十五話
フィーナさんはアークさん達が護衛しながら帰宅した
その後を私とラムサス王子の二人で追跡していく
「ラムサス様、もう少し離れてください」
「何故だ?」
「動きにくいです」
「別に良いではないか」
「よくないですよ、捕まえることが出来なくなるじゃないですか!」
「…………」
「あと、アークさん達とはぐれるといけませんので
ちゃんとついてきてくださいね」
「ああ」
「ところで、どこに向かっているんだ?」
「フィーネさんの家です」
「フィーネの!?」
「はい、まずはフィーネさんの身の安全を確保してから、ストーカーを捕まえましょう」
「なるほど」
私達はフィーネさんの自宅に到着した
「ここがフィーネさんの家か?」
「はい、そうみたいです」
「随分と立派な家に住んでいるのだな」
私達の目の前にあるのは大きな屋敷だ とても平民が住む家に見えない
意外とフィーネさんのご両親はお金持ちの商人か何かなのだろうか?
そんな事をふと思いつつも考えを切り替える
「さて、それでは念のためにこの辺り一帯を闇の魔力で覆って下さい
もしかしたら近くで家を借りて監視しているかもしれません」
ラムサス王子だけに聞こえるように話す
「分かった」
王子は目を閉じ精神集中する
『暗黒世界』
王子を中心に黒い霧のようなものが広がっていく
「これでいいのか?」
「ええ、完璧です」
闇の魔力の扱いも上手くなって、かなり広範囲に広がっている
そして私は魔力感知魔法を使う
『ごーごるあーす』
すると、ぼんやりと景色が見えてくる
「ここから真っ直ぐ進んだところにいる男が怪しいくらい辺りを警戒しています
ちょっと聞き込みをしてみましょう」
「そんな曖昧な方法で探すのか……?」
「まぁ、こういうことは地道にやっていきましょう」
私は怪しい男に話しかける
「すみませ~ん」
男はビクッとして振り返った 私は少し驚いた
まさかこんな 警戒心丸出しでこちらを睨んでくるなんて
「あの……、今少しよろしいでしょうか」
「……何だ」
「実は最近、この辺で不審者が目撃されているらしくて…
もしかすると貴方がその人なのかと思って」
我ながらストレートな物言いだしかしこの人怪しすぎる
「……」
「ち、違いましたか」
「ふん、貴様らはこの俺を疑っているのか」
「いえ、そういうわけじゃ……」
「ならば、とっとと失せろ」
そう言うと、そそくさと何処かに行ってしまった
「ダメですね、完全に怪しまれてしまいました」
「……そうだな」
「でも、これで分かりました」
「なにがだ?」
「恐らくこの辺りで私達を監視している者がいるはずです」
「この男に話しかけたとき他の場所でそそくさと立ち去る者を3人程私の魔力感知魔法で確認出来ました
その男達に撤退指示を出せる場所は…あの建物かその周辺でしょう」
「なるほど」
「という訳で、その建物の中に入ってみましょう」
「何故、そうなるんだ?」
「もし違っていたら謝ればいいのです」
「ふふっ、それもそうだな」
私達はその大きな屋敷の中に入っていく
「誰もいないな」
「おかしいですね、人の気配はあるんですが」
「隠れてるんじゃないか?」
「そうかもしれませんね」
「なら、一部屋ずつ探していくか」
「そうしましょう」
私達が廊下を歩いていると ドカァン!!
「うわぁ!!」
突然、爆発音が聞こえた
「なんだ!?」
「どうやら誰かが戦闘中のようです」
「行くぞ!」
「はい!」
私達が急いで駆けつけるとそこには2体のゴーレムがいた
そして、誰か1人倒れていた
「大丈夫ですか?」
私は倒れた人に駆け寄る 見た感じ女性だ
「あ、あなた達は……?」
「通りすがりの正義の味方です!」
「……」
ラムサス王子が呆れた顔をしている
「ふふっ、面白い方達だわ」
女性はクスリと笑った
「おい!何を笑ってるんだ!」
「そうですよ!怪我してるじゃないですか!」
「はぁ……、全くお前は
とりあえずこのゴーレムを片付けるぞ」
「はい、ラムサス様」
私達は武器を構える
『風刃』
「はあっ!!」
ズシャッ
「よし、まず一体目」
「次は私に任せてください」
『かまいたち』
「はあああああああ!!!」
ザシュッ
私は風の魔力でもう一体を切り裂いた
「ふう、終わりました」
「さて、後はこいつだけだな」
この女性がここにいたということは、この人が指示役ということだろうか?
「あの、もしかしてあなたはこの家の人ですか?」
「いいえ私はここの主に用があったのだけど
突然ゴーレムに襲われて足を怪我してしまったのよ」
「なるほど」
「ところで貴方たちは誰なのかしら」
「それは……」
「俺はラムサス・レイフォンだ」
「私はアリア・リュゼクリスといいます」
「ラムサス・レイフォン…あなた魔導帝国の第一王子のあのラムサス王子なの?」
「まあ、そうだな」
「そう…私の名前はトレアよ」
この女性、見た目は私と同じくらいに見えるけど、
随分と落ち着いているように見える
脚のケガは直視出来ないほどひどいのに、すごい精神力だと感心してしまう
「傷を見せてください」
私は彼女の脚に手を添えて魔法を使おうとするが
その手をラムサス王子が掴む
え?なんで邪魔するんですか?
