら試してみてもいいかもしれないな。地属性の魔法で直接掘り起こすっていう荒業も使えそうだしね」


 フェイがサクラの方を見ると言っている意味が分かったのか、顔を少しほころばせた。


「さっきの所に戻ってもいいけど、もう少しだけ進んでみようか。かなり緩やかになってきているから、溶岩が溜まって、ユーキの言う冷えにくい場所とかがあるかもしれないからさ」


 一縷の望みが見えてきたところで、全員のやる気が勢いを増す。すぐさま、立ち上がり奥を目指すために歩き出した。溶岩が流れ込んでくる場所だったためか。さらに道幅は狭くなってきていたが、ユーキたちは構うことなく一列に突き進んだ。

 やがて一本道も終わりに近づき、不格好なつららのように行く手を遮る柱状のものが、天井から伸び始めていた。何とか避けながら進んでいくと鉄格子のように行く手に立ちふさがる柱の間から、ヒカリゴケの放つ光が差し込んでくる。

 逸る心を押さえて、光の下まで歩いていくと、その先には驚くべき光景が広がっていた。ユーキ、フェイと続いて、二人の間から垣間見るように覗く少女たちは、感嘆の声を上げる。


「すげぇ、あれ。()()()()()?」


 マリーの言葉が示していたのは格子の先、約十五メートルほど離れたところにある窪みだった。大きくくぼんだそこには、さまざまな色を見せる鉱石が顔を覗かせていた。大小様々で離れたところからでもわかるということは、相当大きなものだということが予想できた。

 ユーキの横でフェイが思わず生唾を飲み込む。思わず手が震える程度にはフェイも驚愕しているようだ。もし、持ち帰って売れば、相当な財産が築けるに違いないことは誰の頭にも過ぎるだろう。





 サクラもユーキの肩越しに覗いて夢中になっていた。特にこちらの国では、和の国と違う指輪などのアクセサリーが多数存在し、特に高貴な女性が身に着けるものとしても有名だからだ。

 思わず身を乗り出したサクラだったが、ユーキの背中に胸を押し付ける形になっていたことに気付き、慌てて我に返る。


「ご、ごめんなさいユーキさん。今のは、その……」


 しかし、不思議なことにユーキからは何の反応も帰ってこない。もしや、ここ最近のアクシデント続きのせいで彼も自分と同じように意識してしまって固まっているのではないだろうか、という結論に行きついた。そう思い至ったことに、更に顔が熱くなっていくことをサクラは自覚する。心臓の音が早鐘を打ち、耳の奥にまで音が響く。

 ゆっくりと横にずれて、差し込んだ光に照らされるユーキの顔を見ようとする。次第に露になる顔に緊張で視点が定まらない。

 サクラは自分自身にじれったさを感じて、思い切りユーキの横顔を覗き込む。


 ――――その顔は血の気が引いて真っ青になっていた。

【読者の皆様へのお願い】

・この作品が少しでも面白いと思った。

・続きが気になる!

・気に入った

 以上のような感想をもっていただけたら、

 後書きの下側にある〔☆☆☆☆☆〕を押して、評価をしていただけると作者が喜びます。

 また、ブックマークの登録をしていただけると、次回からは既読部分に自動的に栞が挿入されて読み進めやすくなります。

 今後とも、本作品をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