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十二話

 私のいる国トルネティアには魔術師は貴族が騎士団は平民が就くことが多い国だ

 貴族は王立魔術学園に平民は王立騎士学園に通うことになる

 そんな2つの学園が交流を持つ機会があるそれは、魔物討伐訓練である

 比較的弱い魔物が出現する場所での訓練であるが魔術師と騎士の

 連携などを確認するために毎年行われている そして、今年もやってきたのだ


「今年の合同実習では、王都から遠く離れた森の奥にある洞窟の調査をしてもらう」


「「えぇ〜!!」」

 生徒全員が驚きの声を上げる


「どうしてそんな危険な場所へ行かなければならないのですか」


「そうだそうだ!俺達は学生なんだぞ」


「先生は私達がケガをすればいいと思っているの?」


 生徒たちは口々に不満を口に出す

 洞窟の調査なんて道も険しいし

 じめじめしてそうだし私としては御免こうむりたい

 なんて思っていたら騎士の先生が生徒のみんなをなだめる


「まぁ落ち着け、別に調査といってもそこまで危ないわけではない」


「でも……」


「まあ聞け、確かに危険ではあるがその分見返りもある」


「どういうことでしょうか?」


「それは、その洞窟には珍しい鉱石がたくさんあるという情報を得ている」


「「おぉ〜」」


「それにその鉱石を使って武器や防具を作ると良いものができるらしい」


「ということは、その鉱石を手に入れれば」


「ああ、かなりの大金になるだろうな」


「「よっしゃー!」」


「ただし、その洞窟にいる魔物はかなり強いと聞いている」


「それでも俺たちにかかれば余裕だよ!」


「そうだぜ!」


「油断は禁物だぞ」


 騎士の先生が注意を呼びかける

 貴族であろうが平民であろうがお金は欲しいのだ

 みんながやる気を出せればおのずと

 チームワークもよくなるという考えがあっての

 この洞窟での訓練なのかな?などと考えていると

 同じチームになったみんなが集まってくる

 フィーネさんとライラ様とラムサス王子だ

 ラムサス王子は一人でやると頑なに言い張っていたが

 同じ王族ということでライラ様が面倒をみることになったのだ


「さて、これで全員集まったかな?」


「そうみたいですわね」

 全員集まったところで騎士学園の人達が自己紹介を始めた


「俺の名前はアーク、剣を使うのが得意だが魔術も使える」


「私はニーナ、弓が専門です」


「僕はマックス、槍を使うの得意です」


「俺はジャック、斧を使うのが好きなんだな!」


 アークは細身で動きやすそうな軽装備をしている

 ニーナは茶色の髪で小柄な体型だ

 マックスは褐色肌で短めの黒髪をしている

 ジャックは筋肉質でいかにも力強そうだ


「私の名前はアリア・リュゼクリス!魔法が得意です!よろしくお願いします!」

 キラキラを添えるのを忘れずに……


「……ラムサスだ」

 ラムサス王子は相変わらず不機嫌そうだ

 ライラ様とフィーネさんも自己紹介が終わり

 私達の目的地である洞窟を目指すことになった 森の中に入りしばらく進むと


「おい、お前」

 ラムサス様が声をかけてきた


「なんでしょう?」


「お前が足を引っ張ったら許さないからな」


「大丈夫ですよ、安心してください」


「ふんっ、どうだか」

 ラムサス様はご立腹のようだ

 私たちは洞窟を目指して進んでいた 途中何度かゴブリンと遭遇したが

 ラムサス様が睨み付けると一目散に逃げていった

 あの人の闇の魔力は魔物避けとしても抜群の効果を持つようだ


「ここが、洞窟の入り口か……」

 アークさんがそう呟く


「ここに鉱石があるんだな」

 ジャックさんは鉱石を取りたくてうずうずしているようだ


「ええ、早く行きましょう」

 ニーナさんも同じようだ


 洞窟の中は随分と暗そうだ

「灯りが必要ですね」

 私がそう言うとみんながこちらを向く


「皆さんにキラキラをプレゼントしたいと思います」


「キラキラを?」


「はい、少し待ってくださいね」


 そう言って私は皆の手を握っていく

 すると皆が光に灯されてそれぞれが光を薄く放つようになる


「どうなってるんだ?明るいぞ!?」


「これは一体……」


「こんな魔法見たことがないぞ!」


「綺麗……」


「これなら暗い洞窟の中でも平気なんだな」


「おい!これは何だ!またお前何をした!」


「褒めても何も出ませんよ~?」


 ラムサス様は相変わらず魔法を教えてクレクレマンだ

 この魔法は夜中トイレに行く際に明かりをつけるのがめんどくさくて

 開発したRPG松明風キラキラだ

 自分の周りを照らす夜中使用率ナンバー1の魔法で

 最近屋敷では幽霊が出るとか言われていて

 この魔法があってよかったと心から思ったものだ


「私のオリジナル魔法です、では皆さん行きましょう」


 洞窟の奥へと進んでいく 奥へ進めば進むほど暗くなっていく しかし私の手の中にある光が前方を明るく照らしてくれている そして、目的の場所へたどり着いた


「これが、例の鉱石だな」


「ああ、間違いない」


 そこには赤黒い鉱石が埋まっていた


「さあ、早速取り掛かりますか」



 そういうとアークさんは鉱石を掘り始めた


「よし!俺が掘るぞ!」


「僕もやるぞ!」


「俺も掘るんだな!」


「あら、じゃあ私は掘り出した鉱石を運ぶわ」

 そうライラ様がいう


「ライラ様、私も手伝います」

 フィーナさんはライラ様と鉱石を運ぶようだ


 それぞれ作業に取り掛かる 私も作業をしようと思い土に手をかざす


「おい、お前今度はどんな魔法を使うつもりだ?」


「いえ、ちょっと地面を柔らかくしてこの鉱石を取りやすくしようと思いまして」


「はぁ?そんなことできるわけないだろう!」


 ラムザス様がバカにしたように言ってくる


「まあまあ、やってみないとわかりませんよ?いきますよー?えいっ!」


 ズボッ!!


