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二十二話

 ゲップをするたびに野生の香りを感じる

 どうもアリア・リュゼクリスです


 巨大な狼やロックバードなどのたくさんの魔物を討伐してギルドに

 素材や魔石を換金して貰ったのですが、

 どうやらあの巨大な狼の正体は魔獣フェンリルというらしいです


 昔、討伐依頼をAランクの冒険者が受けたのですが

 失敗してその冒険者を失ったそうです

 それ以降討伐依頼は出さずに

 王国騎士による討伐が何度も行われていたのですが

 フェンリルは知能が高いため仲間を呼び、追い詰めるたびに

 戦いから逃げていたため討伐出来なかったみたいです


 ルクスの森の討伐依頼は主にこのフェンリルの仲間を倒すことが目的で

 王国騎士が全力でフェンリルと対峙出来るようにするための

 依頼だったみたいです


 今回、私達が遭遇してしまってフェンリルに勝ったことにより

 私は冒険者ランクをBにアーガさんはAに上げてくれるみたいです。


 そんな私は今、

 王都の屋敷に戻り今回の反省会をメリッサと共にするのだった……


「今回は何度も命を危険に晒してしまいました」


「お嬢様は気を抜く場面が多すぎではないでしょうか?

 特に魔法を使った後は倒したことに気を取られ過ぎです」


「うぅ〜、だってぇ〜」


「だってではありません、

 お嬢様にもしもの事があったらどうするおつもりですか?」


「はい、ごめんなさい」


「後、魔法が当たらないことが多いでしたね、

 反射神経を鍛える訓練を今度しましょう」


「はい、わかりました…」


「それではお嬢様、本日の予定ですが、

 ラムサス王子が面会を求めておりますので昼食後に応接室に」


「ラムサス王子が私に用があるの?」


「ええ、なんでも大事な用事だそうです」


「はぁ、そうですか……」


 昼食後、私は部屋に戻って着替える

 そして、応接室へと向かった


 コンコン


「失礼します」


 ガチャ


「きたか」


 ラムサス王子は椅子に座って紅茶を飲みながら待っていた

 実に優雅である 私は扉の前で頭を下げて挨拶をした

 その後、テーブルを挟んだ向かい側のソファーに座った


「それで私に用事とは何でしょうか?」


 私は直球に聞いた

 正直早く魔法の訓練をしたいのが本音なのだが、

 一応友達なので無下にはできない

 すると、ラムサス王子は 遠くを見た


 なんか嫌な予感がするぞ


 なんだろ、凄く面倒なことに巻き込まれそうな気がする

 ラムサス王子は紅茶を一気に飲み干し、カップを置くと口を開いた


「お前に俺の恋人のふりをしてほしいんだ!頼む!」


「無理です」


 私は即答した なんで私が恋人のフリをしなくちゃいけないのかわからない


「そこをなんとか!」


「なぜ私があなたの恋人のフリをしなければならないのですか?」


「それは……それはだな……母上が俺に婚約者をつくるといいだしたのだ!

 それでつい俺には恋人がいるから

 婚約者など必要ないと言ってしまったんだ……」


 婚約者をつくりたくないがために 私に恋人役を頼みたいってことか……


「それって私じゃなきゃダメなのですか?

 もっといい人がたくさんいると思うんですけど」


「いや、お前しかいない」


「どうしてですか?」


「いや……それは……その……だな……

 あぁもう、うるさい!!とにかく俺の恋人になってくれ!」


「…….」


 私は唖然としてしまった


「あ……えっと、すまん、いきなりこんなこと言われても困るよな……」


「ええ、そうですね、とても困惑しています……」


「そうだよな……だがこんなことを頼める相手はお前しかいないんだ……」


 うーん……めんどくさいから断りたいところだけど

 友達の頼みだし仕方がない!いっちょ一肌脱ぎますか!


「わかりました、引き受けます!」


「本当か!」


「はい!ただ条件があります!」


「条件?」


「はい!まず報酬として魔導帝国にある美容品をください!」


「ああ、わかった!

