第一話 契約成立
小さく音を立てて時計の短針が四の字に重なる。時刻は十六時ちょうど。冷めきった公園のベンチに腰掛ける男がこの俺。高校時代のボロジャージにぶかぶかなスウェットを重ねただけのみすぼらしい格好で傍からみたらまるで___
「ニートのお兄ちゃん?そんな服だと風邪ひくよ?」
「そうそうニート、じゃねえわ!俺は26歳のピチピチのフリーターだ!」
「自己紹介もいいけどさぁ、その前に僕の気遣いに対する感謝は?てか、二十六でピチピチ?ぷぷ。お兄さんに僕の国語辞典貸してあげようか?」
このガキ、小学一年生くらいか?制服があるようだし私立に通っているお坊ちゃまってところか。仮にも金持ちのガキの癖に礼儀がまるでなって無い。ムカつくガキだがここは俺が大人の対応を見せてやろう。
「んで、何の用だ。ガキ。俺はお前に構えるほど暇じゃねぇんだぞ?」
「言い返さないんだ。つまんな、。」
「何か言ったか?」
「いーえ、何でも。ただ僕はお兄さんとおしゃべりしたいだけだよぉ。」
「そ、そんな目を向けるな。気持ち悪い。」
「もしかして、お兄さん実は子供好き?じゃあさ、んん。ねぇ、ねぇ?僕とお話、してくれないかなぁ?」
このガキ、甘い声出しやがって。上目遣いで目を潤ませて、なんだか可哀想になってきた気も___。いいや、ダメだダメだ。ここで良いなんて言ったら奴の思うつぼだ。悪いが断らせてもらおう。
「__金だ。」
「え?」
「金があれば話してやる。」
俺の馬鹿野郎ーー!!子供相手に金をたかるとか最低すぎるだろ。で、でもこれで奴も幻滅してどこか行くはずだ。
「わかったよ!お金用意してくる!明日も同じ時間にここにいてね!」
「は?お前何言って?」
「だーかーらー!僕お金持ってくるから、明日こそ僕と話してよね!じゃあね、ショタコンのお兄さん!」
「なっ、お前!俺はショタコンじゃないぞーーー!ってそれどころじゃない!」
契約が成立してしまった、?