表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1-1 異世界に転生した女性

初めて投稿します。

不慣れな点がございますが、よろしくお願いします!

なんで?


頭が靄に包まれたようにぼんやりして、記憶がまるで水面に浮かぶ泡のようにはかなく消えていく。

重いまぶたをゆっくり開くと、目の前に広がったのは見知らぬ天井だった。



太い木の梁が天井を横切り、中心には金属製の豪奢な照明。

窓から光がこぼれ、レースのカーテンが風に揺れていた。遠くで、鐘の音が低く響く。


(ここ……どこ?)


疑問が浮かぶと同時に、体の感覚が徐々に戻ってきた。柔らかなベッドに横たわっているが、身体がひどく重い。まるで自分のものではないような違和感が全身を覆う。

恐る恐る手を目の前にかざす。


細く、透けるように白い指。繊細な爪。動かすたびに手首の骨が浮き上がる。


(私の手……こんなだったっけ?)


混乱する頭で、必死に自分の名前を呼び起こす。

——佐倉結衣。26歳。看護師一年目。新人で、いつも慌ただしくて……

仕事終わりにロッカールームで着替えて、病院を出て——それから?


何か大事なことが頭をかすめたのに、霧のように消えてしまう。


(思い出せない……)


身体を起こそうとすると、筋肉の動きが普段と違うことに気づいた。

長い間寝たきりにされたような、ぎこちない動き。


ベッドから足を下ろすと、絹のネグリジェがふわりと広がった。足元に触れる床は冷たく、磨かれた木の感触がリアルすぎる。

部屋を見渡す。広々とした空間に、大理石の壁と精巧な木彫りの装飾。高級そうな家具が整然と並び、まるで中世ヨーロッパの貴族の館のようだ。


だが窓の外には、赤色に染まる空と、沈みかける太陽。


(これ……夢? 現実?)


頬を軽く叩いてみる。鋭い痛みが走り、夢特有の曖昧さはない。

「え、なにこれ……意味わからない……」

自分の声が広い部屋に小さく響く。


確かなのは、ここが私の知る場所ではないということ。

そして——私は、もう「佐倉結衣」ではないかもしれない、という恐ろしい予感。



震える手でネグリジェの裾を握りしめ、深呼吸する。

(落ち着いて……まず、状況を把握しなきゃ)

そう自分に言い聞かせるが、心臓はますます激しく脈打っていた。


その時——。

ギィ、と扉がわずかに軋み、誰かの気配が差し込んだ。

急に不安が押し寄せ、ベッドに座り込む。胸の鼓動がさらに速くなる。


作品を読んでくださりありがとうございます!

誤字脱字等ございましたら、ご連絡ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