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超人誕生  その三  ~蜘蛛キメラを倒せ~

正義の為なら人間はどこまでも残酷になれるんだ…


某ライダーのセリフより

 

 僕は仮面マスクを被った。大きく開いていた後頭部と顎の部分を戻し、固定する。


 その瞬間、僕の体に激痛が走る。痛い!痛い!痛い!

 この時の僕には解からなかったが、次の様に変化が起こっていた。


 まず、仮面の赤い複眼がうっすらと光りだす。次にベルトのランプが青く光り始めた。

 外から見える範囲の変化はこれくらいだった。だが、仮面の下ではまだ変化が続く……。


(意識をしっかり持て!自分を保たないと改人キメラに意識を持ってかれるぞ!!)


 そんな事言ったって、体中が痛い。体中に針を深く刺されてる鋭い痛みだ……。

 どれだけ続いたのだろう、その痛みが治まると、次に全身を灼熱の炎にジリジリと炙られる様な感触……

 身体中のパーツが急速に膨張する。その感覚が恐ろしい、何んだこれは!?


 ……実際の変身?までの時間はわすがだった……。らしい。後でテセウスに聞いた。


 さっきまでの痛みが嘘の様に消えて、仮面によって今まで見えなかった視界が急にクリアになる。


 視界がおかしい?見えている範囲が広すぎる。周りがすべて見えている。『蜘蛛改人キメラ』の細かい動きが把握できる。全部で4体だ。

 それを僕は、同時に見ている?大きな1枚の画面じゃなくて、それぞれ個別にロックしている、これは一体何なんだ!?


 そして音だ、音が聞こえる、自分の心臓の音、4体の『蜘蛛改人キメラ』の息遣い、森の中を緩やかに流れている風の音。その風に揺れている、草木一本一本の音がそれぞれ別の音を出している。

 僕は、それを聞き分ける事が出来る!?


 次から次へと流れ込む情報量の大きさに、僕の脳は悲鳴を上げそうになる。誰か止めてくれ!!


(仕方ない、情報制御は俺の方でする。お前はただ敵と戦え!)


 そんなこと言ってもあれも?人間なんでしょ?僕には出来ない。


(あいつらはもう人間には戻れない、下級の改造人間(量産キメラ)だ。使い捨てなんだよ。殺した方が奴らも浮かばれるだろう。)



 蜘蛛キメラが僕の方に向かってくる。『蜘蛛改人キメラ』は慎重に僕との間合いを計っている感じだ。ジリジリとこちらに詰めて来ている。

 突然、奴らは口から白い糸を出した。弾丸より早い?避けられるはずが……。 ……だが僕は避けられた。4つのバラバラに繰り出される、白い糸の軌道を正確に見切り、最小の動きで避けられた。

 自動的に体が動いている。これから自分がやることがすべて鮮明に見えた。


(右手には、防御用に盾が使える。左手で、右の手首を一回握って離せ!)

 迷う事無く、テセウスの指示に従う。動作をすると、右腕にバックラーが現れる。


(古代の遺物らしい、使い方は色々あるが、細かく能力の説明をしている暇はない。取りあえずそれで防御できる。)



 何も考える必要は無かった。僕は地面を蹴った。跳躍の勢いのまま、一番近くにいた『蜘蛛改人キメラ』の頭に左足を叩き付ける。風船が破裂するように怪物の頭部が爆散した。

 着地と同時に、別の怪物が僕に向かって糸を吐く。右手の盾を使いそれを防いだ。一瞬で間合いを詰め、怪物の胸に左の拳を打ち込む。怪物は至近距離から大型の銃を打ち込まれたかの様に粉砕された。


 後2体。怪物にも感情は残っているのだろうか?同時に襲って来ることが出来るなら、少なくても何らかの意思の疎通が取れてるはず。

 残りの怪物に、仲間の死を悲しむことが出来るのか僕はは解からない……。


(悩むな。次が来るぞ、準備しろ)


 2体が同時に糸を吐く、大きな白い奔流だ。次の敵に狙いを定める。僕はまた跳躍し2体の後ろに回る。1体目の首目掛けて、右盾を水平に振り下ろす。怪物の首は刀で切られた様に綺麗に落ちる。

 そのまま振り向きざまにもう1体に左回し蹴り。全身に浴びた怪物の体液、その黄色の飛沫がキックの軌道を描く……。4体の怪物は全て沈黙した。


「蜘蛛キメラの殲滅を確認。殲滅タイム56秒。訓練者は直ちに、実験室に戻って下さい」


(中々の腕前だな。最初にしては取りあえず上出来だ)



 ……終了?取りあえずこの仮面マスク取らないと……。これどうやって外せばいいんだっけ……。

 何だかとても疲れた、眠いんだ、少し寝かせて……。


 ……僕の前は天瀬英雄あませひでお……。今年から栄開えいかい高等学校に通う予定の……、どこにでも居る普通の高校1年生だ……。まあ少し…………。いまどきの高校生なら全然普通……。

 ……僕は普通だ……。普通と言ってくれ……。


(おーい、こんな所で寝ると風邪ひくぞ!仕方ねえな)





 俺は久しぶりに体を動かした。思った通りだ、アイツの意識が無い時は、俺が体を使える事が解かった。

 戦闘の疲れか確かにだるい。


 今回の戦闘は、アイツの殺す事に対しての感情を麻痺させる事によってクリアしたが、さて今後はどうするべきか……。

 ……お前が前の世界じゃどうだったかは、別にどうでもいい。今はやれることをやれ。出来ないと……。




 実験室に戻り、手術台?に腰を降ろす。天瀬は聞きのがした様だが、俺はこのインフォメーションを聞いた。


 ★『蜘蛛キメラ』を倒したことにより、『蜘蛛の糸』スパイダーウェブのカードが手に入りました。


 これがカードか、ミント博士の言った通りだ、何だかとんでもないことに巻き込まれた様だな。

 俺は、目の前の1枚の赤いカードをしばらく眺めていた……。






いかがでしたでしょうか。因みに蜘蛛キメラは、戦闘員位の奴です。

後、キメラって名前は暫定でそのうち変えようかと思ってます。


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