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二十五話

「私に誕生日の舞踏会に出て欲しい!?」


 今、私にそう言ってきたのはラムサス王子だ

 来週はラムサス王子の誕生日である

 だから私がラムサス王子と一緒に舞踏会で踊ってほしいというのだ


 私はラムサス王子に頼まれたことを断ろうとしたが

 休憩中ラムサス王子が正座の上目遣いでお願いされたら断りづらい


 あのラムサス王子がこんなあざと可愛いお願いの仕方をしてくるのか……!?


 ラムサス王子がどんな女性と踊るのか見てみたい気持ちもあったが

 きっと闇のオーラ出して周りに迷惑をかけるだけだと思い

 私は了承することにした


 しかし、私は踊りなど一切出来ない!出来る踊りは盆踊りくらいである

 だから私はダンスの練習をするためにラムサス王子の部屋に来ていた


 ここでダンスを教えてもらうのだ


 ラムサス王子は私に問いかける


「アリア、まずは基本的な姿勢から教えようか」


「はい!お願いします!」


 私は元気よく返事をした


「じゃあ、まずは基本の姿勢から」


「こうですか?」


 私は盆踊りの両手を上げた姿勢を取る


「なんだそれは?そんな格好で踊れると思っているのか?」


「え?」


「とりあえず、そこに立って」


 ラムサスは私の後ろに立つ


「そうじゃない」


 ラムサスは私の背後に立つと腰に手を回してきた


「ひゃっ」


「もっと俺の方に寄れ」


「は、はい」


 私はラムサスに抱き寄せられるような形になる


「そのまま俺の動きに合わせて動いてくれ」


「わ、わかりました」


 私は緊張しながらも言われた通りに動く

 すると、体が密着し、お互いの体温を感じる


「む、胸を……」


「ん?どうした?」


「なんでもないです……」


「よし!じゃあ次は足を交差させて」


「こ、こうですか?」


「違う!こう」


 ラムサスは私の足の間に自分の右足を差し込んでくる


「えっと……」


「これで合ってるぞ」


「そ、そうなんですね……(近い……)」


「次はターンだ」


「え?まだやるんですか?」


「もちろんだ」


「はい!頑張ります!」


「じゃあ、もう一度最初から」


「はい!」


 私は両手を上に掲げる


「そうじゃなくて、さっき教えただろう」


「あ、そうでしたね!すいません!」


「まったく……じゃあ、もう一回」


「はい!」


「そうそう、それで、左足少し前にして姿勢を前にして」


「こうですか?」


「うん、そうそう」


「あれ?ちょっと待ってください!なんか、この体勢おかしくありませんか!?」


「なにが?」


「だって、この体勢だと、

 私がラムサス様を押し倒しているみたいになっていますよ!?」


「なにを言っているんだ?俺は押し倒されたりなんてしないぞ!

 後ろにベッドがあるだけだぞ」


「そうですよね!?」


「それにしても、今日も暑いな」


「ちょっ!どこ触っているんですか!!?」


「おっと、すまない手が滑った」


「絶対わざとですよね!?」


「なんのことかな?」


「怒りますよ?」


「すまない調子に乗ってました」


「もう……」


「次からは気をつける」


「そうしてください」


「はい」


「では、始めましょう」


「よろしく頼む」


「……」


「どうしたんだ……?そんな真剣な目で俺をまじまじ見つめて……」


「ラムサス王子……鼻毛のケアどうやってます?

 どの角度から見ても鼻毛見えないのですけど?」


「お前は俺の鼻の穴をそんな真剣な目で見ていたのか!?」


 ラムサス王子は顔を真っ赤にして叫ぶ


「えーっと ただ、その……

 鼻毛が出ているかどうかの確認をしようと思って……

 ほら、王子だし、やっぱり身嗜みとか大事だと思うんですよ」


「そんな確認を俺にするな!!」


 ラムサス王子はさらに顔を赤くして叫ぶ


「まぁ、冗談はこのくらいにしときまして、本題に入りたいと思います」


「今のが冗談!?」


「はい、そうです」


「お前は本当に面白いな!」


「それほどでも」


「褒めていないからな!?」


「えへへ」


「笑って誤魔化そうとするな!」


「で、話を戻しますが、今から踊りを覚えるなんて私には不可能!

