十四話
討伐訓練のこともあり、しばらくは休みということになっていた
そこでライラ様から話があるということで
みんながライラ様の屋敷に集まることになった
王立騎士学園の面々とフィーネさんに私、ラムサス王子もきている
「皆様、本日はわざわざ集まっていただき誠にありがとうございます」
「いえ、そんなことありませんよ」
「それで、私たちを集めて何の話をするんですか?」
「はい、実はフィーネさんの力についてです」
「力……ですか?」
「ええ、そのことについて詳しくお話をしようかと思いまして」
「はぁ……とりあえず説明してくれ」
ラムサス王子はめんどくさそうにしていたが
話はききたいようだ
「はい、実は昨日アークさんの出血がひどくてこのままでは命に関わる状態でした
ですので、私は癒し力を使い傷を癒しました」
「癒しの……力だと!?」
ラムサス王子の目が点になっている
「はい、しかし問題がありました」
「問題とは?」
「フィーネさんが力を使っているところを他の生徒に見られてしまったんです」
俯き黙っていたフィーネさんが口を開く
「2日前から誰かに見られているような感じがして
怖くなってライラ様に相談したんです」
どうやフィーネさんは癒しの力を持つまさにヒロインで
最近誰かにストーカーされているようだ…
「おい平民!なぜ貴様が癒しの力を持っているのだ!」
フリーズしていたラムサス様が帰ってきたようだ
しかしフィーネさんを平民呼ばわりとは許せん!
「ラムサス様フィーネさんの名前は平民ではないです!
ちゃんとフィーネさんって呼んでください!」
「む……すまない、フィーネとやらなぜ貴様が黄金の力を持っている」
黄金の力?はて癒しの力ではないのでしょうか?
黄金の力とは何だろうという表情をしていたのが
分かったのかラムサス様が補足してくれる
「お前たちは知らないのか、なら教えよう 黄金の力というのは
神聖王国の初代女王マリアが持っていたといわれている癒しの力のことだ」
「そうなんですね、知りませんでした」
「まあいい、それよりも貴様はなぜ黄金の力を使えるんだ」
「それはわかりません…物心ついた時から使えました」
「ですが両親から決して人には見せるなと言われていました」
そうフィーネさんは言って俯く
ラムサス王子は真剣な顔になって考え込んでいる
「それもそうだ…こんなことが神聖王国に知られてみろ
お前を手に入れるためなら奴等は戦争だってするぞ」
「そんな……どうしてそこまで……」
「そんなこと決まっている! その力は伝説の力だ!奴らの信仰のよりどころだ
お前はかの国の者にとっては聖女様でマリアの生まれ変わりだ」
興奮しすぎて昨日の傷が開いたのだろうかラムサス王子の腕から血がにじむ
「傷が!」
そういってフィーネさんはラムサスのケガに手をかざす
『癒しを……』
すると黄金に光が彼の腕にあった切り傷を消していった
「これは……!」
ラムサス王子はこの目で見たことが信じられないような表情をしていた
「おおおおおおお!」
間近で私が理想としていた魔法を見て私は興奮する
「これはすごい魔法ですね!私も初めて見ました!」
「フィーネさんの魔力が傷ついたラムサス王子の肉体にある魔力と
混ざり合い、回復力を高めています!黄金に光るのはフィーネさんの魔力が
混ざり合うときに生じる現象ですね」
「えっと……この力ってそういう原理なんですか?」
「はい、簡単に言えば悪くなった魔力を良い魔力と交換しているのです」
「それで傷が治ったりするものかしら?」
ライラ様が疑問を投げかける
「はい、普通の人が使っても何も起こらないでしょうね!
フィーネさんみたいな魔力だから黄金に光り出来る力です!
そういえば、ラムサス様は腰を打っていましたよね?見せてください」
私はラムサス王子の腰に手を当てる
「んっ……!」
「あ、すみません痛かったですか?」
「い、いや大丈夫だ」
「少しだけ我慢してください」
「ああ」
「いきますよ……」
『ひーる』
黄金の光がラムサスの腰を包む
「ふぅ、これでもう平気ですよ」
「なにぃ!?」
ラムサスは自分の身体に何が起こったのか分からないといった様子だった
「なぜ、お前が黄金の力を使えるんだ!」
「簡単です!フィーネさんの魔力のようにすれば使えるようになります」
「お前は何を言っているんだ!?」
「ラムサス王子、落ち着いてください」
「しかしこいつは……!」
「いいですか、ラムサス王子、私たちはこれからフィーネさんを守るために
力を合わせていかなければいけません!
それとアリアさんも黄金の力が使えることが周知されてしまえば
2人を守らなければなりません」
ライラ様はいつにもなく真剣な表情だ
「しかし守れるのか?相手は大国の神聖王国だぞ?」
「まだ神聖王国にバレたとは限りません」
「私たちが2人を守りましょう」
そう言ってライラ様は皆を見る
するとアークさんが立ち上がってからフィーネさんに騎士の敬礼をする
「フィーネさん俺はあなたに命を救われた
だからこの命に代えてもあなたを守る」
どうやらアークさんはフィーネさんを守る騎士になると
心に決めたようだ
「アークはうちのリーダーよ、アークが守るっていうのなら
あたしも力を貸すよ」
ニーナさんはアークさんに付いていくようだ
他の2人も頷きフィーナさんを守ることを誓う
「待て!お前たちフィーネがどうしたいか聞いていないだろう?
