閑話 諸人こぞりてパニマは来ませり!
メリクリですよ!
え?異世界だから関係無いだろ?
細かい事は良いんです。
パニマが旅立つ数ヶ月前の、あるクリスマスの日。
部屋中にキラキラしい飾り付けをし、大きな木にも飾り付けをほどこす。
「マニ〜、星飾りはここでいいのか?」
と、木のてっぺんに干し飾りを付けるフワフワ浮いたパニマ。
完全にクリスマスモードの室内ですが、異世界で他の世界の神様の聖人の祭をするのはどーなんだ?
とかツッコミ待ちかもですが。
八百万の神様が居るすちゃらか多神教信者っていうか、基本無宗教が多い日本人に、宗教観求める方が間違っている。
いや、私は現在ファーブラ人ですけどね。
長い鎖国の影響か、今だ大地母神系な流れで、主神が女性ってレアだしな。
何かで聞いたのは、男神主神だと戦も多い男尊女卑な唯一神信仰が多くて。
女神が主神だと女系中心の比較的平和な多産型な多神信仰になるんだと。
盆暮れ正月有るのにバレンタインやクリスマスやハロウィンも有る不思議国家。
八百万の神様認めてる時点で唯一神系統では無いわな。
つーか、日本人って単なるお祭り好きだよ、絶対。
今は関係のないファーブラ人ですけどね!
(大事な事だから二度)
んで、ファーブラの主神が率先してクリスマスパーティーしようぜと企画しました。
空気読んで無いよね、アレ。
つーか、自分の世界の独自色出さないの?
って言ったら何て言うかな?
今は可哀想だから、パーティーの後にでもさりげなく言うか。
余談だが、取って付けたクリスマスの祭りの名前は、後に12月25日パニマ感謝祭になった。
尚、一月一日パニマの日。
別名パニマ聖誕祭だ。
とんだこじつけで有るが、鶴の一声神の一声といった強制力だろうか?
因みに、バレンタインはパニマとは又別の女神の聖誕祭である。
野郎共に飾り付けの残りを指示して、私はオードブルとケーキの仕込みに戻ります。
スープの出汁は昨日一晩かけて作りました。
今日は朝から野菜や肉を好みの大きさに切って、投入。
なんちゃってデミグラスシチューとか、鶏の丸焼きとか、カナッペとか。
野菜スティックとか。
チーズフォンデュとかロールケーキとか。
ごちゃっと作ってます。
取ってて良かった料理スキル。
通常の料理の腕に相乗効果出すから、かなり助かってます。
あと、小腹が空いたら摘まんでます。
まあまあの出来です。
現在、私とパニマとゼファーの他に、攻略対象者達。
後何故かルカたんもおる。
さっきから私の料理を手伝おうとするんだけど。
「痛っ、あうう。」
と、手を切ったり。
「ふぎゃっ、真っ黒⁈」
と頭からまだ手を付けたいない野菜を籠ごと頭からかぶってる。
相変わらずのドジっ子じゃの。
「はいはい、痛いの痛いのとんでけ〜!」
見兼ねて指の切り傷を治すと、頬を薔薇色に染める。
殿下マジ男の娘。
下手な女より凄まじい美少女っぷり。
「あ、ありがとう。」
はずかしそうにハニカム。
ツリーとか飾ってる野郎共に無い可憐さ、清らかさに、心の何かが洗われるようだ。
「マニさん、後は何をしましょうか?」
「そーですねえ。
あ、そうだ!口開けて?あーん?」
キョトンとしたルカに、開けた口へと何かを入れる。
「あ…むぐ、ん…甘い。
美味しい…。」
「手伝ってくれたご褒美。
ケーキの端っこに生クリームかけた物よ、どお?美味しい?
宮廷料理みたいな立派さは無いけれど、まあまあだと思うんだ。」
「はい、とっても素朴で懐かしい感じで。
美味しいです。」
「そっか、良かった。
あ、クリーム付いてる。」
頬についたクリームを指で取ると。
ペロリとクリームのついたその指を舐める。
「はぅーっ⁈」
と、声にならない悲鳴を上げて、こちらを口をぱくぱくさせながら見上げて居た。
「ふふっ、さあ、一休みしたらまた作業再開ね。」
「は、はい。」
ハニカムショタ王子可愛いな、もう!
デレデレと可愛がって居ると、パニマがむくれて後ろから抱きついて来た。
「ひっ!ちょっとパニマ、包丁持ってる時はやめてよ!危ないでしょ?」
「むー、ヤダ、やだやだやだ。」
この野郎めんどうせぇ!
イラっとして振りかえると、ショタバージョンで見上げでウルウル。
あざと!
だが、残念。
ルカたんのような無垢さが足りない。
不合格である。
半目で眺めると、諦めたのしぶしぶ離れた。
「暇そうだから、テーブルセッティングお願い。
終わったら、オードブル運ぶの手伝って。」
「むう、マニたんが冷たい。」
ブツブツ言いつつも、パニマは手伝ってくれた。
その後、準備が終わってクリスマスパーティーが始まった。
「1番パニマ歌います。
超タマシイ。」
ノリノリなカラオケが始まった。
前世持ちでないと盛り上がれないよ!
「二番ゼファー、手品します。
シルクハットから…子供ドラゴン!」
節子、それ手品ちゃう、召喚や。
「三番、ギルシュ。
林檎で細工斬り!
ってああっ!食べちゃ駄目!」
だが、用意した林檎は、先程の子供ドラゴンがヒョコッと食ってたから、出来は不明で有る。
「四番ヤーゼフ、俺も林檎で細工斬り!
はっ、とう!どーだ!」
ドラゴンに取られないように作ったのは、薔薇だ。
ただ、林檎がデカイので牡丹みたいに見える不思議。
結局、私の手に渡す前に子供ドラゴンが又食ってたけどね。
「五番サリバ、マニ様の氷の像を作るよ。
むむむ、はっ、てうわっドラゴンこっちくんな」
出来を見る前に、子供ドラゴンは氷の像をオレオマエマルカジリでした。
あれさぁ、ワザとかね?
「私は丸かじりされんのかな?」
冷たく呟くと、やっとゼファーが子供ドラゴン引っ込めた。
何かどちらも凄く怯えてるけど、何か有ったのかなー?
「ろ、六番エイゼフ。
マニ様に捧げる詩を考えて来まし…ああ!寝ないで!」
ポエマーエイゼフ降臨前に寝たふりをする。
「あ、あのボク七番ルカです。
覚えたての竪琴を弾きます。」
オドオドと奏で始めた割に、その音色は華やかで優しい。
だが、習った本人は知ら無いだろうけど。
奏でる曲が完全にクリスマスソングだった。
奏で終わった後に、私が一言。
「勝者、ルカたん!」
いつの間に勝負になって居たのか分からないルカを除き。
ガックリとうな垂れる野郎共に乾杯!
ちょっと時系列ズラしてクリスマスパーティーチックな外伝です。
ルカたん!かわゆす!
状態ですが、まぁまだマニは恋心迄には至ってません。