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十七話

 目を覚ますと私は知らない部屋に寝かされていた

 周りを見渡すとそこは牢屋だった

 私はベッドから降りて鉄格子の方に近づき外の様子を確認する

 窓はなく、壁には蝋燭が灯されているだけで薄暗い

 そして、ドアが一つあるだけのシンプルな部屋だった

「ここはどこなんでしょう」

 そう呟きながら、私は昨日のことを思い出す

 確か、私はフィーナさんとライラ様と一緒に教会の最上階にいたはずだ

 そこからの記憶がない……

 私は立ち上がり、とりあえず外に出ようと歩き出す

 すると、私の足音に反応したのか部屋の扉が開く


「やっと目が覚めたのか」

 そう言ったのは髭面のおっさんだった


「誰ですか!?」


「俺の名前は、アーマンだ」


「それで、そのアーマンさんは私に何か用ですか?」


「取りあえず飯を持ってきたすぐに王女様がお会いになる準備をしておけよ」


 そういうと、男は持っていたトレイを私の前に置くとそのまま出ていった

 私は目の前に置かれた食事をじっと見つめる

 パンとスープとサラダ 質素ではあるが、とても美味しそうな匂いが漂ってくる


「いただきます!」


 そう言って、食事に手をつける うん、普通においしい

 しかし、この状況は一体どういうことだろう

 私は今、おそらくだが誘拐されたのだと思う

 そして、この牢屋から推測すると

 この国の王城にいるのではないだろうか


「それにしても、もぐもぐ、ライラ様ともぐもぐ

 フィーナさんはどこでしょうか?もぐもぐ」


 私はそう思いながら、黙々と食べ続ける 私はすべて平らげて考える

 さてこれからどうしよう


「この牢屋を壊して出ることもできますが、

 2人がいない状況でそんなことをするのも……」


 うーん、どうしたものか……

 そんなことを考えていたら、アーマンさんがやって来た


「出ろ、神聖王国第一王女エイシア様がお会いになる」


 私はどうやら神聖王国まで連れてこられたようだった……

 アーマンさんが私の腕を支えながら歩く


「お前は随分長い間眠っていて心配したんだぞ?」


「え?そうなんですか??」


「ああ、そうだ」


 どうやら私は長い間眠っていたようだ

 だからこんなに体がしんどいのですか……


「それと、他の二人もこの城に居るから安心しろ」


「はい、ありがとうございます」


「では、行くぞ」


 そう言って、アーマンは歩き始める 私もそれについていくように歩く

 しばらく歩いて大きな広間に出る そこには、多くの兵士やメイドさんがいた


「フィーナさん、ライラ様!無事で良かったです!」


「アリアさんこそ無事で良かったです!」


「心配したのよ!いつまで寝ているのよ!」

 ライラ様がこちらを見て涙目になっている


 寝坊助でごめんなさい!


「ライラ様、フィーナさんご迷惑をおかけしました!」

 私は深く頭を下げる


「もう、本当よ!!」


「すみません……」


「でも、本当によかったわ!!」


「はい!!」


「美しいわね~友情という物なのかしらね?」


 そういうと、フィーナさんの隣に座っていた金髪の美女が話に入ってくる

 年齢は10代後半ぐらいに見える

 とても燃えるような赤い目をしているこの人は誰なんだろう?

