最終話 真宇宙(まそら)の果て。
戦士たちがその生命活動を止めて虚空を漂っている
鋼の巨人たちが機能を停止して虚空を漂っている
巨大な竜たちがその強靭な生命力を尽きさせて虚空を漂っている
口だけの化け物たちが虚空を漂っている
黄金色の岩の様な身体に触手を生やした化け物たちが粉々の物言わぬ肉片となって虚空を漂っている
その他、様々な形の生き物、機械が、虚空を漂っている
そして、星々の欠片が、宇宙の欠片が、銀河の欠片が漂っていた
その無数の物言わぬ躯達が漂う真宇宙の果てを、四対四色の巨大な光の翼を生やして四色の色に彩られた装甲を纏った巨大な鋼の巨人が翔け抜けた
機械じかけの真女神
彼女の四色の光の翼から振りまかれた四色の光の粒子は混じり合い、絶えず様々な色に変化する光の鱗粉となって、この真宇宙の果てを照らした
此処にはわたしひとりだけが立っていた
動くものははわたしひとり
生きているのはわたしひとりである
わたしは無数の物言わぬ躯達に別れを告げて、真宇宙の果てを飛んだ
いったいどれだけの距離を飛んだのか
どれだけの時間を飛んだのか
そこには力尽き虚空を漂っている機械じかけの真女神の姿があった
わたしは機械じかけの真女神を停止させた”存在”を見やった
”存在”はわたしを見た
わたしと”存在”は戦いを始めた
だが機械じかけの真女神が先ず、その命を賭して”存在”と戦った分、わたしに分があった
”存在”はわたしに圧された
わたしは右手のひらから白い龍を宿した剣を生みだして”存在”に斬りつけた
右から白光の斬撃で袈裟懸けにされる”存在”
わたしは左手のひらから紅蓮の恒星を宿した剣を生みだして”存在”に斬りつけた
左から獄炎の斬撃で袈裟懸けにされる”存在”
四つに斬り断たれた”存在”のかたちが崩れていく
”存在”はその身を弾けさせて、持てる力の全てでわたしにぶつかって来た
わたしも全ての力を解き放って”存在”を迎え撃った
真宇宙全体が震えた
そしてわたしは”存在”に勝った
わたしは”存在”の力を自身にまとった
わたしは手をかざした
その手のひらから、新たなセカイが生まれた
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わたしは、宇宙宮 瑠詩羽
わたしは、自分の命が一番大切です
まずは自身の命無くては何も有りえないからです
感じることも得ることも出来ない
全ては命あってこそ、なのです
よって、自身の命を奪いに来るものはわたしにとって全て敵でしかありません
敵とは戦うしかありません
つまり、生きると事はすなわち戦いなのです
わたしは最後まで戦い抜きました
最後まで生き抜きました
他らなぬ自分の為に
よく他人の為に、全体の為に、皆の平和のためにという一見耳触りの良い言葉を聞きます
でもそれは、結局のところ、一握りの人間の幸福の為に、彼等にそう思わされているだけでは無いですか?
人は所詮、生まれ出てから死ぬまでひとりです
自分という宇宙は自分のみしか感じられず、自分が死ねばその宇宙は終わってしまうのです
人は自分自身の命を、自分という宇宙を護ることを最優先としなければならないのです
他人の宇宙の幸福の為に、自身の宇宙を犠牲にすることも、犠牲を強制されることも在っては成らないことなのです
わたしは、宇宙宮 瑠詩羽
わたしは新たなセカイをこの手から生み出しました
わたしの新たな戦いは、これから始まったばかりなのです
最終話までご拝読頂きありがとうございました。
作者より心から感謝を述べせて頂きます。
最後に後書きも書かせて頂きました、よろしければどうぞご覧くださいませ。
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