二十一話
私は今王都から出て、街道を歩いています
今日は初めてのパーティー依頼ということで、少し緊張しているのですが
一緒にパーティーを組んでいる獣人の少女アーガさんは無表情です
まぁでもそんなところもまた良い!
なんてことを考えながら歩いていると、森の入り口についた
ここがルクスの森と呼ばれる場所です
ここは、魔素が濃いことで有名で 魔素濃度が高いせいか
魔獣がよく出没すると本で見たことがあります
魔獣とは、普通の動物とは違い、魔力を持っている獣のことをいいます
そのため、魔獣を倒すことで、、魔石というもの手に入ることがあります
これは、様々な用途で使われるらしく、需要が多いそうです
ルクスの森の入口で門番をしている兵士さんに冒険者カードを見せて中に入る
すると、そこにはたくさんの木が生い茂っており、
太陽の光があまり入ってこないため薄暗く、ジメッとしているように感じる
そのため魔物のいる森という雰囲気を際立たせているような感覚を覚える
「ごくり…ここが魔物のいる森ですか……」
初めて見る景色に少しワクワクしながら辺りを見回す
そんな私をしり目に、アーガさんは森の中へと進んでいく
そんな彼女の後を追って私も森の中に入っていく
「アーガさーん!待ってくださーい!」
「ん」
そう言って立ち止まるアーガさんの横に並んで歩く
「どうしてアーガさんはルクスの森の依頼を受けようと思ったのですか?」
「……」
「あの、もしよければ教えて欲しいんですけど……ダメですか?」
「ん」
そう言うと、彼女は手に持っている冒険者カードを見せてくれた
そのカードにはローガと書かれている
「えっと、このローガさんというのは?」
「私の父…この森で死んだ」
そう言った彼女はどこか悲しそうな顔をしていた
「そ、それはごめんなさい!私、知らなくて!」
「別に気にしなくてもいい」
彼女は、そう言いながらも少し寂しそうだ
すると彼女は急に立ち止まり私に目配せしてくる
どうやら敵を見つけたようだ私達の前に現れたのはゴブリンだった
ゴブリンは、緑色の肌で身長は130cmほどある
手には錆びた剣を持っており、ボロ布をまとっている
「グギャァア!」
私達に気づいたのか、こちらに向かって叫び声をあげてくる
そして、それと同時に私達の方に走り出した 私は慌てて魔法を発動する
『あいすにーどる』
私から放たれた鋭い氷の槍は一直線に飛んでいき、
そのままゴブリンを貫き凍らせる
「やったぁ!やりましたよ!アーガさん!私一人で倒しちゃいました!ふふん!」
そう言って私はドヤ顔を決める
しかし、アーガさんは黙ったままだ なぜだろう、と不思議に思っていると
「後ろ」と、彼女が私の後ろに指をさす
「へ?」私が振り向いた瞬間、私に向かってゴブリンが剣を振り下ろしていた
「うわぁあああ!?」
私は間一髪でそれを避ける 危なかったぁ、と安堵していると
「油断大敵」とアーガさんが注意する
「すみません!つい嬉しくて気が緩んでしまいました!」
「次はない」
「はい!気をつけます!」
私はアーガさんに怒られてしまった
「グギィ!」
「あ!また来ました!」
今度はゴブリン二匹同時だ
『あいすにーどる』
「ギェエ!」
一匹は倒せたみたいだ
「もう一回」
『あいすにーどる』
「ゲボォオ!」
よし!これで残りは一匹!
「グゥウ!」
「あっ!逃げられた!」
最後の一匹は一目散に逃げていった
「まぁ、しょうがないですよね、それじゃあ討伐部位だけ回収しましょう」
私は討伐部位であるゴブリンの耳を切り取り、それを袋に入れた
討伐依頼の時は、討伐部位を必ず持ち帰る必要がある
なぜなら、討伐証明として提出する必要があるからだ
私は討伐部位を回収した後、先に進んだ しばらく進むと、開けた場所に出た
「ここで休憩にしましょうか?」
「わかった」
私はリュックの中からお昼ご飯を取り出し、アーガさんと一緒に食べる
「いただきます」
「ん」
今日のお弁当は、サンドイッチです!
ハムやチーズを挟んだものなど種類が豊富です!
