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翌日の昼ごはんの後、私は厨房に向かった。
目的はひとつ——父の足の痛みを少しでも軽くするため、食事の改善を提案すること。
もちろん、オレムがいない今、魔法での治療は厳禁。それなら、食生活から変えるしかない。
でも、素直に「お父さんの食事を変えてください」なんて言ったら、怪しまれるに決まってる。
ここは……少し遠回しにいこう。
「すみません、本日の料理は何なりますか?」
厨房の奥にいた料理長に声をかける。すると、彼は丸い背をのばしてこちらを向いた。
「これはお嬢様。珍しいですね。食事の内容を確認に来られるとは……」
「いえ、少し気になったので……」
「本日の料理は、鹿肉のローストと魚介の煮込みを予定しております。」
うん、おいしそう。でも……父の足には、ちょっと刺激が強いよね。プリン体、多そうなんだよねぁ。
私は意を決して、なるべく自然な声で切り出した。
「あの、今日の献立なんですけど……ちょっと、変えてもらうことできませんか?」
「変える?」
料理長が眉を上げる。鋭い眼差しがこちらを射抜いた。
「い、いえ! 料理に不満があるわけじゃないんです。ただ、朝からちょっとお腹の調子が悪くて……」
「大丈夫ですか?」
ちょっとぶっかけすぎたかな……
「今の所は落ち着いているので、大丈夫です。少し怖いので、もし可能なら夕食はもう少し軽めのものにしていただけたら、と思いまして……」
私は慌てて手を振りながら、できるだけ控えめに微笑んだ。この方向性でメニュー変更できるかな?
すると、料理長は腕を組んで少し考え込む。
「ふむ……お嬢様がそのように仰るなら、リクエストはございますか?」
疑われていない感じかな……
プリン体を多く含まれている食材は、
・種類によるけど一部の海鮮ものなどの魚(種類は覚えていないなぁ)
・肉に関しては、一番はレバー
・野菜では、小松菜
今、私が分かるのはこれだけの知識なのよね。。
一番offしたいのは、ビールなのよね……これをやめてもらえたらいいのだけど、今回は難しいよね。
これらを踏まえると、魚をやめてもらって、肉メインにしてもらう方が良さそうなんだけど、、おなかの調子が良くないと言っている手前、肉メインっていうのはおかしいよね……設定ミスったかな……
お腹に優しい料理、、スープ系かな。でも、この国はがっつり系のメインがないといけないから、肉団子をシチューに入れたら、メインになるかな……
あまり、料理をしなかったからレパートリーが少ないから、偏ったメニューばかりになってしまう。
なので、何を作ればいいのか全然思いつかないんだよね。こういう時にスマホがあればと思う。
あとできることは、水分を取ってもらって、血中の尿酸値を緩めるって方法だけど、、
今はこれも難しいかなぁ。。。
とりあえず、思いついたメインのメニューをいうと、一瞬、料理長の目が細くなった。
「なるほど、肉団子のシチュー……ですか。珍しい組み合わせですが、面白い発想ですな」
料理長は腕を組み、少し考えたあと、にやりと笑った。
「お嬢様、承知いたしました。対応できますので、夕食はお楽しみください。」
そう言って、作業に戻られた。
……あれ? 案外、すんなり通った?私は少し拍子抜けしながらも、胸の奥で小さな希望が芽生えた。
——これで、父の足が少しでも楽になりますように。