 魔導帝国の美容品ならどれでも好きなものを持っていくといい」


「ありがとうございます!」


 やったぜ これでエステができるぜ


「他にはあるか?」


「いえ、それだけです」


「そうか、よかった」


「はい、安心しました、

 それではさっそくどんな女性が好みなのか教えてください」


「うん?なんでそんなことを言う必要があるんだ?

 というより何を言ってるんだ?」


「リアリティーの追及です!ラムサス王子の好みの女性に私が近づくことで

 偽物の恋人ではなく本物だと相手に思わせるために必要なのです」


「なるほど、そういうことか……?」


「はいそうです!さぁ好みの女性を言ってみてください!」


「それならそのままのお前でいいぞ」


「は?」


「だから俺はありのままのお前が好きなんだ」


「そ、そうですか、わかりました。

 とりあえず私のことは置いといて次は容姿についてです」


「あ、ああ」


「髪の色は?長さは?瞳の色もお願いします」


「そのままでいい」


「身長は?体重は?スリーサイズは?」


「そのままのお前でいい」


「化粧は?服装は?」


「そのままのお前がいい」


「なんかめんどくさいからそのままでいいって言ってます?」


「いや、お前が可愛いと言っている」


「それは当然です私は可愛いですから」


「自分で言うなよ……」


「だって本当の事ですし、それでは次に性格は?」


「お前はいつも通りで大丈夫だ」


「はい、わかりました、それでは最後に、

 ラムサス王子のお母様はどういう人なんですか?

 なるべく好かれるようにして

 学園にいる間くらいの時間は稼げるようにしたいですよね?」


「母はとても厳しい人だが優しい方だ、あと怒ると怖い」


「そうですか、わかりました」


「ああ、よろしく頼む」



 私は部屋に戻るとメリッサに相談した


「お嬢様、本当によろしいのですか?」


「ええ、友達の頼みですから」


「はぁ〜、お嬢様にはもう少し自覚というものを持っていただけませんと……」


「何が言いたいんです?」


「いえ、なんでもありません、それよりラムサス王子の件どうするんですか?」


「そうですね、一応恋人のフリをするという方向になりましたけど、

 まだ具体的な作戦は決まっていません、

 なので、しばらくは普通に過ごして様子を見ようと思います」


「了解いたしました、それでしたら私は奥様にこの事を伝えてきます」


「任せました」


「はい、では失礼します」


 こうして私はラムサス王子と恋人のフリをすることになったのだが……

 正直不安しかない! 恋人役なんてできるのかな……


 まぁ、やるからには全力でやり遂げましょう! 頑張れ私!






 それからしばらく経ったある日のこと

  私達は中庭にいた 今は魔法の練習をしている

 今日は魔力を体外へ放出する練習だ

 まずは瞑想をする そして体内にある魔力を感じる

 すると、だんだん体の中が暖かくなってくる

 そこで自分の中の魔力を体外に放出させる

 そこにラムサス王子の闇の魔力をイメージする

 そしてそれを霧散させないように慎重にゆっくりと時間をかけて混ぜ合わせる

 混ざり合ったらそれが消えない程度にゆっくり丁寧に少しずつ混ぜていく

 これが意外と難しい これを続けること1時間


 やっとできた! これで終わりかと思ったその時

 突然後ろから声をかけられた 振り返ると

 そこには黒いタキシードを着た老人が立っていた


「お初にお目にかかります、私の名前はセバス・セバスチャン、

 ラムサス様の屋敷で執事をしております、以後お見知りおきを」


「はい、私はアリアです」


「はい、存じております、それで早速ですが一つ質問があるのでございますが」


「なんでしょうか?」


「先程、あなたが行っていたのは魔法の練習ですか?」


「はい、そうです」


「なるほど、そうですか……ふむ……それならば……」


 あれ? なんか急に考え込んじゃったんだけど……

 何かまずかったのかしら?


「あの〜」


「ああ、申し訳ございません、少し考え事をしておりまして」


「そうなんですか、ところで、何か御用ですか?」


「はい、魔導帝国へ行かれる日程を伺おうと思いまして」


 魔導帝国へ行く日か〜、そういえば決めてなかった


「いつ頃がいいんでしょう?」


「そうですね、できれば早いほうがいいかと思われます」


 うーん……そうだ!せっかくだし!