どれを食べようか悩んでいると、アーガさんが一つのパンを手に取る
「これ、美味しい」
「ほんとですか?では、私もそれにします!」
「うん」
「「いただきます」」
私達は一緒に食べ始める
「おいしいです!」
「良かった」
こうして、私達は昼食を楽しんだ
「ごちそうさまでした」
「ん」
「ふぅ、もうすぐ日が暮れてきてしまいますね……」
「そうだね」
「今日はこのくらいにしておきましょうか?」
その時頭上を大きな影が覆った
「グギャァア!!」
見上げるとそこには巨大な鳥がいた
「なっなんですかあれは!?」
「ロックバード、岩の翼を持つ魔獣、硬い」
「えっと、つまり強いってことですね!」
「ん」
「グギャァア!」
そう叫んで襲いかかってくる魔獣、ロックバード
「こっちに来ますね!それなら!」
『あいすにーどる』
「ギェエ!」
「よし!当たった!」
『あいすにーどる』は当たると凍るので
直撃したロックバードは身動きが取れなくなっている
「今のうちにとどめを刺さないと」
そう言って剣を構えようとした時だった
「待って」と、アーガさんが制止してきた
そこにはロックバードよりも巨大な影が立っていた
「グルルル……」
「ガャァア!」
「えぇええ!?あの魔物、かなり大きい」
目の前にいる魔物はロックバードより大きい狼のような見た目をしている
その体からは威圧感のようなものを感じる
額には大きな傷跡があり歴戦の魔獣という感じだ
私はその迫力に思わず後ずさってしまう
すると、アーガさんはその魔物の方へと歩いていった
そして、魔物の前で立ち止まると彼女は言った ────見つけた……
「ガャァア!」
「……ッ!」
彼女は一瞬、動揺していたようだがすぐに気持ちを持ち直して体勢を整える
だが、明らかに彼女の表情は強ばっていた
私は、そんな彼女を見て咄嵯に声をかけてしまう
「アーガさん!大丈夫ですか!」
「……平気」
そう言って、アーガさんは再びその魔物と対峙した
「ワオォォォォン!」
その鳴き声を聞いた瞬間、私は身体中に悪寒を感じた
そして辺りから魔物の気配を感じる
どうやらこの一帯にいた他の魔物が集まってきているらしい
私達が対峙している巨大な狼は、この森のリーダーなのだろう
リーダーは私達を睨みつけている
私は緊張しながらも、アーガさんの隣に立つ
私だって、ただ守られるだけは嫌だ
それに、ここで逃げたりしたらきっと後悔すると思う
だから、私も戦うんだ!
「行きます!」
「ん」
私達は同時に走り出した
まずは私が先制攻撃を仕掛ける
『あいすにーどる』
「グルル!」
しかし、相手は巨体の割に素早く、攻撃を避けられてしまう
『あいすにーどる!あいすにーどる!あいすにーどる!』
私は何度も氷の槍を放つが全て避けられてしまった
くそぉ、当たらないよぉ……
焦っていると、背後から声が聞こえてきた
「キシャアアア!」振り向くと、そこには巨大な蛇がいた
「ひゃああああああああ!」
私は驚いて尻餅をつく
「危ない!」
「へ?」
気づくと私の前にアーガさんが立ち、
大蛇に向かって拳を振り下ろしていた
バキッ!!
「グギャアア!」
殴られた衝撃で吹っ飛ぶ大蛇
「あ、ありがとうございます!」
「怪我はない?」
「はい!でも、アーガさんの手が……」
見ると彼女の手は血まみれになっていた
「問題ない」
「手を見せてください!」
『ひーる』
私はアーガさんの手の治療をする
「もう痛くありませんか?」
「うん、大丈夫」
「それなら良かったです!」
「……」
「どうしました?」
「なんで傷が治ったのか不思議…痛みも消えた」
確かにそうだよね、私も最初は驚いたもん
そんなことを話している間に魔物がたくさん集まってきたみたいです
ざっと見て10匹くらいでしょうか?
流石に多いですね とりあえず倒していきましょうか
「アーガさん、私が魔法で援護しますね」
「ん」
「では、いきますよ!」
『あいすにーどる』
「グギャァア!!」
私の放った氷の槍が1匹のロックバードを貫く
「ギィイ!」
「うわぁ!すごい数ですねぇ……」
「どんどん来る」
「はい!」
私達は魔物に囲まれています
これはピンチですね……
「グギャァア!!」
ロックバードの群れが一斉に襲いかかってくる
「ひぃい!」
私は咄嗟にロックバードの攻撃を避ける
「……ッ!」
アーガさんはロックバードの攻撃を避けると、そのまま一匹を殴り飛ばした
「すごいですね!」
「うん」
「えっと、次は、これだ!あいすにーど……」
その時だった、私の横でロックバードが襲いかかってきたのだ
「ひっ!」
私は思わず目を瞑ってしまう
「ギェエ!」
その時、私の前に誰かが立った気がした
「グギャァア!」
「……ッ!」
恐る恐る目を開けるとそこにはアーガさんがいた
「アーガさん!?」
「……」
「なんで庇ったんですか!?」
「仲間だから」
「えっ」
アーガさんはこちらを振り返らずにそう言った
そして、彼女はロックバードに向き直ると
次の瞬間、ロックバードの首が宙に舞っていた
私は自分の不甲斐なさに
唇を強く噛む
また、私のせいでアーガさんを傷つけてしまった
「ごめんなさい、アーガさん」
私は魔物退治をあまく考えすぎていた
アーガさんがいなければ今頃、私は死んでいたかもしれない
私はまだまだ弱いたくさんの魔物を前に何度も命を危険にさらしている
私は強くなりたい! もっと!もっともっと!
