4話 時空
クジラ目線です。
魔法使います。
《時空魔法》を使ってみよう。
異世界と言ったら、あれでしょ。
“異空間収納“
アイテムボックスとかいう言い方もある。
どこからともなくものを取り出すあの魔法。
生き物は入れないとか、制約があるものも多かったよね?
この世界ではどうなんだろう?
ワクワクするぅ!!
というわけで、頭で思い浮かべます。
大きな空間に物を入れるイメージ...
ーーいや待てよ?
そもそもこの収納ってどこに使うん?
そりゃあ人間なら持つものもしまうものもあるだろうさ。
回復薬をしまったり、武器をしまったり、討伐した魔物をしまったり...
でもよく考えて?
私クジラよ?
海で生活する上で必要なものってなんだと思う?
私の場合は食料があれば十分なのよ。
その食料も現地で調達できるから問題なし。
あれ?本当に必要ないわ。
....いつか人化の魔法を覚えた時に使うかもしれないから、一応覚えておこう。
というわけで収納術、ゲットだぜ。
次は、空を飛ぼう。
前にクラスで流行ってたんだよ、異世界転生アニメが。
そこで空を飛ぶクジラがいたんだってさ!
私はそのアニメをみたことはないけど、転生してから思い出したんだ。
異世界産のクジラは空を飛べるって。
というわけで訓練開始。
自分と地面の間の空間を広げるイメージかな?
空間操作、とでもいえばいいかしら。
というか、《時空魔法》ってどうやら重力操作もできるみたいなんだよね。
自分の重力を反転させれば飛べそうだな。
飛ぶ、というよりは浮くの方が正しいかもしれないけど。
後で試してみよう。
完成しました!
試しに飛んでみよう!!
海面に向かって泳いでいくと海面にまた船があった。
まぁ、気にする必要はないな。
スキルの練習するだけだし、見られても問題ないと思う。
沈んでしまわないように、船と少し距離をとってと。
海面から顔を出し、周囲の安全を確認する。
さぁ!飛ぼうか!!
先に試すのは空間を広げる方。
《時空魔法》発動!!
...おかしいなぁ、自分の真下の海面だけどんどん沈んでくけど、身体は全く浮き上がらない。
私が重すぎて空間を広げると海水を押しのけちゃうみたいだ。
き、気にしてなんかいない。
クジラは大きいんだから、重くて普通なんだから。
あ!創造神様笑ってない!?
自虐でいう分にはいいけど、他人に言われると傷つくんだよ!?
と、とにかく、空間操作は飛ぶのには向かないというのがわかった。
次は重力操作だ。
自分にかかっている重力を反転させるだけでいい。
では、《時空魔法》発動!重力操作!!
クジラの巨体が海面から姿を表し、水飛沫をあげながら浮き上がった。
おおおおぉぉぉぉぉぉ.......!!!!
浮いてる、浮いてるよ!!
「ボォォォォォォ!!!」
まずい、興奮して吠えてしまった。
魔力を乗せて吠えてしまったから、鳥がバタバタと落ちてきてしまった。
魔力に当てられて気を失ったようだ。
完全に私の責任なので、背中を貸してあげることにした
すみません、目が覚めるまで私の上にいてください。
それはそうと重力を反転させた私は上昇を続け、雲と同じ高さまで上がってきた。
私は重力の向きを変えて前進を始める。
上昇、降下、旋回。動きは全て私の思うがままだ。
いや重力操作、便利やな!!?
空間操作よりも使い勝手がいい!
空中の移動はこれに尽きる!!
でも空中から海に戻るときに、この大きな身体を動かすのは目立つかな...
念のため、すぐに海に戻れるようにしようかな。
《時空魔法》っていうくらいだし、ワープとか転移とかできそうだよね。
どうすればできるのかな?
創造神様ーおしえてー。
...ふむふむ
『行きたいと願えばイケる』らしい。
それじゃあ試してみようかな。
海へ転移!
バッシャーン!!!!
大きく水飛沫を立てて海にダイブした。
安心して、背中は濡らしてないから鳥は無事よ。
何はともあれ、転移ができることがわかった。
ちなみにこの術は、一度行ったことのある場所にしか行けないらしい。
初見の場所は自力でいけってことね、了解しました!!
よし!せっかく移動手段もできたわけだし、人里に行ってみるか。
これから生きていく上で人間との関わりも必要になるだろうし。
さぁ!!待ってろよお、第一村人ぉ!!
♢♢♢
飛び始めてから数時間、街が見えてきました。
背中の鳥は目を覚ました途端に飛び去っていきました。
そんなに怖がって逃げなくてもいいじゃん、ぐすん。
ワタシカナシイ。
人間はそんなに怖がらないことを祈る。
それにしても立派な城壁があるじゃないですか!!ワクワクするねぇ!!
にしてもなんか街小さくない?
私がクジラだから小さく感じるのかな?そうかもしれない。
結構な上空にいるから、人間が小さすぎてシルエットが見えない。
お城みたいな建物も太陽の光でキラキラと輝いている。
光が反射しているわけじゃないからね。眩しくはない。
あれ?街全体が暗くなったな?
あ、私が上空にいるから太陽の光を遮ってるのか。
それは申し訳ないな。
それじゃあ挨拶だけして出直そうかな。
このままじゃあ皆さんに迷惑だもんね。
「ボオオオォォォォォォォ!!!!(こんにちはーーーーー!!!!)」
それじゃあまた後で!!
次回もクジラ目線です!