閑話 ドラコンだって戯れたい
ゼファーサイド
フワリ。
と、柔らかな風に乗って、静かに虹色に煌めく鱗を持つ龍が湖畔へと舞い降りる。
もっとも、魔力の無い者が見たら、水飛沫に虹が映えただけにしか見えない程気配が消してある。
その龍は、ゼファー。
マニ姫の契約龍である。
たまにマニから離れ、一人…いや一匹に戻るのだ。
優雅な世界散歩とも言う。
マニの事はゼファーもすっかり気に入ってしまったので。
彼の主を番いにしたい気持ちも有るには有ったりする。
時々軽くアプローチしたりもする。
だが、本人が望まぬなら、側に居るだけで良いと思ってもいる。
番いにした所で、人族は短命だ。
契約ですら死すれば解除される。
番いとは別では有るが、既に契約により魂で結ばれているのだから焦りは無い。
パニマよりも同族の男達の方が、脅威かと思っていたら。
あのショタ以外、パニマと同類だったしな。
ただし、あの面倒なパニマ神は強引過ぎるので、牽制も兼ね邪魔していたりする。
何が面倒って、マニの前世はパニマにストーキングされた為に寿命を縮められ。
なら捕獲した魂を嫁にして天界に召し上げれば良い物を。
何故か普通に転生させてから、マニの保護者のようなフリしたストーカー状態になって居るから行動がアホ過ぎるんだよ。
いやもう、既に拉致監禁レベルで捕獲してるしな。
アレは、本当に愛情押し付けて居るだけで、マニに愛されたいのか理解に苦しむ行動だ。
マニがドン引きして居る姿をよく見るので余計にそう思う。
「神様なんてみんなあんな物なのか⁈
この世界大丈夫カヨ!」
と、マニの前世の幼馴染勇者はよく呟いて居たが。
異世界基準でもアウトなようだ。
アレが神でなかったら、もっと排除に移って居た事だろう。
変な所でお人好しのマニは、気紛れにアレを構う。
構われたアレは、マニに好かれたと勘違いして調子に乗る。
先日は、アレの居ない隙に他の神が訪れた。
多分アレに惚れておる女神達が牽制掛けに来たのだろうか?
だが、鈍いマニは気付く事はなく、異世界の知識でやんわり煙に巻いた。
この世界の神は比較的無垢で幼いのか、人のようなあざとい切り返しに上手く対応出来て居ない。
そう言えば、このファーブラ自体新しいとパニマ達は良く言っていたな。
手練れの神が少ないのかもしれない。
そんな事を考えに浮かばせながら、綺麗な湖畔の水飛沫を上げる。
人間体とは違う浄化の清めだが、俗世の穢れを削ぎ落としてくれる。
美しく幻想的なそれを見た者は、残念ながら誰も居なかった。
まぁ居たら居たでぼんやりと見惚れて、惚けてしまった事だろう。
少しして、虹色の幻想的な龍は姿を消した。
マニ姫の元へと帰還する為だ。
水辺は静かに、何事も無かったかのように穏やかな波紋を広がる。
せせらぎとそよ風に身を委ねて居る。
「只今マニ!」
「あら?何処かへ行って居たのゼファー?
て言うか、結界どうやって出られたの⁈」
「我はこの強制結界には干渉され無かったのか、関係なく出られらぞ?」
「え?」
ガビーン!
とショックを受けるマニをスルー。
「そんな事より、そなたの好きな菓子と、備蓄食材や雑貨を運んで来たぞ。
片付けを手伝うか?」
「うん!手伝う!」
お菓子に釣られてだろうが、楽しそうに片付けを手伝うマニに軽く微笑む。
因みに、マニへの強制結界の為、マニはここから出るに結界掛けたパニマと話合いが必要となるだろう。
もしくは、魔力による内側からの破壊と言う力技なのだが、身体への負担が酷いから勧められないな。
何より呑気なマニは、飽きては居てもここから出るつもりは無いようだ。
ならば、我はマニを飽きさせない為に工夫をするしか無い。
だいたいパニマ神のせい。
と言うジンクスが、この頃より産まれた。
お久しぶりの続きです。
そろそろパニマ帰還する為、止めてた続きを書きますね。
今回は虹色龍ゼファーの水浴びです。
イケメンサービスシーンではありませんが、ドラゴンのキラキラシーンかも?
ゼファーはパニマと違い、種族の違いも有ってマニの事をどっしり構えてます。
おかしいですね、パニマの方が年上なのにゼファーたんパパンボジションになり始めました。
それではまた。




