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3-5

私の心情に気づかれないまま、私の隣にいるオレムは、自己紹介を続けた。


「殿下の後ろに控えているのは、殿下の騎士デュランだ。」


紹介された人物は、立ち姿だけで“強者”と分かる迫力を放っていた。

黒髪に鋭い赤い瞳。無駄のない筋肉のつき方に、整った顔立ち。

そのすべてが洗練されていて、まるで絵画から抜け出たようだった。


肩にかかったマントが揺れているが、私が部屋に入ってから彼は自身微動だにせず動いていない

(まさに“理想の騎士”って感じでかっこいい!! ゲームに出てくるキャラそのものだよ)

思わず心の中で感嘆していると、今度は隣の金髪の青年が軽やかに身を乗り出してきた。




「で、こちらが——」

「シュナといいます。よろしく」


オレムが言い終えるよりも早く、本人がにこやかに名乗った。

金色の髪を美しく編み上げている女性。

まさしくお姉さまって感じの美人。

今までの感じでは、話しかけやすい印象なんだよね。




次に、紅茶を入れてくれたメイドさん。私の方を向いて優雅に一礼した。

「私は、殿下の侍女フィナロッテと申します。」


侍女、、メイドさんじゃなかったんだ。

その声は落ち着いていて、どこか包み込むように優しい印象だ。



全員の名前覚えられるかな


それにしても、イケメンに美女と、美形密度が高すぎない??

内心で悲鳴を上げながらも、私は引きつった笑みを浮かべる。

現実離れした美形たちを前に、私は自分だけ世界観が違うような気がしてくる。



不意に、シュナが優しく声をかけてくれた。

「大丈夫?」


「あ、だ、大丈夫です! ちょっと……眩しすぎて……」


「眩しい?」

彼女が小さく首を傾げる。その仕草まで上品で、ますます眩しい。


(いや、そうじゃなくて——あなたたち全員が“存在的に眩しい”の! 視界の輝度が限界突破してるの!)

もちろん、そんなことは言えない。

私は必死に笑って誤魔化したが、オレムが隣で軽くため息をついた。


「……どうやら、この空気に慣れるには時間がかかりそうだな」


(うん、たぶん一生かかっても無理だと思う……!)



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