「今すぐ行きたいです!」


「えっ!い、いますぐにですか!?」


「はい!善は急げといいますし!」


「いや、しかし……流石にそれは……」


「大丈夫です!なんとかなります!」


「はぁ〜、では、明日出発ということで」


「ありがとうございます」


 よし、これでエステができるぞ


「それじゃあ、準備を始めないと」


 次の日の朝 私は朝食を食べた後、部屋で身支度をしていた


「さてと、忘れ物はないかしら?」


「お嬢様こちらのバッグに入っております」


「ありがとうメリッサ」


 私が持って行くのは、

 ドレスや化粧品などの必要な物だけだからそんなに多くはない


「それにしても、まさか本当にいきなり出発するとは思いませんでした」


「まぁ、いいじゃない、早く行っても遅くなっても一緒なんだし」


「それは、そうですが……」


「大丈夫ですよ、きっと」


「はぁ〜」


「それでは、そろそろ馬車に乗りましょう」


「はい、わかりました」


 私達は荷物を持って馬車に向かった

 そこにはまさに王子!といった格好をしたラムサス王子が待っていた


「おはよう」


「おはようございます、ラムサス様」


「ああ、今日はよろしく頼む」


「はい、おまかせください」


「ああ、それと……」


 ラムサス王子が私の耳元で囁いた


「恋人のフリを忘れるなよ」


「わかっていますよ」


「なら、いいんだ」


 それから私達3人は馬車に乗った


「はい、お乗り下さい」


 私達が座ると御者が扉を閉めた


「それでは、魔導帝国までよろしくお願いします」


「はい、かしこまりました」


「それでは、発車いたします」


「はい、お願いします」


「…………」


「…………」


 暇だ! いや、まぁ、確かに?

 魔導帝国に着くまでの時間ずっと喋り続けるわけにもいかないと思うけど!

 でも!それでも!暇だ!! あっ!そうだ! 私は魔法の練習をすることにした

 闇の魔力の放出を体外でできるようになっていたので

 それを霧散させないように気をつけながらゆっくりと時間をかけて混ぜ合わせた

 そして、それを体外へ放出させる


 すると、ラムサス王子が話しかけてきた


「お前、その魔力は闇の魔力か?」


「ええ、そうですが」


「なぜ闇の魔法を使う?」


「それは、ラムサス王子の魔力が便利そうだからですね」


「なに?俺の魔力が?」


「ええ」


「なにを言っている、

 俺はこの魔力を持っているだけで人から避けられてきたのだぞ」


「そんなことありませんよ、現にこうして私はあなたと普通に会話しています」


「だが……」


「しかし、ラムサス王子のように恐怖を感じさせることは中々出来ないですね……

 やはりすごいです」


「いや、別にすごくはないが……」


「いえ、すごいです、尊敬してしまいます」


「そ、そうか、まぁ、そこまで言うのならば、特別に見せてやってもいいぞ? 」


「本当ですか!?是非とも見せてください!」


「よし!わかった!それじゃあ手を貸せ」


 そういって私はラムサス王子と手を握る

 するとラムサス王子の魔力が手に集まってくる


「どうだ?これが俺の闇の魔力だ」


「これは……なんていうか……禍々しい感じがするんですね」


「ああ、そうだろう、だからみんな俺を避けていくんだ」


「なるほど……そうだったんですね……

 でも、大丈夫ですよ、これをこうすれば……」


 そうして私はラムサス王子の魔力に私の魔力を混ぜる


「ほら、これで普通の人と同じになりました」


「えっ……なん……だと……!?」


「ふふふ……どうですか?」


「す、凄いな……こんなことができるのか……!」


「ええ、できますよラムサス王子がもっと魔力の扱いが上手くなればきっと」


「いや、しかし……これ程とは……」


「ふふん♪」


「……」


「……」


「……」


「あの……どうかしましたか?」


 あれ? なんか反応がないんだけど


「い、いや!なんでもないぞ!うん!本当に!あ!もうすぐ休憩みたいだぞ!

 ほ、ほら!荷物の準備をしろ!あ!それと!恋人のフリを忘れるなよ!」


「はい、わかっていますよ」


 なんだか慌ててたけど、大丈夫かな?


 こうして私達は魔導帝国へ向かうのだった

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