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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第4巻 消えた焔は地の底に

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未知の洞窟Ⅶ

 アイリスがヒカリゴケを手で押さえて、壁の表面をなぞる。


「これ、水晶とかが反射して光ってるみたい。でも、所々にすごく小さいけど宝石が混じってる」

「本当だ。これトパーズかな。あとこれは赤いけど……ルビーじゃないよね」

「小さいからわからないけどガーネットとかじゃないかな。来て早々、見つかるなら苦労はしないよ」


 サクラとフェイが覗き込んだところにも様々な光が反射していた。もし、鉱石だけが光を発していたら、プラネタリウムみたいな光景になったことだろう。


「しかし、これだけ鉱石が表面に出ているならば、ヒカリゴケと同じように魔力を吸収していそうだな。だからこそ、鉱石トカゲもこんなところで生息できているんだろうけど」

「『逆巻き、切り裂け。汝、何者にも映らぬ一振りの刃なり』」


 フェイが唸っているとマリーが押しのけて杖を薙ぎ払って風の魔法を放つ。その先には天井を這ってきた鉱石トカゲが、フェイへと口を広げてブレスを吐こうとしているところだった。ブレスより先にマリーの魔法がトカゲの口を口裂け女のように両断し、顎から下を切り離した。

 天井から落ちてきたトカゲを踏みつけてマリーが自慢げにフェイへと振り返る。


「騎士様? 油断は禁物ですよ?」

「何か癪に障る言い方だけど、その通りだね。みんな、このまま進もう。奥に行けば目的の物も見つかるかもしれない」


 マリーがトカゲの背中を切り離している間、フェイは改めて先頭に立って警戒する。道幅は別れてから再び広くなる一方で、既に七メートルは超えていた。全員が横に並べなくもないくらいである。フェイは後ろを振り返ると指示を出し始めた。


「僕が左、ユーキが右。三人は僕の左、二人の間、ユーキの右に来るように後ろで並んで」


 マリーが立ち上がると、三人はフェイに従って動き出す。フェイの左からマリー、アイリス、サクラのように並んだ。


「マリーは左の壁と天井、サクラは右の壁と天井、アイリスは地面と天井を見ててくれ。僕とユーキはそれぞれの壁と地面に集中する。見つけたらいる場所を真っ先に報告すること」

「なるほどね。了解。因みに俺は遠距離で攻撃を仕掛けてもいいんだよな」

「構わないよ。でもやるなら一撃で仕留めてくれると嬉しい。ブレスを吐く暇を与えたくない。射程は長いときには十メートルに届くらしいからな」


 刀を左肩に担ぎなおし、右腕の調子を確認する。一度に撃てるガンドは以前に比べて一発増えて五発だが、その程度だと不安が残る。全部撃ち切ってしまうと次に放つまでに数秒かかるだけでなく、意識が右腕にいってしまって体全体の反応が鈍くなるのが弱点だ。


「よし、このまま進もう」


 フェイが歩み始めるのを見て、他の四人も前へと足を踏み出す。目の前に広がる大きな通路は、鉱石の輝きで明るさを未だに保っている。

 しかし、先程のトカゲを見たことで不安という暗闇が気付かない内に忍び寄っていた。時折、どこかに水たまりがあるのか、滴った水が立てる小さな音が五人の警戒心のレベルを引き上げる。

 サクラの手には力が籠り、自身の手が白くなるほど杖を強く握りしめていた。それはマリーやユーキも一緒で、自分が思っている以上に無駄に体力を消耗していることを示している。戦闘に慣れているフェイは除くとして、一番年下のアイリスが平然と歩いていられることにユーキは驚きを隠せなかった。


「アイリスは、緊張しないの?」

「え、なんで?」

「だって、こんなところに来るの初めてだし、あんな大きなトカゲに襲われたら怖くない?」


 アイリスは少し前を見て安全確認をした後、ユーキとフェイを指差しながら言った。


「だって、前二人がいるからそんなに怖くない。あと、鉱石トカゲは本で見て知っていたから、むしろ、ブレスを見てみたい。できれば、全属性」

「ははっ、アイリスは知識欲の塊だからな。恐怖より興味だって」


 マリーが隣から茶々を入れていると前方から声が上がる。


「天井に二匹だ。まだ、遠いからこちらには気付いていない。三人とも、行けるかい?」

「もちろんだぜ。いくよ、二人とも」


 フェイの声に三人がそれぞれ、風と火の魔法でトカゲを絶命させようと魔法を放った。その内の一匹が、また甲高い声を出して地面へと落ちる。背中の部分だけは固いらしく、地面へと激突した瞬間に鋭い音が響いた。


「もしかしてさ、ここに住んでいるトカゲ狩り捲ったら、スゴイ金額になるんじゃないか?」

「質と魔力の状態によるだろうね。僕は鑑定するほどの知識がないから持ち帰らないとわからないけど」


 そう言っていると、前方に黒い影がいくつも現れた。火球が弾けた音か、はたまた絶命の叫び声かはわからないが、何かしらの異変を感じて、他の鉱石トカゲたちが寄ってきたようだ。


「五、六……いや、もっとだな。あまり強い威力にすると洞窟が崩れる。一匹一匹やるしかないか」


 ユーキが苦い顔をして右の人差し指を這いよる影へと向ける。その照準があった瞬間に魔力を抑え気味にして、先頭の鉱石トカゲへと撃ち放った。

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