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第7話 最強と謳われる国家を攻撃する。

 このわたし、覇帝姫はていき宇宙宮うつのみや 瑠詩羽るしはの城であり宇宙船ふねでもある覇帝姫宮殿要塞はていききゅうでんようさいヴァーンニクスはニホンの首都、東京市上空に全長数キロの巨大な姿を停めて浮かんでいた。

 その真下にあったこの国の王であるソウリ官邸のあった箇所は巨大なクレーターがあるのみであり、その周囲は一面焼け野原になっている。

 眼下の街を焼き尽くし更に広がろうとしていた業火はわたしが消しておいたので、この東京がこれ以上燃えることは無い。

 この国は既にわたしの領土なのだから、これ以上の無為な損害は出すべきでは無いのである。


「姫様、この地球という星は常任理事国と呼ばれる五つの大国が支配しているようです。つまりこの五つの国を潰せばこの星は征服できるでしょう」


 わたしが子供の頃から仕えている忠臣ハクリュウが空中に浮かぶ映像モニターに映し出された地球の各国のデータを指し示しながらわたしに意見を述べる。

 昨日ちょっとした策で武骨な兜は外してやったので白髪の美青年の顔があらわになっている。

 ふふ、やはり良いですね。これにはわたしも思わずにっこりで軍議もはずむというものである。


「ハクリュウ、その中でも一番強い国はどこなのですか?」


「おそらくベイ国…と言いたいのですが実質は唐土国からどこくなのかも知れません。

稼働できる実際の戦力数とそれを行使する資本力が唐土国のほうが上回っているように思えます。

ただ表面上はベイ国がこの星で一番の大国と呼ばれておりそれは唐土国も認めています」


欺瞞情報ぎまんじょうほうで本物の強者を隠しているということですか?

わたしからすればそうする理由が一切わからないのですけれど。

強きものが弱きものをほふるのがこの大宇宙の絶対的法則。

嘘にまみれた強さなどこの大宇宙では何の役にも立ちません。

でもどちらが本当に強いかなんてことは覇帝姫であるこの瑠詩羽にとっては些細な事ですね。

だって結局どちらも戦って潰すのですから。

それなら表面上は一番の大国とやらから潰していきましょうか。

一番強いものから、一番の頭から潰していくのはわたしにとっての戦いの基本です。

ハクリュウ! 覇帝姫宮殿要塞ヴァーンニクスをベイ国へ向けなさい!」


「姫様、御意。ヴァーンニクスをベイ国の首都リンカーン上空に軸固定、空間跳躍完了しました」


「これがこの星を支配する国家の首都という訳ですね。

なるほど、最弱国とは比べ物にならない程の支配者としての驕り、傲慢ぶりを感じますね。

わたしの持つ意識感応力は、この大宇宙に生きとし生ける、文明を持つレベルの生物の大まかな思考そして意思は大体は感じることが出来ます。

『この星の全ては我々のモノだ、我々こそがこの星の法則ルールだ』という確固たる強い意志を感じます。

良いですね、その心意気。星の支配者としては合格でしょう!

それでは参りましょうか空也! ハクリュウ!」


 わたしたちはヴァーンニクスの船内からこの国の王の城であるプレジテントハウスの上空に瞬間移動した。


「さあ出て来て下さい! 少なくとも、表立ってのこの星の王!」


 わたしは右手をかざした。その手の平から破壊の波動が解き放たれて、次の瞬間プレジテントハウスとやらは先のソウリ官邸と同様に粉々に消し飛んで消滅した。

 手応えは無い、そしてまだ奥の方まで在る様だ。

 わたしは手をかざしたまま、そのまま地面を掘り進めて地下深くにまで巨大な穴を形成した。


「何か地下にもかなりの空間がありそうでしたので念入りに挨拶しましたよ。これならまんべんなく相手にも届いたと思います。さあ出てきて下さいねこの星の王!」


 しかし何の反応も無い。プレジテントハウス跡のわたしがくり抜いた穴の底からも何の気配も感じられなかった。


「ま、まさかこの星の王ともあろう者がこの程度のあいさつで吹き飛んでしまったというのですか? あ、ありえないですこの大宇宙的に!

ちょっと、どうなっているのですか空也! この星の王たちの肉体強度の基準というものは!?」


「瑠詩羽様、僕に言われても…」


 何そのちょっと呆れ顔みたいなのは空也!

 これは大宇宙的には常識なのです、この地球の感覚がおかしいのですよ!

 というかさらっとわたしに対して生意気なんじゃないですか空也!

 …これはまたお仕置きが必要ですか空也!