 こう見えて私リズム感ないので秘策を使いたいと思うのです!」


「ほう……それはどんな方法だ?」


「ズバリ!ベーゴマ踊り大作戦です」


「べーごま?なんだそれは?初めて聞く名前だ」


「ええい!説明するのがめんどくさいです!いいから私と踊ってみてください!」


 私はラムサス王子の手を取る

 そして、自分に少し浮遊魔法をかけてラムサス王子に回すように言う


「こうか?」


「そうそう、うまいですね!じゃあ、いきますよ!」


 私はベーゴマの如くクルクルと回る


「おお!これはなかなか楽しいものだな!」


「でしょう?もっとスピード上げていきますよ!」


「ああ!」


 私はベーゴマのように回り続ける


「どどどどうでしょうか……?これなら私も世界も回ることが出来ますすす!」


「うむ!大体分かったぞ……俺の力でアリアを踊らせることが出来るわけだな!」


「はいいい!ただし本番ではあまり回さないでくださいね!吐きますよ!」


「分かってるって」


「あと、回転は一分につき一回でお願いします!それ以上やると吐くので」


「了解した」


「それでは踊りましょう!」


「そうだな」


 私たちは踊り始める


 するとソフィア先生の声が聞こえてくる


「弟子よ……浮遊ダンス魔法!すごいぞ!」


 いつの間にかソフィア先生はラムサス王子の部屋にきて

 私達のダンスをつまみに酒を飲んでいた


 私はラムサス王子に浮遊魔法をかけて回す

 ラムサス王子も負けじと私を回す

 私はラムサス王子の手を握り王子の周りをぐるぐると回っている


 ラムサス王子は笑いながら楽しそうにしている


 私はそんなラムサス王子を見て思わず微笑んでしまう


 なんだかんだ言ってもラムサス王子も12歳の少年なんだと私はそう思った……


 この後、新品の鼻毛カッターという魔道具をプレゼントされた

 なぜかと思い私は鏡を見たら鼻毛が少し見えていたのだった



 ~ラムサス王子の誕生日の1日前~


「はっはっはっは!見ろ!弟子よ私は飛んでいるぞ!

 少しだが自分の力で飛んでいるぞ!見ろ!ラムサス!

