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4-8

「……それにしても、本当にいいものができましたわね。

 これが流通したら、世の女性たちはどれほど助かることでしょう。」


クリームを塗り終えたフィナさんが、指先をそっと触れ合わせながら満足げに微笑む。

普段の凛とした雰囲気よりもずいぶん柔らかい。

 


「ねぇ、ユリちゃん。このクリームって……量産できると思う?」


容器を覗き込みながら、シュナさんが期待に満ちた声で問いかけてくる。

瞳がキラキラしていて、まるで宝物でも見つけた子どものようだった。


「えっと……作る作業自体は、それほど難しくないと思います。

 ただ、蜜蝋の量が多めなので……そこが課題になるかもしれませんが、準備は難しそうですか?」


「大量となるとね、蜂の素材は貴重だから……」


残念そうに肩を落としつつも、その眼差しはどこか前向きだ。



「それに、もし本格的に流通させるなら……

 ほかの植物油も試して、もっと最適な配合を探さないといけないと思いますよ」


「配合を変えて試す……つまり……試行錯誤ですね」


シュナさんのスイッチがカチッと入った感じがした。

 


彼女は机の上に並ぶ瓶を勢いよく見回し、


「よーし! じゃあ今日のうちに、できるだけいろんな配合を試してみましょう!」


「えっ!? 今日のうちに……ですか?」


声が裏返る私をよそに、彼女はすでに次の実験準備を始めている。


「もちろんよ! 植物油の種類を変えたら、伸び具合や仕上がりがどう変わるのか……考えただけでワクワクするわ!」


その勢いは、完全に研究モードに突入していた。



フィナさんが、はぁ……と肩を落とした。


「シュナさん、気持ちはわかりますけれど……

 あまり詰め込みすぎると、本当に日が暮れてしまいますわよ?」


「いいの、今日はすっごく頭が冴えてるんだから!」


(ああ……もうこれ止められないやつだ……)

私たちは顔を見合わせて、くすりと笑った。




窓から差し込む午後の陽光は少し傾き始めている。 


「じゃあ、試してみたい配合を紙に書き出していきませんか?」


「書き出す前に、まず手を動かすのよ!」


フィナさんが控えめにため息をつきながらも、ちゃんと器具を並べるお手伝いをしている。

なんだかんだ言って、一番手際がいい。


 

こうして――

私たちは小さな研究会のように、次々とアイデアを出し始めた。


・違う植物油を使うとどうなるのか?

・香りを加えるなら、どの香料が相性がいい?

・肌に効くといわれる薬草を入れたらどうなる?

・工程に魔法使えば、もっと品質の良いものができるのではないか?


話すたびに、次から次へと可能性が広がっていく。




(……なんだろう、この感じ)


向こうの世界でも、こうして仲間と何かを作ることはあった。

けれど、ここで感じるワクワクは、どこか違った。


それはきっと——

この世界にまだ存在しないものを、生み出そうとしているからかな。。



この研究室の空気は、期待と未来で満たされていたと思う。



 

「じゃあ、次の配合いきますよ!」


シュナさんの声に、自然と頬がほころぶ。


こうして、夜にまでの私たちの実験は続いていたのだった。


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― 新着の感想 ―
定番アイテムが出てきてさあこれからどういう展開になるか というところで今年は終わってしまいましたね 投稿大変だとは思いますが来年の更新気長に待ってますね
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