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2

作者: 樹木

ああ、相棒。あんたのいう通りだ。あんたがしんだあともかわらず戦争は続いたよ。人間どもは、いや、人間の雄どもはそろいもそろってバカの一つ覚えみたいにしに急いだ。お前の望み通り"自由なただの羽ばたく蜥蜴"になったおれは今まですべてを、お前をころしたすべてを記憶してきた。まったく馬鹿げたことにもうあんたがしんで何年たったのかすらわかりゃしない。もはやどちらの国もなにが原因で争っているのかも覚えてないんだ。おれみたいな蜥蜴のことも誰も覚えてないほど時間がたった。本当にあんたのいう通りだ。誰もがしねと言われてしんだ。もう誰が命令しているのか解らない頃にすら人々は散り続けた。


いまや、人より獣の方が多いんだ。ひどく利己的な生き物である人間があんたの生きていた頃よりずっと減って、おれの仲間がたくさん帰ってきた。


それでも人間がいなくなったわけじゃない。最近おれのところにガキがくるんだ。おれと契約したいらしい。なあ、相棒お前は何者にも縛られない自由な立ち位置におれの幸せがあると思ったんだろうが、そんなのは結局自由なんかじゃなかったんだ。事実、今もおれは思考のコントロールすらもままならない。幸せは空にはなかったんだ。自由なんていうものは、自分を縛るものを自分で選ぶことだ。だから幸せと自由が等号でむすばれるのならばおれの幸せはあの日、お前とともに潰えたのだろう。ゆえにお前以外とは契約しない。


おれは今日も世界を廻るよ。最期のあの日初めて翔んだ蒼空の蒼さに感動していたお前にいつか迎えに来るであろうお前に少しでも世界を伝えるために。お前の望み通り、自由に羽ばたこう。

1の続きみたいな おれ の独白

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