私がいつから嫁認定されたかについて
円卓タイプの掘りコタツにミカンとお茶と茶菓子が置かれ。
まるで日本の、よく有る風景が出来上がっている。
左に暁月女神ヨナ。
中央に戦女神ヤファ。
右に銀月女神サナ。
この三人がマニの前に居なければ、だ。
女神様達を軒先の畑で、無視して放置する訳にも行かず。
取り敢えず客間へと招いて現在に至る。
「えっと、御三方はパニマ様への用向きで居らしたのですよね?
今、他のパニマ様の加護持ちの厄介事とかで暫く戻られませんが。
いかが致します?」
「嘘を申すな、何処へパニマ様を隠した?」
剣呑な声で呟くヤファ。
綺麗な顔立ちで、怜悧で鋭い眼光と殺気をマニに向けて来る。
ビクッと一瞬怯えたが、別に悪い事はして居ないと開き直って言い返す。
ただし及び腰なのはご愛嬌だ。
「いえ、本当に知ら無いんです。
私は暫くこの結界の中から絶対に出るなと言われて…。
人族史上主義がどうのと呟いて居なくなられたので、本当に何が起こっているのか知らされて無いんです。」
すると、ヨナが溜息を吐いて、ヤファの肩にそっと手を触れた。
「ヤファお姉様少し落ち着いて下さいまし。
この者は嘘を申しておりませんわ。
多分こちらに来たタイミングと、パニマ様の加護持ち関連のトラブルが、ブッキングして我らに情報が遅れたのでしょう。」
ヨナが肩を持ったので、サナがへそを曲げてくる。
「パニマ様はこの娘を過保護にし過ぎ。」
満場一致で、誰も反論し無かった。
「多分数ヶ月単位で帰還出来無いかも知れ無いと言ってました。」
「何⁉それは誠か?」
「はい…人族史上主義者集団が動くタイミングで、時渡りの能力者が覚醒したので手こずるかもしれぬと。」
「ああ、あの娘か…。」
ヤファが何か思い出したのか、思案顔に。
「お姉様?」
「ああ、ヨナ。
パニマ様と私の加護も与えた娘が居てな。
前世の記憶を全て封じて欲しい、と言われたのだ。
アレは、地球とレビアの両方を転生した魂を持っておる稀有な娘じゃ。」
「まぁ何と!
それでは時渡りは記憶覚醒し無くては難しいのでは?」
「うむ、多分パニマ様が動いたって事は、思い出したのであろうな。」
「不憫な娘ですわね。」
女神達の会話をぼんやりと聞く。
レビアってなんだろ?
地球とは別の異世界って事かな?
人族史上主義者は、時代時代で人族を唆し、それ以外の種族を殲滅・洗脳・調略したり奴隷従属させる。
実に厄介な連中だ。
何でそんなヤバい感じの話を、マッタリコタツでしてんの?
つーか帰ってくれないかなぁ?
女神様の接待とか、無理だと思うし。
取り敢えず、ミカンのおかわりを持ってくる事にした。
暗転。
「ヤファお姉様…おこた、凄い。
僕のお城にも欲しいかも。」
「ヤファお姉様、あたしも欲しいよ。
コレヤバい、出られ無い。」
「うむ、このポカポカの魔力とミカンのコンボは、私も負けてしまう。
日本の文化に感化されるパニマ様の気持ちが分かったような気が。」
女神様達は、すっかりコタツに籠絡されていた件。
以後、日本の文化に関連した物を彼女らに教えて。
隠していた同人誌も、気付いたらガッツリ読まれ。
パニマ様の持ち込んだアニメやマンガ漬けになって居た。
気に入った物を後でリストに書いて、パニマ様に地球から送ってもらう!
と言いながら、期限が来たからと彼女達は天界に帰って行った。
うん、女神様達何しに来たんだろ?
一方天界では。
「ああ、やっぱりね。
フラグ立てるどころか、日本文化に染め上げられてるとか。
ヤファはヤファだったな。」
太陽水晶で彼女達の行動を軽く覗いて居た太陽神ヒルアは、チャンスを棒にするヤファの恋愛運の低さにドン引き気味で有る。
多分、マルルン女神様と相談して。
彼女達の相手が出来そうな神と見合いさせるか、新たな男神を作るかし無くてはいけなそうだと苦笑した。
現在のファーブラは、全体的に人手が足らないので。
まぁ、どちらにしろ新たな眷属神か男神を作る事になるだろう。
「ゼロから作るか、パニマの加護持ちで優秀な高位能力者から進化させるか。
色々やる事多過ぎてマジ未知数だな。」
太陽水晶の映像を切ると、ヒルアは仕事に戻るのだった。