 私の方がお前より!魔法は愛してくれているぞ!」


 ソフィア先生は徹夜のテンションでハイになってそう叫んでいる


 ラムサス王子も呆れ顔でソフィア先生を見ている


 しかし、私はそんなことは気にせず、鼻毛を切る作業に集中する

 この魔道具はとても便利である

 適度に空いた隙間のある鉄に覆われ刃の部分が回転することで、

 鼻の中を傷つけずに綺麗にカットしてくれるのだ


 さらに、水を噴射し掃除する機能もついており、とても優れものである

 これで、鼻毛を抜かずに済むし、いつでも清潔に保てる

 やはり、文明の発展とは素晴らしい


 そんなことを思いつつ、ラムサス王子とソフィア先生を見る

 ソフィア先生は疲れてたのか浮きながら寝ている


 ラムサス王子はそんなソフィア先生を横目に浮遊魔法に集中している


 今日はラムサス王子の誕生日前日


 ラムサス王子は誕生日までに浮遊魔法を使えるようになりたかったみたいだが

 結局、間に合わなくて、明日に誕生日を迎えることになる


「うーん……」


 ラムサス王子はかなり苦戦しているようだ

 私は鼻毛を切り終えて、ラムサス王子の様子を見に行く


「どうですか?ラムサス王子」


「ダメだ……全然うまくいかない」


「そうですか……ちょっと失礼します」


 私はラムサス王子の顔に触り、魔力の流れを確認する


「うーん……やっぱりかなり複雑になっていますね」


「そうなんだよな……さっきからずっとやってるんだけどな」


「じゃあ、もう一度やってみましょうか」


「おう」


「はい、深呼吸して〜」


「すうぅ〜はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「吸ったら吐いて」


「すぅ〜はぁぁ」


「はいっ!どーーーーーーん!!!」


「どーーーーーーーーーーーん!?」


 私はラムサス王子腰に手をかけ全力で持ち上げる


「せーーーーのぉおおお!!!」


「ちょっ!待て!お前、なぜ俺を持ち上げる!」


「え?コツをつかむためです!コツを!」


「嘘だ!絶対違うだろ!」


「まあまあ、落ち着いてくださいよ」


「これが落ち着けるか!」


「じゃあ、行きますよ!そおい!」


「ぎゃああああああああああああ!!!!」


 私はラムサス王子をぶん投げる

 そして、ラムサス王子は宙を舞う


「くっ!」


 私は浮遊魔法を使いラムサス王子を受け止める


「どうです?宙を舞ったときに魔力を上手く操作出来そうですか?」


「怖くてそれどころじゃなかったよ……」


「じゃあ、もう一回投げますよ!」


「もう、やめてくれぇえ!」


「嫌なら成功させてください!」


「くっ!分かったよ!やってやるよ!」


「はい、その意気込みですよ」


「いくぞ!おらああああああ!!!」


「ぐふっ!」


 ラムサス王子を勢いよく天めがけ投げた


 ちなみに重力を軽くしてから投げているので力はあまりいりません!


「よし!今だ!」


 ラムサス王子は空中で浮遊魔法を発動させる


「ははははは!!俺にかかればこんなものよ!」


 ラムサス王子は浮遊した状態で浮くことが出来るようになった


「すごいです!そこまで来ればあとは


 自分の力で浮くのと浮いた状態で移動出来るようになりましょう!」


「おう!任せておけ!」


「では、降りれそうですか?」


「それは無理」


「はい……それじゃあ、浮遊魔法……

 いえ!『サイコキネシス』をかけて降ろしますね」


「おう!」


 私はラムサス王子に魔法をかけ操作してゆっくりと降ろす


「はい、着きましたよ」


「ありがとう!助かったよ」


「いいんですよ!これも修行のうちなので」


「そうか!お前は優しいな!はっはっはっは!」


 浮遊魔法のコツを掴んだのかラムサス王子はいつもよりテンションが高い


 そんなラムサス王子を見て私は微笑ましく思う


「でも、明日は誕生日会ですね」


「そうだな……少し緊張するな」


「そうですか?ラムサス王子はいつも通りで大丈夫ですよ!」


「そうかな?じゃあ、楽しみにしてるよ」


「はい、きっと楽しいパーティーになりますよ」


 私たちは部屋に戻り明日の準備をする

 何かプレゼントを用意した方がいいと思い

 この日のために用意したものがある


 それはこの私のブロマイドもとい肖像画である!


 前世で磨き上げた可愛い女の子を描き上げる技術を使った一品で

 鉄の掟の夜更かしをしないを破ってまで描いたのだ


 こんなに可愛い女の子である私を毎日見ることが出来るのである

 きっとラムサス王子も鼻血を出して喜ぶに違いない!


「ラムサス王子はどんな反応するのかな〜」


 そんな独り言を言いながら私の肖像画を見る……


 やっぱ自分の物にしようかな……なんか勿体無く感じてきた

 いや……もう少し描き加えて……


 私はさらに可愛さを追求するため筆を手に取る


「うーん……どうしよっかな……」


 私は悩む すると、メリッサが部屋に入ってくる


「どうなされたのですか?お嬢様」


「えっと……実はラムサス王子にあげる絵を描いてるんだけど

 もっと可愛く仕上げたいと思って悩んでたの」


「そうなのですか……

 でしたら鼻毛をすこし描いてあげればいいのではないでしょうか?」


「……メリッサ……あなたあれに気付いていたの?」


「はい、もちろんです」


「そうだったんだ……ならなぜその場で言わないの!?」


「お嬢様のうっかりチャームポイントを消すなんて メイドとして失格ですから」


「そこは指摘するべきでしょうよ!まったく……」


「それにしてもお嬢様にもあのようなうっかりがあるとは思いませんでした」


「うっ……」


「次からは私がしっかりサポート致したいと思います!」


「うん、よろしくね」


「はい、こちらこそ」



 ~ラムサス王子誕生日当日~


「ラムサス王子、おはようございます……」


「ああ、アリアか、今日は頼む……どうした?具合でも悪いのか?」


「はい、頑張りましょうね……ちょっと寝不足でして」


「そうか、あまり無理はしないようにな」


「はい、ありがとうございます」


 昨日の夜、ラムサス王子に渡すための肖像画の加筆をしたら

 結局、夜遅くになってしまった

 おかげで、寝坊してしまい今に至るというわけだ


「じゃあ、行くぞ」


「はいっ!」


 私たちは馬車に乗り込む

 会場までは、屋敷から出てすぐなので

 そこまで時間はかからないだろう


「よし、着いたぞ」


「ええ、そうですね……」


「おい、本当に大丈夫か?」


「はい、なんとか……」


「そ、そうか、ならいいのだが……」


 ラムサス王子が心配そうに見つめてくる そんなに顔色が悪いのだろうか?