 わたしが空也に対して怒りの感情を沸かせていた所を、超音速の速度で多数のミサイルが飛んできてわたしに衝突した。

 立て続けに無数のミサイルが殺到して来る、そして空也とハクリュウにも殺到してわたしたちは無数の爆発に包まれた。


「今の攻撃はなかなか殺意があって良かったですね、殺る気も威力も昨日の最弱国に比べると天と地ほどの差です! 流石はこの星で一番の国家を名乗るだけのことはありますね!」


 わたしにはもちろん傷ひとつ無し。この程度の火力では髪一本燃やすことも出来る筈は無い。

 だが昨日の最弱国と比較すると雲泥うんでいの差と、わたしはこのミサイル攻撃を称賛した。

 空也への攻撃は一応わたしが障壁バリアを張っては居たのだが、この程度ならばわたしの血を飲んで強靭な身体に生まれ変わった彼なら生身でも全く問題は無いだろう。

 ハクリュウはわたしが何かする必要は一切無い、その肉体はわたしと同じぐらい強靭なのだから。

 ミサイルの攻撃がやむと今度は多数の戦闘機が現れてバルカン砲とミサイルで攻撃を仕掛けてきた。

 先ほどのミサイルよりは小ぶりなミサイルとバルカンの鋼の弾がわたしたちを撃ち付ける。

 ミサイルが次々と着弾しその連続する爆発がわたしたちを爆発の炎で包み、鋼の弾がわたしたちの身体に当たって弾け無数の金属の粒子となって地上へと落ちていく。


「姫様、これらは『ファルコン』と呼ばれる機体の様です。ふむ、この国の王を守護する部隊の様ですな」


「もう王は消えたみたいなのですけれど、随分と駆け付けるのが遅いですね、重役出勤というものでしょうか?

ふふ、この国の機動兵器も前の最弱国と似たような感じなのですね。

まあ武器の威力は多少はこちらのほうが上みたいですけれど、どんぐりのせいくらべといったところですね!」


 わたしが手を振るうと同時に数機のファルコンがまとめて吹き飛んで粉々になって消え去った。


「でもその殺意はなかなか良いですね。敬意を称してわたしもほんの少し力を出してあげましょう」


 わたしは視覚範囲内の数十機の戦闘機群を”視た”。瞳にわたしの破壊の意思を込めることによって、視たもの全てに破壊の意思が伝わり事象として具現化されるのである。

 わたしの目が輝いた瞬間、その視覚範囲にあった戦闘機、ミサイルのそのすべてが吹き飛んでバラバラになって消え去った。

 わたしは周囲を見渡した。わたしの全方位に在る全ての戦闘機を瞳に捉え破壊の意思を込める。

 この星程度の文明レベルの機動兵器では”事象防壁”など展開出来るわけも無く、ファルコンはわたしの破壊の意思になす術も無く次々と砕かれていき、幾ばくの時間もせずに全てのファルコンは全滅した。