お前は平民として生きていくより聖女として神聖王国で何不自由なく
暮らしていくのもいいのではないのか?」
そうだった私達はフィーネさんを守ることばかり考えていた
彼女がどうしたいかを聞いていなかった
「フィーネさんあなたはどうしたいの?」
ライラ様はフィーネさんにやさしく問いかける
「私は……私は……この学園で皆さんと一緒にいたいです……
せっかく仲良くなったんです……もっと皆と過ごしたいです……」
フィーネさんは泣きながら答えてくれた
「フィーネ、よく言ったわね偉いわ」
「うっぐ……ライラ様……私、みんなと離れたくないです」
ライラ様はフィーネさんを抱き寄せ頭を撫でていた
「フィーネさんがそうおっしゃるなら私達もその気持ちに応えたいと思います」
女の子を泣かせるなんて許せないね
「安心して下さい、フィーネさんにはずっと笑顔でいてほしいので
ストーカーは私がやっつけてみせます!」
「ありがとうございます」
ラムサス王子がストーカーとは何だ?という表情をしていたが気にしない
「では作戦会議をしましょうか」
「はい」
「まずはフィーネさんの護衛についてです」
「そうですね、フィーネさんは狙われている可能性が高いので 護衛をつけるべきでしょう」
「そうですね、フィーネさんにもし何かあったら大変ですから」
「はい……」
フィーネさんは不安そうな顔をする 私はそんなフィーネさんの手を握る
「大丈夫ですよフィーネさん、私達がついています」
「はいっ!」
「俺に任せてください!フィーネさんは俺が守ります!」
アークが力強く宣言する
「ありがとうございます、頼りにしてますね」
「は、はい!」
フィーネさんに頼られたのが嬉しかったのか顔が真っ赤になっている
「フィーネさん、あまり無防備なことはしない方がいいかもしれません」
「え?」
「だって、その……こんな可愛い女の子に上目づかいでお願いされたら男は勘違いしてしまいます」
「えぇ!?そ、そうなんでしょうか?」
「ええ、特にアークさんみたいなタイプは すぐにコロっといっちゃいます」
そう言ってアークさんを見る
「うーん、でもアークさんはもう手遅れかもしれないですね」
「へ?」
「いえ、なんでもないです!」
アークさんはもうフィーナ親衛隊NO1として生きていくでしょう
「護衛はアークさん達に任せて私達はフィーナさんを付け狙う者を特定しましょう」
「どうやってですか?」
「王子の闇の魔力を使いましょう」
「俺の魔力だと?どういうことだ」
「簡単なことです。誰かを尾行する人はそれだけ周囲に敏感になっているはずです」
「確かにそうだな」
「きっと王子の闇の力を浴びたとき何か反応を起こすはずです
そこを私が魔力感知を用いて尾行者を見つけます」
「しかし、普通は反応するものではないのか?」
ラムサス王子は納得していない様子だ
「私に任せて下さい!こう見えてもこういうことが得意なんです!」
「まぁ、お前がそこまで言うなら任せる」
「はい、まかせてください!では早速行きましょう!善は急げと言いますから」
こうして私達はフィーネさんを守るために動き出した
フィーネさんのストーカーを探し出すために
煌びやかな装飾が施された豪華な部屋で
神聖王国第1王女のエイシアは優雅にお茶を飲んでいた
彼女の目の前にあるテーブルの上には色とりどりのケーキが置かれている
それをフォークで一口サイズに切り取り口に運ぶ
すると紅茶の香りが鼻から抜けていき
とても心地よい気分になる 今日は久しぶりに父である国王に謁見が出来るのだ
神聖王国を裏で牛耳っているといっても過言ではないエイシアにとっての
親であり、絶対的存在でもある
いつもなら忙しいのか、なかなか会えないのだが 今回は少し違うようだ
先日、届けた手紙の内容に興味があったようだ
コンコン
扉をノックする音が聞こえる どうやら待ち人がやってきたようだ
「エイシア……入るぞ」
そう言いながら入ってきたのは 神聖王国の現王 ゼノ・ゴールド
40代半ばとは思えないほど若々しい容姿をしている
白髪混じりの長い髪をオールバックにしている
瞳の色は血のように赤い 背筋が伸びていて威圧感がある
この人に逆らえる者はいないだろう
それほどまでに王の風格というものを持っている
「お久しぶりですおとうさま」
私は淑女として礼をとる
私はこの国で1番であると自負している
それこそ誰もが私を褒め称え、敬う そんな私を見ても王は表情を変えず
私の前に座る そして私を見つめながら言った これはお説教が始まる合図だ
「聖女様には手を出すな
お前は聖女様を困らせることがどういうことか分からぬのか?
いずれ時期が来れば我らが迎えに行く
だからお前は余計なことはするな」
「申し訳ありません、お父様、私の愛は動き出しています」
そう言って、にっこりと微笑む その笑みを見たものは例外なく魅了される
だが、王は違った 表情を変えることはなかったが、
額に手を当て呆れたような仕草をしたそれから深いため息をつく
なぜだろうか、私が笑顔を向けると皆頬を染めて見惚れるというのに
どうしてこの方は表情一つ変えないのだろうか 私には理解できない
私が考え事をしていると王が私に声をかけてきた
「お前の魅了の魔力はわしには効かん!
諦めろ!いいか、絶対に聖女様に手を出すな」
そう言うと王は部屋を出ていった 私はそんな父の背中を見送りながら呟く
「聖女様はどんな方でしょうか…?お父様のよう楽しい方であってほしいわ」
私はそう願いながらまたお菓子を口に運んだ