「お二人とも、ご準備が出来ましたらホールの方へお願いします」


「ああ、分かった」


「はい、分かりました」


 私たちは着替えて会場に向かうそこには既に大勢の貴族たちが集まっていた

 そして、ラムサス王子が入場すると一斉に拍手が巻き起こった


 私はその後ろをこそこそとついていきひっそりと私の席へ移動する


「では、これよりラムサス・レイフォンの誕生日を祝うパーティーを始める!」


「「「おおぉお!!!」」」


 その言葉とともに、盛大な音楽が流れ始める

 と同時に料理が次々と運ばれる


 この日のために、屋敷のシェフたちが腕によりをかけて作った

 豪華な食事なのだろう どれも美味しそうだ!


 ちなみに、今日の主役であるラムサス王子はと言うと……

 さっきからずっと挨拶回りをしている


 まぁ、これも仕事だし仕方がないよね!


 私は、料理を食べながら舞踏会が始まるのを待つとしよう

 もぐもぐもぐ……

 美味しい! 肉もパンもスープも美味しい!

 私は夢中で食べていると、後ろから声をかけられた


「こんばんわ、かわいいお嬢さん」


 もぐもぐ 私が可愛いとはこの男の人 もぐもぐ 分かっていますね もぐもぐ

 しかし もぐもぐ 食事中に もぐもぐ 話しかけないでほしいです もぐもぐ


 金髪に細い目をして年齢は20歳くらい服装を見るにどこかの王族の方でしょうか


 もぐもぐ それならば失礼なことは出来ないので

 もぐもぐ 急いで食べるとしましょう

 もぐもぐ あっ……喉に詰まりそうになりました


 飲み物を飲もうとすると目の前にコップが現れます


 どうやらこの人がくれたようですね

 せっかく頂けるのなら遠慮なく貰いましょう ごくっごくっ……


 ぷはーっ!! 生き返りました


「ありがとうございます もぐもぐ それでなんの御用ですか?」


「いえ、ただのあいさつですよ」


「そうですか もぐもぐ」


「ええ、それとお聞きしたいのですが」


「なんです? もぐもぐ」


「あなたはなぜそんなに必死に食事をしているのですか?」


「だって、まだ全然食べられてませんもん」


「そうなのですか……? そんなに小さいのに」


「あぁん!?」


「ひぃ!?」


「小さいとは何のことですか?」


「えっと……あなたですけど……?」


「ほぅ……あなたには(この胸が)小さく見えるのですね?」


「ええ……とても(背丈が)小さく見えますよ?」


「これからでかくなるんじゃい!バカにすんな!」


「な、それは、すいませんでした……」


「分かればいいんだよ!分かれば!」


「えっと……自己紹介がまだだったね

 私の名前は、リガル・バレンというんだ

 こう見えてもバレン国の国王なんだ よろしくね」


 そう言ってリガル王は貴族の礼をする


「私はアリア・リュゼクリスと申します こちらこそよろしくお願いします」


 私も貴族の礼をする


「うんうん、礼儀正しい子は好きだよ

 ところで、君は王子様とはどういう関係なのかな?」


「はい?王子様?」


「うん、王子様」


「あ~ラムサス王子のことでしたか」


 確かに、この国の王子様だから間違ってはいない むしろ正解だ


 だけど、こんな場所で関係を聞かれるとは思わなかった


 もし、ここで私が答えを間違えたら大変なことになるだろう


 なぜなら、相手は王様なのだから ここは慎重に言葉を選ばなければ……


 しかし、ここで本当のことを言って

 偽恋人作戦がラムサス王子の身内にバレてしまったら大変だ……


 よし!恋人といおう! きっと大丈夫だ!


