表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

星野満のエッセイシリーズ

夏の甲子園予選決勝、君たちの顔は大人に見える

作者: 星野 満

※ 高校野球の予選決勝見て、胸が熱くなって一気に書きました。

※ 2025/6/21 勢い任せで書いたので少し修正しました。

(~_~;)

※  ※  ※



今夏はパリオリンピックが開催しました。

バレーボール、バスケット、サッカー、体操、柔道、水泳等、スケートボードなど目移りするくらい。

この夏はスポーツ観戦好きな自分には、楽しみが増えました。

夏は競馬のG1がないので少々残念だけど。

オリンピックと高校野球で楽しみ、秋まで待ちましょう。


※  


先週から、甲子園の各地方予選のテレビ中継を見てる。

予選の決勝戦は感動しかない。


あと一歩で甲子園に届かなかった選手たち。

5年ぶり念願の甲子園切符を手にする選手たち。


サイレンが鳴り響き、戦った選手達同士で握手をする。

勝った高校は校歌を斉唱できる。


校歌斉唱は選手たちにとって大いなる栄誉の歌。

敗者は校歌を歌えない。

選手一同横並びになって歌う。

その歌う選手一人一人の表情がとても良い。


まだ十代なのに大人のような表情してる子もいる。


彼等は幼い頃から野球一筋の道は往く。

野球を通して、忍耐、訓練、我慢、上下関係と社会に出ると嫌でも分かる、大人への階段を確実に上るレールが待っている。


こんな現代に生きる若い少年たちが、昔ながらの世界に挑む。


そして甲子園を目指して、地獄の練習をして勝ち取った栄光。

先輩後輩の上下関係の中で耐えながら、仲間との熾烈なレギュラー争いも勝ち取って下剋上のサバイバル。

レギュラーになれば、監督に怒鳴られながら、打撃や守備練習を泥だらけになって夜遅くまで練習をする。


キャプテンに選ばれれば、特に強豪校になればなるほど、責任とプレッシャーもあるだろう。

チームの想いを背負って背負って1つの白球を追いかける。

いろんな葛藤や、しがらみや、いろんな理不尽の中でも目の前の白球を追いかける。


ひたむきに追いかける、そんな君たちの汗は余りにも尊い。


たった2年半の人生の中でも一番凝縮した時期。


まさに野球だけに遮二無二に生きた青春。

そこまで必死に野球に生きれば、18歳以下の少年が大人の顔にならざる負えない。


校歌斉唱は何度歌ってもいい。

歌いながら泣いてる子、笑っている子、試合でやりきってぼぉとしてる子もいる。


校歌斉唱が終わると、全力疾走でアルプススタンドの応援席に懸命に走る選手たち。

だらけた走りをする選手はいない。

応援してる人達にお辞儀をし「勝ったぞ!」と、ガッツポーズをして、応援団たちと全員で喜びあう。


炎天下の中、応援してくれた人々の笑顔、

ベンチ入りできない野球部員、

学校の生徒たち、学校関係者、家族や友人等、多くの応援してくれた人々に、ガッツポーズする子もいる。

チアや応援団も泣いてる。バンザイ、拍手する。


※  ※  ※


何だか毎年毎夏、高校野球は、同じシチュエーション。

なのに、何度見ても感動するのはなぜだろう?


敗れた選手たちにも熱きドラマが見える。


負けて倒れ込んで泣きじゃくる子。

仲間が肩を掴んで歩けない子を支える。


ついつい見ているこちらも、もらい泣きする。


特に3年生には、最後の夏が終わるから。

下級生たちは先輩に詫びて、三年生は次の甲子園へと下級生に思いを託す。


だが、1人になった時、彼等はどんな思いで負けを心に飲み込むのか?



月並みだけどスポーツって必死に戦うから感動する。

負けた悔しさ、後悔、苦しみ、エラー。

負ければ、その時は心が潰れる、


悔しさは、泣いて泣いて吐き出すしかない。


日頃、人はあまり内面をストレートにだせない。

特に日本人は、自我を人前でさらけ出すのは、美徳に反すると言われやすい。

調和を大切にする日本社会。

だからなのか、スポーツは見ててカタルシスがある。



※  


高校野球の予選の話に戻るが、決勝で勝つ負けるのは「天国と地獄」みたいなもの。


あと一歩届かない、あと一歩がとてつもなく遠い。

夏はトーナメントだから、一瞬も気が抜けない。

戦う敵は相手校だけではない、この灼熱のうだるような暑さだ。


足がつり、けいれんし、熱中症で倒れる子もいる。


なぜそこまで君たちは戦うのか?


仲間がいるから? 野球が好きだから?


若い高校球児たちにとって、もしかしたら人生の最高のピークが「甲子園を目指して戦ったあの時」と言う人も中にはいるだろう。


見果てぬ夢の甲子園。


たとえ甲子園に出ても全国の壁にぶち当たり、跳ね返される。

初戦で負けたら、あっと言う間に夏が終わる。


頂点に立つのはたった1校だけだ。


甲子園で負けると砂を持って帰る選手が多い。

甲子園の砂とはいえただの砂だ。


でも彼らの目には聖地の砂。

必死に泣きながら、真っ黒の泥だらけのユニフォームとボロボロの豆だらけの手で瓶に詰める。


勝ち続ければ投手の肩はボロボロになっていく。

それでも渾身の一球を投げるんだ、チームのために、自分のために、応援してくれるすべてのひとのために。

MLBにはない世界。

米国人にはけっして理解できない世界だろう。


「野球は筋書きのないドラマ」と、名言残した人は凄い。

高校野球は、心にグッとくる名シーンばかりだ。


この炎天下の中、真っ黒になって打って、走って、守って、投げる。

現代の夏の猛暑でも炎天下で戦う高校野球。

端から見れば自殺行為のような夏の甲子園。


9回裏ツーアウトランナーなし。

最後の走者は、打った球はボテボテゴロでも、一塁ベースにスライディングする。


走り抜けてもスライディングでも変わらない、と言われている。


たとえそれが分かっていても、彼等はスライディングするんだ。


0.1秒でも早く一塁ベース突けばセーフになれば、まだ試合は続くのだから。

自分のせいで夏を終わらせたくないから……


甲子園に行ける高校はいい。


インタビューで、

「一試合でも長く3年生と一緒に試合がしたい!」

「生徒たちのおかげで勝てた」という監督。


言葉にしたらもう、きりが無い。

君たちの汗と涙と泥だらけの顔が私は大好きだ。


何十年以上、高校野球を見てるけど甲子園は何時までも、どんなに時代が変わっても、高校野球だけは変わらない世界でいてほしい。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