今から治癒魔法をかけようとしているんですよ?
私はジト目でラムサス王子を見る
彼は申し訳なさそうな顔で私を見つめ返す
そして、私の耳元で囁くように言った
「それは使わないようにと言われていたはずだ」
確かに言われましたが……
「救える力があるのに救わないのは私の矜持に反します」
「……分かった、お前のやりたいようにやれ」
「ありがとうございます」
「……何の話をしているのかしら?」
トレアさんが不思議そうに聞いてくる
「今に分かる」
「そう、なら良いのだけれど」
「では傷を見せてください」
『ひーる』
彼女の脚が黄金の光に包まれるするとみるみると傷が治っていった
もう完治したと言っても過言ではない程だ
トレアさんの表情が明るくなった
そして彼女は私に抱きついてきた
とても柔らかい感触が私を包んだ
「あぁ、あなたが聖女フィーネ様だったのね!お会いできて嬉しいわ!」
「いえ、違います」
「またまた~、そんな謙遜しなくても」
「いえ、本当に違います」
「じゃあ、どうして治癒魔法が使えるのかしら?」
「偶然私も使えただけです」
「偶然使えるなんてそんなわけ…」
「それよりも貴様聖女フィーネと言ったな!?」
ラムサス王子は彼女に詰め寄る
聖女と呼ぶのは神聖王国の人ということなのだろう
つまり彼女がフィーネさんのストーカーの黒幕だ!
「あなたがフィーネさんを付け狙っていた黒幕ですか!?」
「ちょっと待って!誤解よ!私は神聖王国兵士長で国王陛下の名を受けて
聖女フィーナを拉致しようとする者たちを捕らえに来ただけよ!」
「そうだったんですか」
「そう、だから離してくれない?あと、その男は離れなさい!」
王子の闇の魔力がお気に召さないようだ
私達は彼女から離れる
「さっきは取り乱してごめんなさいね」
「いえ、こちらこそ勘違いをしてすみませんでした」
「ところであなた達は何者なの?」
「私達は正義の味方です!」
「……」
私が胸を張って言うがトレアさんは無反応だ
「正義の味方ねぇ……」
「貴様!文句あるのか!?」
「いえ、別に無いけど正義の味方だというのなら今すぐ聖女様の元へ行きましょう
奴等、私にゴーレムをけしかけて聖女様を攫いに行ったのよ!」
「トレアさん!そういうことはもっと早く行ってください!」
私達はすぐにフィーナさんのいる実家へ向かった
家に着くと玄関に戦闘の後があった中に入ると
そこにはボロボロになったアークさん達がいた
『ひーる』
急いでみんなのケガを癒す全員無事のようで安心した
「フィーナ様とライラ様が攫われた」
「え?それ本当ですか?」
「ああ、俺達はなんとか撃退したが敵は複数人いた」
「私達も応戦したんだけど、相手は魔術師が多くて勝てなかったの」
アークさんやニーナさん達は戦ったみたいだけど数の多さには対応できなかったらしい
「でもライラ様はなぜフィーナさんの家に…」
「ライラ様がフィーナさんのためにお守りを届けにきたときに
突然現れた敵にさらわれてしまったんです」
「……なるほど」
おそらくライラさんフィーナさんが心配になってお守りを届けたのだろう
そしてフィーナさんの誘拐に巻き込まれたのか…
誘拐犯はすぐに神聖王国へ2人を運ぶようなことは出来ないはずだろう
一旦どこかへ2人を匿うはずだ
『ごーごるあーす』
二人の魔力を感知出来ればと思って魔力感知の魔法を使ったがどうやら何か対策をされているらしい
2人の魔力を感知することが出来なかった
「だめですね……2人ともどこにいるのか分かりません」
「そうか、このままでは聖女フィーナは連れ去られてしまうぞ」
トレアさんは悔しそうな顔をしている
彼女は聖女であるフィーネさんが狙われているのに
何も出来なかったことを悔やんでいるのだろう
「トレア、お前神聖王国までどのくらいで行ける?」
「馬車で10日ほどね」
「ならばお前は神聖王国へ向かってくれ、
俺は本国にも連絡を入れて聖女を救出するように頼む」
「分かったわ!」
トレアさんはそう言って飛び出していったさすがは兵士長だ 行動が早い
「俺は一度屋敷に戻る」
ラムサス王子もそう言い残して出て行った
さて、私はどうしようかな? 私は少し考えるそして
一つの考えが浮かんだ それは……
『ふらい』
私は魔法を使い空を飛ぶそして様々が人が行き交う街を見下ろす
そして一番高い建物を見つけるとその建物の屋上に降り立った
ここはこの王都で最も高い塔だ ここからなら王都を見渡せるはずだ
『全力ごーごるあーす』
そうして私はフィーナさんとライラ様を探すのだった