 見たことのない顔だけど……私はそう思って、彼女の顔をまじまじと見る

 すると、彼女は不思議そうな表情をして 話しかけてくる


「あなたが寝てる間、聖女様とゆっくりお話しさせてもらったわ」


 そう言うと、彼女は私の隣に来て 私の手を握ってくる

 そして、私の手を頬に当てながら 見つめてくる

 その瞳はとても情熱的で綺麗なものだった

 まるで吸い込まれてしまうかのような感覚に陥る

 私は、その視線から逃れることが出来ずに 彼女を見つめ返す

 心拍数が上がり体は火照っていくようだ

 私はなぜかわからないけど、彼女に魅力を感じているようだ


「あなたすごいですね!これは魅了の魔法ですか!?」


「あら、ばれちゃったみたいね、ふふっ」


「い、いえ!そんな魔法使えるなんて凄いなぁって思っただけですから」

 私は慌ててそう言い繕う


「いいのいいの、隠してないから」

 そう言って、彼女は笑みを浮かべる


「あの、失礼かもしれませんがお名前を教えていただけますか?」


「私はエイシアこの国の第一王女よ」


「えぇ!!王女様だったんですか!?」


「ええ、そうよ」


「申し訳ありません、王女様に気安く話し掛けてしまいました」


「別に気にしないわ」


「それで、なぜ王女様がここにいるのですか?」


「それはね、あなた達3人が誘拐されたと聞いて助けに来たの」


「そうなんですね、ありがとうございます」


「それにしても、ここはどこですか?」


「ここは、王城の最上階にある部屋よ」


「そうですか……」


 神聖王国にまで来てしまったのは意外だったけど

 みんな無事なので結果オーライ!


「みなさん無事でしたしトルティエに帰りましょう!」

 そう言って2人の手を掴むすると二人は私の手を払いのける


「ごめんなさい!アリアさん私はここで生きていくことにするわ!」

 ライラ様がそう言って微笑む 私は驚きすぎて声が出なかった……


「アリアさん私もライラ様と一緒の考えです!

 私はここで聖女として生きていきます!」

 フィーナさんも同じように宣言する どうしてこんなことになったのだろう……


 なんだかおかしい……


 ライラ様はお姉さんに憧れていて光魔法をやっと覚えたのだ

 お姉さんに報告などしたいだろうし

 フィーナさんは私達と一緒に学園生活をしたいと言っていたのに

 聖女として生きていくなんてどうかんがえてもおかしい……

 そう顎に手を当てて考えていると

 横目でエイシア様の笑みが見える


「そうですか!エイシア様お二人を魅了によって洗脳しましたね!」


 私はエイシア様に向かって叫ぶ

 すると、エイシア様は 不敵に笑う やはり、エイシア様の仕業か……

 おそらく、フィーナさんを聖女としてうまく利用するつもりだろう

 ライラ様もトルティエの王女だ利用できる……

 だが、2人をどう説得すれば良いのか?

 考えろ私、考えるんだ私!

 考えながら二人を凝視していると2人にエイシアさんの魔力が視えてくる

 これは…魅了のメカニズムが分かった!

 他人の魔力にエイシアさんの思考を魔力に乗せて混ぜているのだ

 黄金の力は他人の魔力に自分の魔力を混ぜて傷を癒す

 しかしエイシアさんは癒す力を持たないけど思考を混ぜる力をもっていた

 そこで思考を魔力に乗せてて混ぜることで洗脳しているのだ

 原理が分かれば直すことも可能!

 私は二人の額に手をかざす


『ひーる』


 私がそう呟くと、黄金の光が2人を包み魅了の力が消えていく

 2人はきょとんとした表情をしている


「あれ、私は何をしていたのでしょう?」


「フィーナさん大丈夫ですか?」


「はい……」


「フィーナさんはこれから聖女として生きると仰いましたが、本当ですか?」


「いいえ!私は皆さんと一緒にトルティエへ帰ります!」


「そうですか、おかえりなさい!」

 私はフィーナさんの手を握る


「ライラ様はどうですか?」


「どうって何のこと?トルティエに帰るってことなら私も帰るわよ!」


「ライラ様もおかえりなさい!」

 ライラさんの手も握る


 どうやら2人の洗脳は解けたようだ


「どういうこと…あなたが聖女だったの……?」


 エイシア王女の顔が強張っている 彼女は聖女の力を知っていたのだろうか?


