第13話 最強の兵器国家を攻撃する。
「姫様。覇帝姫宮殿要塞ヴァーンニクスをルーシー国の首都キエルフ上空に軸固定、空間跳躍完了しました」
「なるほど、此処がこの国の首都ですか、非常に強い戦意といいましょうか、戦いに飢えている意思を感じますね。
このわたし、覇帝姫、宇宙宮 瑠詩羽の持つ意識感応力は、この大宇宙に生きとし生ける、文明を持つレベルの生物の大まかな思考そして意思を感じることが出来るのですよ。
この国には、『隙あればこの星の国全てを焼き尽くし全てを我が物にしたい』。その様な非情に強い意志が満ち溢れています。
この国はこの星で最も兵器の性能が高い軍事国家と聞いています。ならば、その心意気と殺意はとても素晴らしいのではないでしょうか。
ふふっ、これはなかなか期待が出来ますね!」
わたしは空也、ハクリュウと共にこの国の王の宮殿の上空に瞬間移動した。
「ふふふ、あれがルーシー国の王の城グレムリン宮殿なのですね! なかなか良いのではないでしょうか!
いかにも王って感じで堂々としたところがわたし好みですよ! それでは早速…出てきなさいこの国の王!」
わたしは右手をかざした。次の瞬間、辺り一帯はプレジテントハウスや皇帝城周辺と同様に粉々に消し飛んで消滅した。
そして手をかざしたまま、そのまま地面を掘り進めてグレムリン宮殿全体の地下深くにまで到達する巨大な穴が形成された。
「ふふふ! これは大宇宙的にはただの挨拶でしかありません!
ですがこの程度で死ぬようなら所詮この星の王の肉体強度基準が低かっただけのことです!
さあ! これからどう出てくるのでしょうかこのルーシー国は!」
次の瞬間、凄まじい数の中型、小型のミサイル群がわたしに、空也にハクリュウに、ヴァーンニクスに向けて殺到した。
「姫様、ルーシー国は圧倒的な火力の一斉射による先制撃滅戦法、飽和攻撃を信条としている国家とデータにあります」
「先駆けからのその戦意、そして殺意! 良しですね!」
わたしはミサイルの起こす爆風の嵐に包まれながらこの国の戦いの心意気を称賛した。
ミサイル群が炸裂し無数の爆発が周囲一体を焼き尽くす。
しかしわたしも空也もハクリュウもヴァーンニクスもこの程度の火力では傷一つ付かない。
そこへ間髪入れず戦闘機の大軍が遅い掛かった。
「姫様。あれはルーシー国の主力機動兵器、『フランカー』、『ミグ』という機体です」
戦闘機群はバルカン砲と空対空ミサイルで攻撃をしかけてくる。
わたしは破壊の意思を込めた手を振るってミサイルごと戦闘機群をバラバラに引き裂いていく。
しかし戦闘機が何機か離脱し大きく距離を取ると、今まで相手にしてきた国々の戦闘機からのミサイルではありえないほどの速度である、超々音速の空対空ミサイルを発射して来た。
「ふふふ、これは今までよりちょっとは速いですね!」
超々音速度の空対空ミサイルが次々とわたしに直撃する。
その速度から殺意の高さを感じてわたしは思わず笑顔になる。
そして何機かの戦闘機が真近まで接近し至近距離での攻撃を仕掛けてきた。
バルカンが、ミサイルがわたしに突き刺さる。
「その戦意申し分なし! ならば、わたし直々の声で爆ぜなさい!」
わたしは破壊の意思を込めた言葉をぶつけて取り付いた戦闘機を粉々に打ち砕いて見せる。
凄まじい数の戦闘機が次々と襲い掛かって来る。
わたしはそれを文字通り片っ端から千切っては投げ、千切っては投げるようにバラバラに引き裂いて消していく。
高い戦意と殺意がわたしに集中し突き刺さる。
わたしはその感覚に満足して笑みを浮かべた。
破壊の意思を込めたわたしの瑠璃色の瞳が輝き、その視覚範囲の戦闘機全てが粉々に打ち砕かれて消滅する。
それでも次々と戦闘機の増援がやってきてわたしに鋼の弾の嵐と超々音速で射出されるミサイルで攻撃を続ける。
空也は舞うように空を飛び縦横無尽に両手を振るう瑠詩羽の姿を見つめていた。
瑠詩羽の周囲を音速で飛び回る戦闘機群は次々とバラバラにされてその破片も吹き飛ばされて一瞬で無と化す。
全く息も切らさず、傷も付かず、獅子のような瞳を細めて、笑いながら戦闘を続ける瑠詩羽。
少年の目から見るそれはまさに戦女神の円舞と云えた。
「…瑠詩羽様…」
か弱き少年は美しい戦女神の舞いに見惚れていた。
「ふふふ、この星で今迄相手にして来た国々とは雲泥の差ですね。
この国の戦意と殺意は素晴らしいものがありますよ! …ん!?」
あれだけ執拗にわたしに喰い寄って来た戦闘機群が全て、弾けるように急速に離脱した。
これは…と思った次の瞬間、今までにない極音速で巨大な弾道ミサイルが飛来し、わたしを、空也を、ハクリュウを、ヴァーンニクスを捉えた。
周囲が閃光に包まれてこの星でこれまでに見たこと無い超巨大爆発が周囲を包み込み、とてつもなく巨大なキノコ雲が形成された。
グレムリン宮殿の跡の巨大な穴の周りに広がっていたキエルフの都市も今の爆発で全て消し飛んで、辺り一面が全て焼け野原と化した。
「ふふ…これは今までわたしが受けてきたこの星の兵器の中では段違いの速度、そして破壊力ですね。
ベイ国が遠慮し、唐土国も使わなかった弾道ミサイルの”本当の破壊力”がこれだったということでしょうか。
一撃で眼下の街が全て吹き飛んでいます、この破壊力故にベイ国も唐土国も使用を躊躇したということですか?