「…………」


「ほら取れましたよ」


「おまっ、それ……!!」


「ん〜?」

 私が取ったのは 小さなワームだった


「きゃああああ!!!」


「なんだこりゃ、初めて見る魔物だ」


「こいつは確か、魔物ではなくて魔虫という、魔力を持った虫です」

 マックスさんが説明してくれる


「魔虫だとぉ!?」


「はい、魔物と同じで魔力を持っています」


「なんでこんなところにいるんだな!」

 ジャックさんが叫ぶ

 すると周りからカサカサと魔虫の動く音がしきりに聞こえてくる


「まずいな、囲まれてるぞ!」


「嘘だろ……」


「皆さん!落ち着いてください!」

 フィーネさんの一言で全員が落ち着きを取り戻す


「皆さん、ここは私に任せてください」

 フィーネさんは杖を構える


「フィーネさん!一人で戦うのですか!?」


「はい!大丈夫です!私には魔術があります」

 そう言ってフィーネさんは呪文を唱える


『炎よ、我が敵を焼き尽くせ』

 するとフィーネさんの周りに赤い火の玉が現れる


「いけぇ!」


 そして、その火の玉は勢いよく飛んでいく バァン!!! ドカアアン!


「やった!やりました!」


「おお!凄いじゃないですか!」

 しかし煙の中からは無数の魔虫が出てくる


「うそ……」


「やばいぞ……数が多すぎる」


 どうやらここは魔虫の住処だったようだ


「くっ、これじゃキリがないぞ」


「虫程度俺の魔力で!」

 そう言って王子は自身の魔力を解き放つ


「闇よ、全てを喰らいつくせ」

 王子の手から真っ黒な闇の渦のようなものが現れて周りのものを吸い込んでゆく

 しかし、闇の渦が消えるとそこには先程よりも多くの魔虫がいた


「くそっ!どうしてだ!なぜ倒れないんだ!」


「おそらく、それは王子の想像しているような魔法ではないですね」


「はぁ?」


「あの黒い渦はただの現象に近いと思います」


「意味がわかんねぇぞ!」


「魔法とは世界に干渉する力、でもあの黒い渦は違いますね」


「違うってなんだよ!」


「魔法というのは術者のイメージ力によって変わりますよね?

 例えば雷をイメージすれば雷を起こせる、火をイメージすれば火を起こすことができる

 でもあの黒い渦は違います、あれは恐らく光を吸収をしているだけだと思われます」


「つまりどういうことだ?」


「簡単に言うと、失敗です。魔力をもった生き物をすべて飲み込む魔法を望むならもっと魔力のコントロールを身に着けて魔法を使って下さい」


 魔虫はカチカチと歯を鳴らしている

 王子の闇の力を受けても逃げないのは怒りで我を忘れているからだろう


「ちっ、しょうがねえな」


 そういうとアークさんは剣を構えて魔虫に向かっていった


「おい、アーク待ってください!今は危ない!

 そうニーナさんが叫ぶ」


「うるさい!俺はあいつらをぶっ殺すんだ!」


 そして、魔虫に斬りかかった

「ふん、こんな雑魚どもに俺が負けるか!」

 ザクッ!

「あ……」

 ザンッ!

「あ……」

 ズバンッ!

「あ……」

 ドスッ!!

「あ……」

「ああああああああああああ!!!!!」

 アークさんが倒れた アークさんの体からは大量の血が流れている


「アークさん!」


「アーク!!」


 私とラムサス様は急いで駆け寄る


「おい、しっかりしろ!」


「だ、大丈夫だ、かすり傷だ」


「大丈夫じゃないですよ!早く治療をしないと」


「いい、俺のことは気にするな」


「ダメです!ちゃんと治さないと!」

 私はアークさんの体を触る


「ちょ、どこさわってんだ!」


「あっ、すいません!」


 すると地面が揺れ始める

 洞窟の天井から巨大なワームが降ってきた


「きゃあ!」


「なんだこれは!」


「おいおい、こんな大物までいるのかよ」


「皆様、落ち着いてください!」

 フィーナさんの声に全員落ち着きを取り戻す


 こんな大物まで出てくるなんて……


「私が時間を稼ぎます!その間にここからみなさん脱出してください!」

 私はみんなの脱出まで時間を稼ぐことを覚悟する


「何を言っているんですか!?あなた一人残していけません!」

 ライラ様がそう叫ぶ


「私なら平気です!ライラ様は脱出をして救援を呼んできてください!」


「さぁ、早く!」


 そうこうしているうちに巨大ワームが襲いかかってくる


「皆さん!走ってください!」


「おい貴様らはさっさとそのケガ人を連れて脱出しろ!」

 ラムサス様が私の横に立つ


「ここは俺とこの馬鹿で時間を稼ぐ」


「いえラムサス様!私が戦います!」

 フィーネさんはそういうがラムサス様が制止する


「お前はこいつらを守ってやれ!」


「で、ですけど」


「わかったら行け!」


「わ、わかりました……」


 こうして私とラムサス様でこの無数のワームと巨大ワームと対峙するのだった

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