二十四話
ラムサス王子の偽恋人作戦も上手くいったことで
私は報酬の魔導帝国選りすぐりの美顔道具を貰って
ルンルン気分で魔導帝国の城を後にした
ちなみに、魔導帝国の選りすぐりの美顔道具とは
洗顔料や化粧水や乳液などの化粧品類だ
(これでお肌ツルッツルになるんだろうな~)
私はウキウキしながら王都を歩いていると、どこからか声をかけられた
振り返るとそこには見知った人が立っていた
私は目を疑ったが、それは確かに知っている人だった
「弟子よ!弟子ではないか!」
そこにいたのはソフィア先生だった
「ソフィア先生!?どうしてここに!?」
「長期休暇だからな私も魔導帝国に戻っていたのだ!」
「へぇ~!でも、なんでこんなところにいるんですか?」
「ん?ああ、実はな……ちょっと色々あってな……」
「はい?」
「いや、大したことではないのだがな……」
「はい!」
「それよりも弟子にあえてうれしいぞ!
ここにいる奴等は魔術魔術と話しをしていてもつまらん!
やはり、弟子が一番だ!」
「光栄ですが、私そろそろ用事があるので行っていいですか?」
「ん?なんだ、もう行ってしまうのか?」
「はい、すみません」
「そうか……用事が終わった後もっと語り合おうじゃないか!」
「はい!是非!」
「よし、約束だ!」
「はい!」
(よかった……なんとか切り抜けられた……)
私はホッと胸をなでおろしながらその場を立ち去さる
スタスタスタ スタスタスタ
「あの師匠、なんで後を付いてくるのですか?ストーカーですか?」
「誰がストーカーだ!私はただお前に話があるから
用事が終わったら語り合おうと思っているだけだ!」
「私には無いんですけど……」
「そう言うな!せっかく再会したのだ!」
「はい……」
私はため息をつくとソフィア先生と一緒にラムサス王子の屋敷へ戻った
「あの……これからラムサス王子に魔法を教えるのですが……」
「おお、そうなのか?何を教えるんだ?」
「浮遊魔法を」
「何だと!ずるい!ずるいぞ!
私が弟子から教えてもらっている途中の魔法ではないか!」
「いや、そんなこと言われても……」
「私も浮遊魔法を教えて欲しいぞ!」
「……わかりました」
「本当か!」
「はい」
「さすが我が弟子!話がわかるな!では早速行くとするか!」
「えっ……今からですか?」
「当たり前だ!」
「うぅ……」
「どうした!早く外へ行こうではないか!」
「はい……」
(美顔道具の説明書を読みたかったんだけどな……
仕方ない……今日は諦めるか……)
私は仕方なくソフィア先生に付き合うことにした
~1時間後~
「むふふふ……いい感じに魔力が練れてきたな!」
「そうですね!」
私は魔力を練り上げていた
「よし、次は私にかけてみてくれ」
「はい」
「頼む」
「いきます」
「来い!」
私が魔法をかけるとソフィア先生の体が浮き始めた
「おぉ!浮いているぞ!」
「成功みたいですね!」
「すごいな!本当に飛んでいる!私はまるで鳥になったようだ!
凄い凄いぞ!弟子よ!もっとやって見せろ!」
「はい!」
(あれ?おかしいな……私は師匠と何しようとしてたんだっけ?)
私は心の中で頭を抱えた
(まぁ、いっか!楽しいし!)
私は笑顔を浮かべてソフィア先生に向き直った
「いきます!」
私はそれから自分自身とソフィア先生の周りにある石や植木鉢に魔法をかけた
「擬似無重力です!」
「無重力?なんだそれは?だが!楽しいな!弟子よ!」
「そうですね!」
「はははは!」
「あははは!」
私たちは笑いあった そして、ソフィア先生が突然怒り出した
「ちがーう!私は自分自身で飛びたいんだ!忘れるところだったぞ!
弟子よ早く降ろして浮遊魔法の修行をするぞ!」
「あっはい、すみません」
私は慌てて魔法を解く
「よし、今度こそ浮遊魔法の練習をするぞ!」
「はい!師匠!」
私達はまた修行を始めた
煌びやかな王宮をラムサスは一人で歩いていた
その表情はどこか暗い
ラムサスは自身の恋人としてアリアを母と父に紹介をしたのだが
それが偽りの関係だと母にはバレていた
最初はお金で雇った者であるかと思っていたようで
婚約者かと問えばそれに食いつき
婚約者の座を狙って本性を見せるだろうと考えたらしいが
それは間違いで
アリアと話しアリアがどんな存在なのか理解した母は
今回の偽の恋人行為に激怒したのだ
(好きな人を自分の嘘の正当化のために利用するな……か……)
俺にとってアリアは最初の友人であり
自分を見てくれる大切な存在である
あわよくばこの偽物の恋人が本当の婚約者になってくれたら嬉しいと思っていた
そんな俺に対して母は
好きな女性がいるのなら自分の言葉で口説きなさいと怒った
俺は母の言葉を思い出しながら、ため息をつく
正直、母の言う通りだと思っている
自分は今まで何をしていたのだろうか?
