表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/26

十三話

 キシャアアアアアア!

 自分よりも大きい虫と対峙するなんて異世界じゃないと経験できないことだよね

 そんなことを考えているピンチでもどこか可愛い私アリア・リュゼクリスと申します


「おらぁ!」


「せい!」


 私達は迫り来るワームに剣を振るう しかし、相手は虫である為あまりダメージはないようだ

 すると、目の前の大きなワームが私達を飲み込もうと大きな口を開けて迫ってくる


「来ます!」


「任せろ!」


 そう言ってラムサス様は剣を構える


「『風よ!』」

 ラムサス様の手から風の刃が出てワームの口の中へと入っていく


「ギイィヤァア!」

 ワームは苦しそうな声を上げる


「はっ!ザマァみろ!」


「よし!今のうちに逃げるぞ!」


「はい!」


「なっ!」

 すると突然足元が崩れ出す


「くっ!まずい!」


「えっ!」


「きゃあ!」


 私達の足場は崩れた


 キシャアアアアア

 どうやら大きなワームはもう一体いたようだった


「ちっ、仕方がない」

 ラムサス様は私を抱きかかえる


「へ?」


「ぐはぁ!」


「ラムサス様!」

 私の下敷きになり地面に強く体をうちつけるラムサス様


「おい!何やってんだよ!早く立て!」


 私は慌てて起き上がる


「だ、大丈夫ですか?」


「ああ……問題ない」


「よかった」


「それより、走れ!」


「はい!」

 私達は必死に走る しかし、後ろからはワームが迫ってくる


「このままじゃ追いつかれてしまいます!」


「ちっ、何か手はないか!」


「おい!あそこに穴があるぞ!」


「あそこならあいつらも入ってこれないかもしれん!」


「よし!あそこまで行くぞ!」


「はい」

 私達が穴に入った瞬間、ワームは穴に入ってくることはなかった


「助かった……」


「おい、大丈夫か?ケガはしていないか?」


「はい、なんとか……」


「それにしても厄介だな。あんな大きな奴が2匹もいるなんてな」


 確かにそうだ、一体どうすればいいか2人で考える


「あの魔虫は触った感触は鉱石と同じくらい硬かったです

 それにフィーネさんの放った火の魔術を受けても平気なところを見るに

 熱には強いようです」


「そうか、それなら冷気に弱いのかもしれないな」


「そうですね、やってみましょう」


「おい、お前氷系の魔法は使えるのか?」


「もちろん、使えます」


「……そうか、なら頼む」

 そういって私は穴から出るとラムサス様は少し離れる


「いきます!『冷凍室』!」

 すると、洞窟内の気温が急激に下がる


 小さな魔虫たちは体が凍りつくそしてワームの体から白い煙が出る

  すると、ワームの動きが止まる

 キシャアアアアア

 大きなワームが2体とも倒れ込む


「やったか!?」


「いえ、まだです!」


 すると、倒れたはずの大きなワームがまた動き出したのだ


「なに!?」

 すると、ワームは口から液体を吐き出す


「きゃあ!」


「くそ!溶解液か!?」


 私達は避けるが避けきれず()や服に緑の液体がかかる

 そう()に緑の液体がかかったのである


「ラムサス様、なんか、臭いです」


「言うな、俺だってわかってる」


「ラムサス様、この緑色のベトベトした物は何でしょうか」


「知るかよ」


「それにしても…私の()にこんなものを…

 許せませんッ!!許しませんよッ!」


「おい、待て、落ち着け……ヒィッ」


 このとき生まれて初めてラムサスは恐怖した

 自身の持つ闇の魔力などでは到底敵わぬ恐怖の波動が

 この小さな女からあふれ出る…

 初めて感じる強大な魔力の波動をラムサスは感じ取った


「あ、あぁ……」

 ラムサスは怯えていた


「私の()に……()()()に……こんなことをしておいて……

 生きて帰れると思うなよぉこの虫風情がよぉ?」

 アリアは微笑んでいた しかしその笑みはどこか狂気じみた笑顔だった









「「アリアさん!ラムサス王子!無事ですか!!」」


 みんなの声が聞こえてくる

 みんなの声が聞こえるということは皆さんは無事ということだろう


「私は大丈夫です!ラムサス様は気絶してケガをしてますけど

