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前世のお友達が異世界転移第二弾な件



民宿トゥーランで手続きを済ませ、そこで一週間程の宿代を払う。

女性冒険者に勧めるだけあって、豪華さは無いが小綺麗で所々に花や可愛らしい小物が飾られ、なかなか落ち着く雰囲気がある。

そこそこの広さの中庭の中央に井戸があり。

その周りにテーブルと椅子が四つほど囲む様に並ぶ。

サンルーフのような布が、天幕のようにそのテーブルの周りの上に覆われていて、そこから宿の部屋が見えない工夫がされている。

アメニティ関連も日本ほどでは無いが充実している。

何でも娘さん夫婦が錬金術士とかで、石鹸や化粧品なども安く手作りして仕入れている関係で、安い宿代でもサービスが充実させられるのだろう。

やはりダンジョン都市にお店や宿を構えるだけあって、その関連一族には冒険者からの転職とかも多いのかもしれない。

魔石を使った魔道具も充実していて、宿泊に困る要素が少なかった。

お風呂の代わりに身体と服を清潔にする魔法をかけてから、寝間着に着替えてコロンとベッドに寝転んだ。

流石に知らぬ土地で疲れていたのか、気絶する様にとても簡単に意識は途切れた。


「龍ちゃん龍ちゃん。」

懐かしい声で誰かが私を呼んでいた。

「どうしたの?」

制服姿の私は、その声に振り返ると年下の、小学生くらいの巫女姿な女友達が私を見上げていた。

何処かの神社の鳥居に寄りかかりながら、年下の女友達は呟いた。

「やっと繋がった…龍ちゃん地球じゃなくて、こんな所に魂が居たんだね。」

何かに納得した様子で頷いている。

「…唯ちゃん?」

唯と呼ばれた少女は、ハッとして閉じていた目を開く。

右目が紅く左目が金色だった。

「唯だった者、だね。

今はライラ・レカデクト。

夢渡り未来を紡ぐ者。」

よく見れば、座敷童子めいたおかっぱ頭が黒髪では無く濃い深緑で、かなりの色白だ。

「私今はマニ、今日から冒険者名をリュウと名乗ってるわ。」

すると納得した様子で頷いた。

「そう…龍ちゃんはそちらの神の深い愛で早死にしたのね。

こちらと繋がったのは、リュウを名乗ったからかしら?

ともかく、お久しぶりね。」

「夢を渡る?」

「そう、夢を渡るの。

魂が生きていれば、私の友達ならこうやって夢で会話も出来るし、必要なら夢からそちらの現世にも移動が可能。

多分貴方を偏愛する神の結界に阻まれて、これまでは夢が繋がらなかったのね。

無理やりの転生は、寂しくはなかった?」

パニマのあんにゃロウ…と心の中でマニは呟く。

「記憶が覚醒したのは身体が成長してからだから、多少は大丈夫よ。

…と言いたい所だけれど、あんまり大丈夫じゃ無い。

既に転生してるから、無理やり納得してみたけど。

前世で悔いが無い訳でも無いからね。」

肩を竦めて苦笑する。

「幼馴染君には逢えた?」

「うん、勇者召喚されてこっち来てたよ。

今はあっちに戻ったけどね。」

寂しそうに言うと、少しライラは目を逸らして迷った後、ハッキリ言った。

「彼は…死んだわよ?」

「え?」

「龍子ちゃんとほぼ同じ時期に亡くなられたの。

修学旅行先でストーカーに殺害されたらしいわ。」

蒼白になってマニは戸惑う。

「彼はモテたからね、マトモな子にもマトモじゃ無い輩にも。」

「そんな…。」

じわっと目に涙を浮かべたマニを見て、困った様に続けた。

「だから多分、彼は貴方を追いかけてそこに転生している筈よ。」

「え?そうなの?」

「運命の片割れだった男だから貴女を偏愛する神は、本来なら彼の魂を弾いたでしょうが。

多分そうしなかった、出来なかった、かしらね?」

「な、なんで?」

「愛する貴女が、魂の片割れへの酷い扱いに傷つく姿を見たいとは思わ無いのでは無いかしら?

例え、相手がライバルだったとしてもね。」

考え込み始め、深い思考に入りかけるマニを、ライラは不自然に止めた。

「いけない、話が逸れたわ。

折角再会したのだし、私今の龍ちゃんに会ってみたいから、そちらに行っても良いかしら?」

「ふぇ?

私も逢いたいけれど。

こ、来れるの?」

「余裕!」

「う、うん!じゃあ来て?」

夢の世界がパァっと輝いて、眩しくてマニは目を瞑る。

そして目を開けると、ベッドの側に腰掛ける小柄な少女が居た。

「こちらでは初めまして、リュウちゃん。」

輝く様な薄紫水晶色のサラサラなおかっぱ髪がカーテンからの木漏れ日でキラキラしている。

力を使うと深緑色の髪になるらしい。

ライラは日本の巫女服がワンピースになった様な、不思議な服を着ていた。

風変わりなのは、背中に小さな翼を生やしている所だろうか?

「異世界アルカディアのアルカディア共和国の神殿から夢渡りして来たライラよ。

今世でもよろしくね。」

異世界アルカディア?

何か聞き覚えがあるような気がしたが、マニは思い出せなかった。

「うん!よろしくねライラちゃん!」

異世界アルカディアは三河家康君の統べる異世界で、ライラは彼の夢渡りの巫女姫です。

家康君の統べる異世界初出し!


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