「いえ私は聖女なんかじゃありません!可愛い女の子です!」

 私は胸を張って答える


 すると、エイシア様が急に笑い出す その笑顔はとても綺麗で可愛らしく見えた

 彼女はしばらく笑ってから、涙を拭きこちらを見てくる

 その目は真剣な眼差しで私の目を覗き込んでくる

 まるで心の中まで見透かされているような感覚に陥る


「あなたに私の愛をあげる」


 そう言って、彼女は私の額にキスをする とても情熱的なキスだった

 私は突然のことに頭が回らない 頭の中では彼女の唇の感触だけが支配していた

 しばらくして、彼女は私から離れる そして、彼女は私を抱きしめる

 彼女の体は柔らかく甘い匂いがした 彼女の鼓動を感じる ドキドキとしている

 これが邪な思いのない行動だったら嬉しいのですが…とそう思いつつ

 彼女を突き飛ばす


「残念ですが、私に魅了は効きませんと言いましたよね?」


 そう言うと、彼女は顔を真っ赤にして怒った

 顔から湯気が出るんじゃないかと思うほどに……

 彼女のプライドを傷つけてしまったのか

 それから、彼女は何度も何度も 攻撃魔法を使ってきたが

 全部跳ね返してやった

 彼女は次第に疲れたのか肩で息をしながら

 地面に座り込む すると、エイシア様は泣き出してしまった

 私は、そんなエイシア様にお仕置きをする


「自分が今までどんなひどいことをしてきたか

 その身を持って味わうといいですよ」


「何を言っているの!?」

 そう言って、私は彼女に抱きつく


「なっ!離れなさいよ!」


 そして全力の意地悪たっぷりの魅了の魔法をエイシア様にかける


『ちゃーむ』


 すると、エイシア様の動きが止まる


「さぁ今のうちに……」

 私がそう言ってフィーナさんとライラ様を連れて行こうとすると


「あ〜れ〜」


 エイシア様が私に向かって倒れかかってくる 私はそれを華麗に避けると


「フィーナさん!ライラ様!早く逃げましょう!」


 そう言って、フィーナさんとライラ様の手を掴んで部屋を出る

 部屋を出てすぐにフィーナさんが私に問いかける


「エイシア様をあのままにしておくのですか?」


「いいんです!だって、エイシア様は悪いことをしていたんですよ!

 それに私は悪いことはしていないので!」


 私がそう言うとライラ様も同意してくれる


「アリアさんの言う通りね!あんな女助ける価値もないわ!」


 そう言いながらも、フィーナさんはエイシア様の心配をしているようだったので


「大丈夫ですよフィーナさん!あの魅了は1週間もすれば消えます」


 私はそう言って、フィーナさんを安心させるように微笑んだ………………

 私達は、無事に城から抜け出すとアーマンさんとトレアさんがいた


「無事だったみたいだな」


「えぇなんとか……」


 トレアさんは私達を見るとすぐに土下座を始める


「ごめんなさい!先回りしたのに何も出来ませんでした……」


 なんともキレイな土下座だ 私も習得したいと思わせるほどキレイだ


「こいつをあまり責めないでやってくれ

 教会が王女の手に落ちた時点で俺達にはどうしようもなかった」

 アーマンさんがトレアさんのフォローに入る

 どうやら彼は洗脳などされていないようだ

 そしてフィーナさんを見てアーマンさんは騎士の敬礼をする


「フィーナ様、王があなたにお会いしたいと申しております

 王の元へ案内しますのでついてきてください!」


 私はフィーナさんを見る フィーナさんは困った表情をしていた

 私はフィーナさんの手を取り、こう言った


「行きましょう!そして怒ってやりましょう!」


 そうして、私達は王のいる玉座の間へ向かうことにした

 途中、ライラ様が私に話しかけてくる


「戦争にならないように、挑発は控えてね!」


 ライラ様は私に注意してくる

 どうやら私が王に怒りをぶつけようとしていることがバレているようだ

 まぁいいでしょう 王はどんな人かわかりませんが

 私は私の思う正義を貫くだけです!