そしてテクノロジーが不完全で、この様に周囲に毒をまき散らすのも使用をためらった原因ということでしょうか?
ですがこの覇帝姫、宇宙宮 瑠詩羽にとっては只の呼吸で浄化できる程度の毒ですけれどね」
わたしは大きく息を吸い込んで息を吐いた、それだけで周囲の大気が浄化されクリアになった。
「姫様、この今までに無い高威力のミサイルは核弾道ミサイルと言う種類の様です。名を『アヴァンガルド』と呼ぶみたいですな…。む、再度来ます」
ハクリュウがわたしに言葉をかけた瞬間、次発の核弾道ミサイルが極音速で飛来した。
「はあっ!」
わたしは上空へと跳び上がると弾道ミサイルにハイキックを入れた。
ミサイルは凄い勢いで回転してヴァーンニクスに向かっていき、展開していた絶対防御光壁に衝突、爆発する前に蒸発して消滅した。
「確かに今迄の弾道ミサイルよりは遙かに速いですけれど、それでもわたしからすれば迎撃には特に問題ないですね」
「そうですな姫様。続いて新たな核弾道ミサイルが来ます。これは名を『サルマート』と呼ぶそうです」
次に飛来した弾道ミサイルは遙か上空で幾つにも分裂してまるで散弾のように降下して来た。
そのひとつひとつの全てが核ミサイルの様である。
先ほどわたしに蹴り返されて蒸発処分されたのを理解したのか、こちらに届く前に次々と起爆し、すさまじい大爆発を連鎖的に引き起こす。
幾つもの超巨大なキノコ雲が上がる。そこへ更に数十の弾道ミサイルが超音速で四方八方から殺到した。
その大半は起爆する前に、わたしが破壊の意思を込めて振るった手に引き裂かれて粉々に消し飛ぶが、幾つかは起爆し核爆発を起こして周囲を凄まじい爆炎で飲み込んでいく。
更に次々と核弾道ミサイルがわたしたちの周囲全方向から極音速で飛来する。
わたしが確認した地球の戦闘データでも所詮は絵空事化と書かれていた、地球人類の最大火力攻撃『核弾道ミサイルの飽和攻撃』と云うものをルーシー国はわたし相手に実行したのである。
「ふふふ、あはははは! 後先も一切考えず全てを出し切った全力攻撃! その戦意も! その殺意も! 素晴らしいです! 素晴らしいですよ!
これですよわたしが求めていた血沸き立ち肉踊る戦いというものは!
これは褒美を出さないといけません! この覇帝姫、宇宙宮 瑠詩羽の力を少しですけど見せてあげましょう!」
わたしは右手を広げ頭上に掲げた。その手の中にエネルギーが収束し小さな光の球が生まれる。
「無限追尾雷撃光!」
わたしの手のひらから無数の雷撃光線が天空に向けて発射される。
それは大気圏上でおり曲がって地上へと降下、核弾道ミサイルを発射した”その元の全て”に光速で向かい、地に、空に、雪原に、海上に、海中に、海底に容赦なく突き刺さった。
「あはははは! さあ! 次々と撃って来てください! この覇帝姫、宇宙宮 瑠詩羽にあなたたちの戦意を! 殺意を! 全てさらけ出しなさい! あはははは! あははははは!」
だが次の攻撃はやって来なかった。核の炎に焼き尽くされ、生物の気配を完全に無くした都市で、燃え盛る業火の音のみがわたしの耳に届いていた。
「…どうしたのですか? 何故攻撃が止まったのです…?」
「瑠詩羽姉さん、もう攻撃は来ないよ、だって今の姉さんの攻撃で核弾頭ミサイルの発射元は全部死んじゃったからね、この国は予備の戦力に余裕が一切無かったんだよ」
「えっ!?」
突如わたしにかけられた声と共にわたしに衝撃が走った。
巨大で黒い蜘蛛の脚のようなものがわたしの腹を刺し貫いていた。
※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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