「さあ次はどうでしょうか?」


 すぐに増援の戦闘機群が出現して攻撃をしかけてきた。

 さきほどのファルコン群よりも更に多い数。

 機体はファルコンとは別の型のものが複合していて統一されていない感じだ。


「姫様、これらは『ストライクイーグル』、『ライトニングⅡ』、『ラプター』と呼ばれる機体の様です」


「前の最弱国と同じ機体がありますね、共通仕様なのでしょうか? それともあの最弱国がこの国の属国だっただけですか!」


 わたしは両手を振るいまずは左舷右舷から飛んでくる戦闘機部隊を爆ぜ飛ばした。

 上から急降下してくる戦闘機部隊は視覚範囲に捉えて、わたしの瞳が輝いた瞬間に全てを吹き飛ばした。

 下から急上昇してくる戦闘機部隊に対しては足を振り下ろして破壊の意思を蹴り当ててバラバラに砕いてみせる。

 しかし戦闘機の何機かは、わたしが放った破壊の意思をかいくぐってわたしの至近にまで迫り接近戦を挑んできた。

 バルカンと空対空ミサイルを至近で放ちわたしを討ち取らんとする、戦闘機パイロットの戦意がその機体のキャノピー越しから伝わった。


「その戦意見事です! ならばわたし直々の声で、爆ぜなさい!」


 わたしは至近まで迫ってきた戦闘機隊に破壊の意思を込めた声を浴びせた。

 声は音と同じ速度なので音速を超えて動く機動兵器には本来ならたやすくかわされてしまうが、これだけ近くであればその心配は無い。

 わたしの声を聴いた戦闘機は破壊の事象が具現化しそのことごとくが弾け飛んで消滅した。

 一瞬の空白時間を置いて、すぐに増援の戦闘機群が出現して攻撃をしかけてきた。

 絶え間ない持続攻撃、流石はこの星の一番の大国を名乗ることはあると感心したその瞬間、全ての戦闘機群がわたしから逸れて一気に戦線を離脱する。


「姫様、弾道ミサイルという種類の兵器がこちらに来ます。『ミニットマン』という名の様です」


 次の瞬間、今まで飛来して来たミサイルよりも大型のミサイルがわたしの頭上に飛来し爆発した。

 今までにない凄まじい爆発、周囲が爆風に包まれキノコ雲が舞い上がる。


「ふふ、今の一撃はこの星で受けた攻撃では一番でしたね。でも所詮は爆発の破壊力だけでそれ以上に付加する攻撃は一切ないのですね。

これだけ大きなモノならまだ爆発の破壊力を上げられる”何か”を仕込められるとは思ったのですけれど、あえて手を抜いている様な気がしますわね。

既にこの国の王は消えました。一体何を遠慮しているというのでしょうか?」


 引き続き2発の弾道ミサイルが迫り来る。わたしは手を振るい、そのひとつを真っ二つにして吹き飛ばす。

 そしてもうひとつに向けて手をかざしその動きを完全に静止させる、そしてそのまま手を下に向けると弾道ミサイルはプレジテントハウス跡の巨大な穴に向かって飛んでいき大爆発した。


「今までのものよりは、ちょっとは速いですけど、迎撃も逸らすのも目をつむっていても問題は無いですね。さあ、どんどん来てください!」


 続いて増援の戦闘機群が出現して攻撃を繰り出して来る。だが前によりも数が減っている様に見える。

 わたしの瞳が輝いて破壊を具現化させる、その増援は全てバラバラになって消滅した。

 次に中型のミサイル群が殺到する。わたしは手を横に払ってその全てを切り裂いてバラバラにして吹き飛ばした。


「…何か攻撃の手が弱まった気がしますね。ハクリュウ、ベイ国の戦力はかなり余裕があると思うのですが」


「はい、まだまだ余裕があります」


「つまり…戦力の出し惜しみを始めたのですか?

わたしの力を見て損失を恐れているのですか?

しかし真っ先に王が消されて後がないのにも関わらずそんな考えを?

つまりこのベイ国の軍は王に仕えているわけではないということですか?

王とも独立した存在ということでしょうか?

自分たちの損失を恐れ、なるべく絞った戦力でわたしを倒し、そのあとのことを考えているということでしょうか?

ふふふ、あはは! この覇帝姫、瑠詩羽を前にして獲らぬ龍の皮算用とは…辺境惑星の輩共の分際で余りわたしを見くびらないでください!!」


 わたしは怒りのままに右足を宙に叩きつけた。巻き起こった衝撃波は地面に巨大なクレーターを穿ち、その莫大なエネルギーはまるで津波の様に広がって街をえぐって飲み込みながら円状に広がっていく。

 ベイ国の首都リンカーンは土砂とビルの津波に飲み込まれて瞬く間に瓦礫の荒野と化した。

 ああ、今のは大人げなかった。感情のままに無為に破壊をしてしまった。

 わたしはたかが160年しか生きていない、大宇宙的には小娘なのだ。

 人間が出来ていないのでこれぐらいは許してもらいたい。

 わたしはいたって短気なのである。


「ハクリュウ、こちらの自立式人型機動兵器オートアーマー、『シルフィア』を出しなさい。

昨日の最弱国の10倍ぐらいあれば足りますね。

この国の小賢しい軍人達の頭を潰して終わりにしなさい」


「姫様、御意。シルフィアを迎撃に3機、ペンダゴンに3機、各空母群に2機づつ、海中からの攻撃に対して10機、補助としてもう10機を降下させます」


 覇帝姫宮殿要塞ヴァーンニクスの下部から鋼の巨人を内包した大きな光の球体が数十排出された。

 それはあっと言う間にほうぼうに散って見えなくなった。


 わたしはマントを翻しヴァーンニクスへ帰還しようとしたその時、巨大な波動を察した。

 巨大な何かが此処に空間跳躍してくる!?

 どごおおん! という大音響と共にヴァーンニクスに巨大な影が突き刺さった!


 ヴァーンニクスには絶対防御光壁が展開されている。

 そのエネルギーフィールドは何物をも通さないが、相手が同じものを展開した場合はその限りではない。

 互いのフィールドはぶつかり合い船体にまで衝撃が伝わって軋みを上げた。

 ヴァーンニクスと同程度の大きさの宇宙船ふねが突如、絶対防御光壁を展開しながら体当たり攻撃を掛けてきたのである。


「この船影は…お兄様の『白極星王殿はっきょくせいおうでんファレンザン』ですか!?」


「ははは、瑠詩羽。辺境中の辺境であるこんな辺鄙へんぴな星に追放された妹の顔を見たくてはるばるやって来たよ。気分はどうかい?」


 ファレンザンからわたしの見知った声が響いた。

 宇宙宮皇族の長兄で第一皇子、導名雅みちながの声である。





※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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