だから、今は悔しさで泣いている場合じゃない
私は心の中で自分に言い聞かせて涙を止める
私は、本気で彼女と共に戦うことを決めた
私には魔法がある 魔力だってあるし、私には才能もあるはずだ
私は強くなるんだ! そう心に決め、魔物たちに視線を向ける
「アーガさん、魔物の皆さん申し訳ありませんでした!
これから私は全力で戦います!どうか、私を見守っていてください!」
私は再び前を向く すると、私の周りに光の粒子が集まっていく
『レーザービーム』
私の手に光が収束していく そして、私は魔物たちに向けてその光を放った
「……ッ!」
アーガさんは驚いていたようだけど、私だって驚いている
この技は、私の想像以上の威力だった
放たれた光線は魔物たちを一瞬にして焼き払った
まるで太陽のような熱量を持ったそれは
一瞬のうちに辺り一面を火の海に変えた
魔物たちは、断末魔の悲鳴をあげることすら出来ずに灰と化した
『雨よ!』
森林火災が起きないように、私は水魔法で消火する
「まだです!狼がまだ残っています」
私は巨大な狼の方を向く
「グルルル!」
狼が私に向かって飛びかかってくる 私は、それを紙一重のところでかわす
しかし、すぐに第二波が来る
私はバックステップをして距離をとる
だが、相手の方が速い
私は『フライ』で空へと飛び上がる
しかし、それでも追ってくる 空中にいる私に向かって鋭い爪を振り下ろしてくる
私は剣でそれを防ぐ 凄まじい衝撃だ! あまりの衝撃に剣を持つ手が痺れてくる
そんな空中にいる狼めがけてアーガさんが爪をふるう
ズバッ!!
見事に命中したが、傷は浅かったようだ
私は地上に降り立つと、再び戦闘態勢に入る
ふぅ、やっぱり空中戦は厳しいですね
でも、負けませんよ! 私は両手を広げ、風魔法を発動させる
『鎌鼬』
風の刃が巨大な狼を襲う ザクッ やった!命中しました!
でも、致命傷とはいかないみたいです それならば……
今度は雷魔法の応用です 私が手を広げると、そこに電気が集まる
バチチッ 眩しいくらいに発光したと思ったら、次の瞬間、強烈な電撃が走る
バリバリッ! 直撃です!流石に効いたはずですよ!
私は勝利を確信して微笑む すると、目の前の光景を見て驚愕する
なんと、まだ立っているではありませんか!
どうやら、あの巨大な狼は相当な強さを持っているらしい
「アーガさん!」
私はアーガさんに声をかける そして、二人で連携攻撃をする
「はぁああ!」
「……ッ!」
二人の攻撃が炸裂するが、やはり倒れない
「グォオオオ!」
巨大な狼は吠えると、再び私たちに飛びかかる
私とアーガさんは左右に別れて避ける
『アイスニードル!』
私は氷柱を放つが、巨大な狼は身をひるがえすと
そのまま私に向かって突進してくる
「うわぁ!」
私は吹き飛ばされ、木に打ち付けられる
「グゥウ!」
アーガさんがすかさず追撃をするが、狼はそれをジャンプでかわし
空中から私に向かって襲いかかってくる
「グオァア!」
私はとっさに防御の姿勢を取るが、防ぎきれずに吹っ飛ぶ
「きゃあ!」
地面に叩きつけられ、口から血が出る
「ゲホッ!」
私は咳き込みながら立ち上がる
「グルル」
「大丈夫?」
アーガさんが心配そうに駆け寄ってきてくれる
私は彼女の顔を見ると、自然と笑みがこぼれる
『ヒール』
「はい!なんとか」
「よかった」
「ありがとうございます」
「うん」
アーガさんは笑顔で応えてくれる
「グルルル……」
狼は警戒しているのか、こちらの様子を伺っている
「次は当てますよ!」
私は狼に向かって指を指す
「覚悟してください!」
私は狼に向かって『レーザービーム』を放つが狼はひらりと避けてしまう
「くっ!」
「ギェエエ!」狼は奇声を上げると私達に背を向ける
「させない」
アーガさんが素早く反応して爪をふるうが、それを狼は飛んで回避する
「逃げるつもりですか!?」
状況が悪いと判断したのか狼は私達とは戦うのをやめ逃げることを選んだようだ
このままでは逃げられてしまう
焦りを感じた私に師匠の言葉が頭に過った
魔術に出来て魔法に出来ないことはない
魔法なら出来るはずだ 私は深呼吸すると、両手を前に突き出す
そして、イメージを膨らませる
イメージするのは鎖
魔術で鎖に繋がれたのだ、魔法で鎖に繋げることは出来るはずだ
「繋がって!!『鎖』よ!」
すると巨大な狼と私との間に鎖が繋がれる
「アーガさん!後は任せます!」
私は狼を食い止めるのみ!