 そして、この人に答えた瞬間私達は別れたことにしよう!


 私は勇気を出して答える


「もいみぃみょみぇす」


 もぐもぐもぐもぐもぐ ごくっごくっ ごちそうさまでした


 美味しかったです もぐもぐ では、さようなら


 ぺこり 私は一礼してその場を去る


 すると、後ろから声をかけられた


 振り返ってみると先ほどの貴族が立っていた

 何か用だろうか?


「ちょっと待ってくれ」


「なんです? もぐもぐ」


「あの……食べるのをやめてくれないか?」


「なぜです? もぐもぐ」


「いや……その……

 話すときに口の中のものを飲み込んでから話してくれないか?」


「なんでですか? もぐもぐ」


「き……貴様!いい加減にしろ! 何度同じことを繰り返すつもりだ!」


「なんです? もぐもぐ」


「王族である俺を馬鹿にしているのか!それとも、王族に逆らう気か!

 それならば、覚悟してもらうぞ! 今すぐにでも衛兵を呼ぶぞ!!」


「もぐもぐ もぐもぐ」


「くっ! 貴様!ふざけるのもいい加減にしろ!!

  もう許さん! おい、誰か! こいつにお仕置をしてやれ!!」


 そう言うと周りにいた貴族たちがざわめきだす


「あれはバレン国の国王では?」


「どうしてここに?」


「しかし、どうする? 下手に手を出したら国際問題になるぞ?」


「だが、このままではあのものは不敬罪になってしまうのではないか?」


 なんだか周りがざわざわしている

 もしかして私、何かやってしまいました?もぐもぐ……


「アリア、どうしたんだ!?」


 そう言いながら私の元へ走って来たのはラムサス王子だった


 そして、周りの状況を見て察してくれたようだ

 私を庇うように前に出るとリガル王に向かって言った


「リガル王!」


「これはラムサス王子ではありませんか

 恋人を守る王子様といったところですか?」


「何を言っている! アリアは客人だ!

 お前は一体誰に話しかけていると思っているのだ!!それに……」


 ラムサス王子と目が合う もぐもぐ


「アリアは料理を食べている最中だ!邪魔するな!!

  分かったらさっさと失せろ!!!」


「ふん!」


 リガル王はそう言って去って行った


 料理の美味しさがまた一つ罪を作ってしまった……


 しかしどうしましょう


 いくら寝不足で思考がおかしいとはいえ国際問題になるのでは!?


 私は今になって自分の犯した失態に気づく


 どうやらお腹が空いて少しおかしくなっていたみたいだ


 これからはもっと注意しなければ


 そう思いながらも目の前にある食べ物を口に運ぶ

 むしゃむしゃ ごくん あぁ~美味しい!


 やはり食事はこうでなければいけませんね

 私は満足しながら食べ続ける

 ふぅー 満腹になったところで一息つく


 さすがにこれ以上食べたら動けなくなりそうだ……


「これより、ダンスパーティーを開催いたします」


 司会者の声が会場中に響き渡る


 しまったあああああああああ!


 これから私は踊らないといけないのだった!


 こんな満腹の状態であの回転をしたら


 マーライオン一直線だ!

 ど、どうすればいいんだ!


 も、もう時間がない!

 仕方ない、気合いだ!人生窮地に立たされたときは

 すべて根性論で解決じゃ!行くぜええええええええええ!


 私は勢いよく立ち上がった


 しかし、立ち上がることはできたものの

 足がもつれてしまい、そのまま前に倒れてしまう…………


 はずだったのだが なぜか倒れることはなかった

  むしろ、身体が宙に浮かんでいる感覚がある


「……ん?」


 恐る恐る目を開けるとそこにはラムサス王子の顔があった


「大丈夫か? アリア」


「……はい」


 どうやら私はラムサス王子に抱き抱えられているらしい


「怪我はないかい?」


「吐きそうです」


「それは大変だな!

  急いでトイレに連れて行ってやる!

  さあ、しっかり捕まっていろ」


「ちょ、ちょっと待ってください!