 そう思いながら歩いていると、大きな扉の前にたどり着く

 この先に王様がいるようだ

 私は深呼吸をして、気持ちを整えてからドアを開ける

 そこには、王冠を被ったおじさんが椅子に座っていた


「よく来たなフィーナ……そしてライラ殿にアリア殿」


「あなたが、国王ですか?」


「いかにも、余が神聖王国の国王である」


 なるほど、偉そうな口調に威厳のある態度 確かにこれは王様って感じですね

 私がそんなことを考えているとフィーナさんは驚いたように口を開く


「おじさま…なぜおじさまが……!?」


 ん?どうやらフィーナさんはこの王様を知っているようだ


「フィーナよ…妹が君を産んだときから君のことは知っているぞ……

 しかし、大きくなったな……昔はとても小さかったというのに……」

 フィーナさんは困惑している

 私とライラ様は、状況が理解できずにただ突っ立っていることしかできなかった

 すると、王様は立ち上がりフィーナさんに近づいていく

 そしてフィーナさんの髪を撫でる

「今の姿は当時のレイナそっくりだ……レイナは元気にしてるか?」

「母は元気ですが……それよりもおじ様がこの国の王ということなのですか?」

 その質問に対して、王様は悲しそうな顔をする

 その表情を見たフィーナさんも悲しい顔をしていた

 一体どういうことなのだろう

 私は気になり、フィーナさんに声をかけようとした瞬間

 急に大きな音が鳴り響く

 それは、外から聞こえてきた


「うちの娘を返しなさい!」


 そこにはフィーナさんの母親のレイナさんの姿があった


「この子を誘拐するなんてどういうことよ!」


 レイナさんは、今にも殴りかかりそうだ

 すると、フィーナさんがレイナさんを止める


「お母さん落ち着いて下さい!」


「落ち着いてられるものですか!一発殴る!それからよ!」


 レイナさんはだいぶ血の気が多い人のようだ

 フィーナさんもかなり苦労してるんだろうなぁ

 そう思ってフィーナさんを見つめると

 少し恥ずかしそうにしながら母親をなだめいていた


「この子がこの国に来るかどうかは成人してから打ち明けて

 この子が決めるって約束だったはずよ!それを破るとはどういうことよ!」


 そう言われて、王様は申し訳なさそうにしている

 どうやら悪い人ではないようですね

 そしてフィーナさんは私とライラ様の方を向いて 頭を下げた

 突然の行動に私とライラ様は戸惑うばかりだ

 すると遠くから変な声が聞こえてきた


「アリア様ぁ~ここにいらしたのねぇ~」


 そう言いながらこちらに向かってくるのは、エイシア様だった

 エイシア様は私を見つけると抱きついてきて頬ずりをしてきた

 私はそれを全力で拒否して、エイシア様から離れる

 エイシア様は私を逃がさないように手を握ってくる

 私はそれに抵抗して手を離そうとするが、なかなか離れない

 これはもう諦めるしかないのかと思い私は肩を落とした


「レイラ様この度は申し訳ございませんでした~私が悪かったんです~」


 私に引っ付きながらエイラ様に頭を下げるエイシア様

 なんだかかわいそうな気がしてきた

 凛としていた方がこんな姿になるというのは

 なんてひどい魔法を使ったのだろうかと

 罪悪感が湧いてきた

 なので私は、エイシア様の頭に手をかざす


『ひーる』


 これでエイシア様ににかけた魅了の魔法は消えるだろう


「……」


「ん……?なんで離れないんですか?」


 私は疑問に思い、再度『ひーる』をかける

 しかし、それでもエイシア様は私から離れない


「なんで私がアリア様から離れないといけないんですか?」


 そう言ってさらに強く抱きしめてくる

 え?嘘でしょ?って引き剥がそうと奮闘していると

 王様が私達の元へやってきた

 王様はエイシア様を見ると驚いていた そして私に話しかけてくる


「うちの娘がこんなに誰かに懐くなんて珍しい……君はいったい何者なのだ?」


「私は、ただの可愛い女性ですよ……

 それより、この人を早く引き離してもらえませんかね……」


 私がそう言うと、王様はエイシア様を見て納得したようだ


「あぁ、すまない……おい、エイシア!アリア殿が困っているぞ!

 さっさとアリア殿から離れろ!」


「嫌ですぅ!アリア様ぁぁぁぁ!」


 王様が注意しても、一向に離れようとしないエイシア様

 すると突然エイシア様が気絶するように倒れ込む


「お嬢様からそろそろ離れてください!」


 メリッサ…どうしてここへ!?


「私はずっとお嬢様のそばにいましたよ?」


 心を読んでさらに怖いこと言ってるねこの子!


「陛下!」


 部屋の外から兵士らしき男の人が入ってくる

 その人は部屋に入るとすぐに王様に耳打ちをする

 その報告を聞いた王様の顔色がみるみると青ざめていく

 そして、王様は私たちの方を見る


「トルネティア軍と魔導帝国軍がやってきたようだ……」


 その言葉を聞いて私達は驚いた


「戦争が始まるのですか!?」


 ライラ様は不安そうに尋ねる


「いや、トルネティア国からは第二王女ライラ・トルネティア

 アリア・リュゼクリス フィーナの身柄を渡せと

 魔導帝国からはアリア・リュゼクリスとその友人2人の身柄を渡せば軍を引くということだった」


 その言葉を聞き私達は目が合う


「「「…帰りましょう!」」」


 こうして私達はトルネティアへと帰るのであった

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