私から遠ざかろうとする巨大な狼の力で
脚と腕の筋肉が筋がブチブチと切れていく音が聞こえる
その度に私は『ヒール』を唱える
正直かなり痛いし、怖い でも、ここで怖気付いていては駄目だ
この巨大な狼は恐ろしく強い!ここで逃がしてしまったら
きっと冒険者の人達が犠牲になってしまうだろう
それだけは絶対にさせてはいけない
私は必死に痛みに耐え、狼の動きを止めるために魔力を使い続ける
アーガさんはというと巨大な狼に向かって爪を振るっているが、
決定打には欠けているようだ
私は今にも途切れそうな意識の中、狼の額の傷口を見つめる
そして、アーガさんに叫んだ
「額の傷をッ!!」
アーガさんは私の声を聞くとすぐさま攻撃対象を額へと変える
「そこ!」
ズバッ!
「ワオォォォォォン!」
狼は悲鳴を上げて絶命した
私とアーガさんはお互いの顔を見合わせると、どちらともなく抱きついた
「「やったー!」」
「すごい!私たち勝っちゃいましたね!」
「ん!勝った!」
私たちは喜びを分かち合うように抱きしめ合った
「強敵でした…そういえばこの狼を「見つけた」
とおっしゃってましたが何か因縁があるのですか?」
「この魔物は私のお父さんの仇」
「そうなんですか!?」
「この魔物と戦ってお父さんは死んだ」
「……」
私は黙り込む
「ごめんなさい」
「どうして謝るの?父は戦士だった、戦いの中で死ぬことは本望」
「それは……でも」
「いい、それに父もきっと喜んでる」
「本当にそうでしょうか?」
「あなたにはわからないかもしれないけど、私は父と約束をした
絶対に逃げないと、だから私は強くなると誓った」
「強いですね、アーガさんは」
「そんなことない、まだまだ弱い、もっと強くならなきゃいけない」
「だから食べる!」
食べる?はて、昼食は食べましたし夕食のことでしょうか?
でも、お腹すいたとは言っていませんでしたよね
「はい!わかりました!何を食べましょうか?」
「肉料理がいい!ステーキがいい!」
う〜ん……何のお肉がありますかねぇ
「肉なら目の前にある」
目の前って狼さんしかいませんが…
「これを食べる、さっき倒した」
ああ!そうゆうことでしたか!
「これ食べれるんですか?」
「大丈夫!焼けばなんとかなる」
「ええ!でも、ちょっと待ってください!」
「むぅ〜」
アーガさんは頬を膨らませている かわいい! じゃなくて!
「焼こう!焼こう!」
「は、はい」
アーガさんは狼の解体を始めた 〜10分後〜
「できた!」
アーガさんは満足げに言う
「いただきます!」
「い、いただk……
あ、ちょ、まってくださ、あ、あぁあああああああああ!!!!」
私は断末魔をあげる
「どうしたの?」
「この肉臭いです!」
狼の肉からとんでもなく臭いにおいがしてくる
これはきっと食べれません!デンジャーです!!デンジャー!!
「ええ!おいしいよ!」
アーガさんは美味しそうにムシャムシャ食べています
「嘘ですよね……」
「本当だよ!それにこの肉を食べると体にいい」
「そ、そうですか……」
私は恐る恐る口に入れる
「あ、意外といけまs……くさっ!」
やっぱりダメでした!
私は強敵と戦ったあとまた強敵と戦うことになるのでした
「体にいいご飯は残さず食べる!鉄の掟です!」




