表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラレル・ロマンス  作者: 上葉 壱。
プロローグ
1/10

プロローグ 『誰が為に』

本作品を読んでいただき有難うございます。

是非、ブックマーク等への追加をよろしく!

 ――いつかはさ、私のこと好きでいてよ


 それが彼女から贈られた、紛れもない最期の言葉。

 ありきたりな僅かな言葉が、今にも咽び泣きそうな弱弱しい声が、何かを強く訴えるその瞳が、俺には直視できない程に眩しく思えた。

 最期を迎え、尚、輝きを忘れない彼女の美貌は――と考えていた矢先に、現実に侵された体が、生命の艶を擦り落とし、死によって汚れていく。かすかな吐息が微弱さの加速を終え、完全に途絶える。かと思えば、今度は白髪が光を失っていた。

 先刻までの煌びやかさが虚構だったのかと、そう疑いたくなるくらいに死という真実は残酷で、一切の容赦が感じられない。彼女は今、死んだ。命を落とした。


 それが運命だったのなら受け入れるし、誰かに殺されたのだというのなら、膨大な憎悪を抱えて、これからを歩んでいく覚悟だって決める。最悪、俺が何かの間違いで殺してしまったというのなら、死に逃げるという安易なこともせず、四肢や五感を失うのだとしても、それでも罪というものを全力で償ってやった。命以外の全てを捨てる事が俺にはできる。


 ――■■を亡くした俺ならば


 しかし、彼女の死因がどれかに当てはまる、ということは起きなかった。


「君が彼女を殺したんだ」


 最期の言葉に続いてその耳障りな言葉が、己の意識外で木霊する。

 ならば、言葉通り俺が殺したのか――というのは曖昧で稚拙だ。なにせ、今話している人物が、彼女へ牙を剥いた拳銃の引き金を引いた事実もまた、紛れもない真なのだから。

 しかし、このままでは辻褄が合わない。眼前の人物は彼女を撃ちながら、それでも俺が犯人だと断定する。贖罪から逃れている訳でも無く、ただひたすらにそれが現実なのだと、


「み、な?」


 あらゆる事実の裏合わせに、全身が遅れて到着する。ようやく彼女の最期の言葉に、新たな言葉を紡ぐことができた。ようやく、できた。


「俺を、庇って、何、死んでんだよ」


 彼女は俺を守るが為に、命を落とした。


 ――■■を亡くした俺なんかのために

本作品は毎日21時以降に配信しております。

また読みに来てくださいね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