カラオケ①どりんくばあ
さあ、無事マジ子の承諾も得て、カラオケボックスへと向かうことになった俺ら。カラオケに1度も行ったことのないマジ子…一体全体、どうなってしまうのか!
波乱爆笑の第3コマ目、始動!
「真嶋ー。よく見ておけ、ココが『カラオケ百万点』という建物だ」
「おお…ここが…『カラオケひゃくまんて』、ですね!」
※なんだか若干違うがそこは気にしないでおこう。
俺が指差す建物…全くをもって普通のカラオケボックスであるのだが、真嶋は新鮮な目つきで外観をじっくりと眺めている。その様子は遊園地を前にした子供のようであった。
「まず、こっから入る」
俺はガラスのドアをグイッと押し、店中を指差した。
「そして、あのカウンターで、いろいろと取り決めを行うんだ」
「取り決め……とはなんですか」
「そうだな…例えば、カラオケの機種を選んだり、コースを選んだりとかだな」
「そうなんですか。あ、私この間友達から聞いたんですけれども、ひとつわからないことがあって…質問してもいいでしょうか」
「ああ、何でも聞け」
「はい、あのですね…どりんくばあとは、何のことでしょうか?」
「ああ、それはだな…」
「“どりんく”っていう、お婆さんが経営しているのですか?」
………は??
「大正・昭和生まれの方にしては、ずいぶんと洒落た名前だなぁと、内心不思議に思っていたので…」
「あの、だからそれは…」
「確かに、イントネーションは婆、でした。この『カラオケ』という場所には、たくさんの若者がたむろしているという噂ですから心配で…。こんなチャラチャラした場所に、お婆さんがいても大丈夫なんでしょうか?カツアゲとかされませんか?」
………うーむ。
「……コホン。あのね、真嶋さん。よく聞いて」
「はい」
「どりんくばあ、っていうのはね、外食産業における、セルフサービス方式のフリードリンクコーナーのことをさすの。決してお婆ちゃんが経営してるワケではないから、安心して。ね?」
「そうなんですか!よかった…」
※安心する部分が、一般的な人と明らかに違っている。
「じゃあ、俺が先に決めとくんで、みんな先に部屋に行ってていいっス!」
「おー助かる。んじゃ、みんな、先に行ってるかー」
さあ、まだ歌ってもいないのに、疲れてきやがったわい。
カラオケ②に続きまっすー。