自分の地位を目当てに来る女を嫌っておきながら
自分の地位を武器にあわよくばアリアを手に入れようとしていたのだ
(馬鹿だな……俺は……)
そんなことを考えているといつの間にか王宮を出て自分の屋敷に着いていた
今日もアリアと2人で魔法の練習の時間がある
最近はこの2人の空間が心地よくて好きになっていた
いつものようにアリアの泊まっている部屋の扉を開け中に入る
するとそこには誰もいなかった
(アリアがいない?一体どこに……)
そう思った瞬間、窓の外から笑い声が聞こえてきた
俺は急いで窓を開ける
すると、アリアが笑っている姿が見えた
アリアが自分以外の誰かに微笑みかけている姿を見て
俺は思わず嫉妬してしまう
俺はアリアに声をかけようとしたが俺は言葉が出なかった
それは俺といる時よりも、とても幸せそうな顔をしていたから……
俺が見ていることに気がついたのかアリアがこちらを見た
そして、驚いたような表情をした後、すぐに笑顔になる
アリアは俺に向かって手を振ってきた
だから、俺も手を振り返す
すると、アリアはより一層嬉しそうな笑顔を見せた
俺はその姿に見惚れてしまうのだった
「アリアただいま、それと……ソフィア先生がなぜここに?」
「おかえりなさいラムサス王子」
「ラムサス王子、お邪魔してるぞ」
「ああ」
ラムサスはソフィア先生の方を見て尋ねる
「それで、ソフィア先生はどうしてここに?」
「弟子とばったり会ってな!
そこでラムサス王子に浮遊魔法を教えてると言うではないか!
それならば私も一緒に教えてもらおうと思ってな!
私もまだ教えてもらっている途中なのだ!」
「ソフィア先生には悪いがアリアは俺に教えると約束したんだ 先生は帰ってください」
そういうとラムサス王子は闇の魔力を放つ
これは無意識というより自分自身で放っているのだろう
無意識とは違う濃い魔力を感じる
「何を言っているんだ!弟子の魔法は私のものだ!」
「なんだと……?」
「むむむ……」
「あの、お二人とも落ち着いてください」
「「これが落ち着けると思う(か?)」」
「ひっ!」
ソフィア先生とラムサス王子は睨み合う
私は二人の迫力に押されて少し後退りをしてしまった
しかし、このままでは話が進まない
「えっと……では、こうしましょう!
今日はもう十分ソフィア先生には教えたのでお帰りになっていただき
ラムサス王子はこれから練習をするというのはどうでしょうか?
明日のことはまた明日に決めるということで」
「うーん、わかった!そうしよう!じゃあな!弟子よ!」
ソフィア先生はそう言って帰っていった
私はそれを見届けた後、ラムサスに向き直った
「ということで、ソフィア先生がいなくなりましたね!さぁ!やりますよ!」
私がやる気を出すとラムサスは嬉しそうに言った
「おう!よろしくな!アリア!」
こうして私たちの修行が始まった
暗い暗い王宮の一室で、私はロウソクに火を付ける
ここはとある小国 魔術を憎む者たちが集う国
ロウソク立てを机の上に置く
その後、私は椅子に座り、本を開いた
この部屋で本を読むことが日課になっている
私は本を読み始めた
すると、突然、ドアをノックする音が聞こえる
私はその音に驚き、本を閉じて立ち上がる
すると、そのタイミングを見計らっていたかのように扉が開く
そこには黒いローブを着た人がいた
その人はフードを被っていて顔が見えない
でも、なぜか恐怖心を感じない
黒いローブの男は私に近づき話しかけてくる
「来週魔導帝国の王子の誕生を祝う舞踏会が開かれる
あなたにこの招待状を渡しておく
必ず行くように……
そこには彼の王子の恋人が来くるらしい次期王妃との噂だ」
そう言うと男はそのまま立ち去って行った
私は男がいなくなった後、しばらく動けなかった
魔術を生み出し世界を戦争と破壊に陥れた魔導帝国……
その国の王子の誕生日パーティー
きっとそこでは、幸せで溢れているのだろう
私はその光景を想像して憤怒する
そして、ある一つの疑問が浮かぶ
(世界は魔術による戦争で溢れている……
なのに……なぜ、魔導帝国はこんなにも平和なんだ……?)
許せない 許せない 許せない 許せない!
王子を害することはきっと出来ないだろう
それが出来ないのなら次期王妃と噂される女を害せばいい
そうすれば……
そうすれば……
こんな世界を作った魔導帝国に復讐できる