 このご馳走を吐き出すなんてもったいないです!!」


 私は必死にトイレに行くことを抵抗し


 二人でホールに歩いていく


「おい、ラムサス王子が女性を連れているぞ」


「あの女性はさっきの騒ぎの?ラムサス王子とどんな関係なのかしら?」


「まさか恋人?」


「そんなわけないだろう?あの女性が王子の恋人なはずがありませんよ」


「確かにそうよね」


「でも、一緒にいるということは、もしかしたら婚約者かもしれないわよ」


「まさか!王子に婚約の話はまだ来ていないはずだぞ!」


「いえ、もしかしたら水面下で決まっているのかもしれません」


 周りの貴族達が騒いでいる


 なんだかすごく注目されている気がするがまあいいでしょう


 それよりも今は踊りに集中しなければ!


 ラムサス王子にエスコートされながら


 私たちは曲に合わせて踊る


 私は浮遊魔法で1cm浮いた状態にする


 後はラムサス王子に任せてタイミングで足をあげたり腕を動かすだけだ


 私達は見つめ合いながら笑顔で踊る


 ふっ なかなか楽しいですね


 私はそう思いながら笑みを浮かべる


 すると、それを見たラムサス王子は

 顔を赤らめていた なぜだ? 熱でもあるのか?


 鼻毛?!鼻毛か!?伸びてないはずだぞ!?


 私は心配になり、確認しようと鼻を触ろうとしたら


 その手を掴まれてしまった


 なんだ?どうしたんだ? そう思っているうちに、どんどん顔が近づいてくる


 そしてラムサス王子の鼻に頭突きしてしまった


 ゴンッ!!


「ぐあっ!」


「痛っ!」


 二人して悶絶する


 私は悪くありません!ラムサス王子の鼻が高いのが悪いのです!


  私はそう心の中で言い訳をしながらラムサス王子を睨む


「お、おまっ! 何をするんだ!?

  いきなり頭をぶつけてくるとはどういうことだ!?

 危うく舌を噛んでしまうところだったじゃないか!」


「ラムサス王子こそ何をしているんですか?

 私の可愛さに目がくらんでキスでもするつもりだったのですか?」


「ち!違うわ!! お前があまりにも美しいからつい見惚れてしまっていたのだ!」


「はぁ……そうですか 可愛さと美しさを兼ね備えた私の罪ということですね」


「そういうことじゃない!!」


「まあ、いいでしょう踊りはこれでおしまいです

 後は今夜の主役の仕事をして下さい」


 ラムサス王子と踊りを踊るために待っている

 令嬢たちのほうへラムサス王子を トンと押す


 そして私は女神像が置いてある壁際へと移動する


 さすがに私がラムサス王子を独占していては周りが納得しないだろう


 私は踊りの仕事を終えた達成感と同時に眠気に襲われる


 うぅ……ももう限界だ……眠い……


 こうなったら古代語の授業で廊下に立たされたときに発明した秘技

 直立睡眠を使うしかない!

 なんとこの技は立ったまま寝ることが出来るのです


「すぴー」

 こうして私は眠りについた

 ・・・

 ・・

 ・









 くそっ!くそっ!くそっ!

 私をこけにしやがって! 私は怒りに震えていた


 今日、あの女とラムサス王子は私を馬鹿にしたのだ!


 私の納める国がとるに足らない小国だからか?


 だからあんなに偉そうな口を利けるというのか?


 許せない! 絶対に許さない! ラムサス王子……

 魔導帝国……今に見ていろ


 私が手に入れた偉大な力でお前たちを破滅させてやる!


 標的であるラムサス王子を見るとどこかの令嬢と踊りを踊っている


「やはりラムサス王子には警護もいて無理だな……となると……あの女か……」


 私はアリアを観察する


 アリアは魔力も高く、踊りを見るに身体能力も高いようだが所詮は小娘だ


 不意打ちすれば簡単に捕まえることができるだろう


 私はニヤリと笑いながらアリアの傍に近寄る


 なんだこいつ……目を瞑りながら何をしてるんだ……


 そう思い彼女の前にある女神像を見る

 これは神聖王国のマリア像である


 なるほど、彼女は敬虔な信者なのだな


 私は微笑みながらアリアに話しかけたが返事がない


 アリアは私の声に反応せず、ただひたすら女神像の前で祈っている


 それならそれで構わないこのまま彼女には殉教者となってもらう


 私は彼女抱え偉大なる力を使うのだった

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