 命に別状はありません!」


「そうですか!よかった」


「しかし、どうしてこうなったんですか?」


「お嬢様が癇癪を起してしまいました」

 そうメリッサが言う


「えぇ!?なんでメリッサさんがそこにいるんですか?」

 そう洞窟に空いた穴の上からフィーナさんが驚く


「私はお嬢様のメイドですので、お嬢様のお顔が汚れたのなら

 タオルを持っていくのがメイドの務めです」


「いやいや、その理屈はおかしいですよね!」


「そんなことより、今はこの気絶した王子をそちらへ運びましょう」


「そうですね!」


「まずは私が行きます!」

 そう言ってフィーナはロープをこちらへ投げ込む


「ありがとうございます」


「では私も手伝いましょう」


「お願いします」


「さぁ、いきますよ」


 私とメリッサとフィーナさんの3人でラムサス様を運ぶ


「ふぅ……これでひと段落ですね」


「はい、一時はどうなるかと思いましたが」


「まったく、お嬢様はもうちょっと冷静になることをお勧めします」


 メリッサは激おこなようだ


「はい、すみませんでした」


「まあまあ、今回はアリアさんとラムサス様のおかげで助かりましたし

 結果オーライということで」


「そうですね、お嬢様も反省して下さいね」


「はい……」


「それじゃあ、みなさん戻りましょう」


「はい」


「ところで、あの魔虫はどうするのですか?あれがもし街に出たら大変なことになりますよ」


「それは心配ないと思います」

 フィーネさんの質問に対してメリッサが答える


「どういうことでしょう」


「実はですね。あの魔虫の素材は冒険者ギルドが買い取ってくれるのです」


「そうなんですか?」


「はい、あの魔虫は討伐報酬としてもお金が出るので、それを目当てに倒す人も多いんですよ

 ですので、私が冒険者ギルドのほうへ報告をしておきます」


「ありがとうございます」


「はい、それと今回の件はお嬢様が引き金を引いたようなので、

 私が責任をもって今回の後処理を行います

 後日魔虫の素材の報酬を皆さんに分配したいと考えております」


「わかりました、よろしくお願いします」


「はい、かしこまりました」


「それにしても、まさかこんなことになるなんて……」


「全くです、お嬢様はもう少し自重していただきたいです」


「はい、本当に申し訳ございません」


「うわあああああああああ」

 突然メリッサに背負われているラムサス王子が目覚めたようだ


「ここはどこだ!?」


「おはようございますラムサス王子」


「なっ、貴様は!どうして俺を背負っているんだ!」


「貴方様が寝ていたからです」


「俺が…寝ていた?」

 ラムサスは困惑していた


「はい、お疲れだったようでぐっすりと眠っておりました」


「俺は確か、ワームと戦っていたはずだが……」


「大きなワームは私達2人で倒しましたよ」


「2人で……?」


「そうか……あれは夢だったのか……?」

 そういうと彼は安堵のため息をつく


「そうだ、みんなは無事なのか!?」


「はい、みなさん無事ですよ」

 そうフィーナさんが答える


「そうか……よかった」


「おい!お前いつまで俺を背負っているつもりだ

 今すぐ降ろせ!」


「はい、わかりました」

 そう言ってメリッサは彼を降ろしてあげた


「ふん」


「あ、あのラムサス王子」


「なんだアリア?」


「この度は、私のせいで多大な迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした」

 私は深々と頭を下げる


「……」

 ラムサスは無言のまま私の方をじっと見つめる


「あの……ラムサス王子?」


「なんだよ、急にしおらしくなりやがって」


「だって、今回の件で迷惑をかけてしまいましたから」


「そんなことかよ、別に気にすることはない」


「でも……」


「ったく、めんどくさい奴だな貴様は…」


「すみません」


「謝るな、悪いと思ってるのならこれから気を付ければいいだけだ」


「はい、そうですね」


「ほら、もういいだろうそろそろ戻るぞ」


「はい!」

 こうして私たちは王都へ戻ることになった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