…はい。
早朝、ある一軒家の一室で1人の少年が真剣な表情でコントローラーを握りしめ、パソコンの画面を睨み付けていた、少年の名は氷李。
17才の高校生、趣味はゲームで氷李は今、ネットゲームを夢中でプレイ中だ、現在其のゲームはイベントの最中で、どれだけ早くモンスターを狩れるかを他のプレイヤーと競っている。
「ふぃぃ、タイムは…、よし!」
討伐後の時間を確認し、思わず右手を握りしめる氷李。
其の時。
カラカラ。
窓の外で窓の開く音が聞こえ。
「ちょっと氷李!」
名前を呼ばれたので窓を開ける。
「おはよう冬音。」
窓の向こう、隣の家の窓から1人の少女が氷李を睨んでいる。
「おはようじゃないわよっ!イベント最終日だからって登校前までプレイするなんて!」
朝早くから氷李に叫んで来た、彼女の名は冬音。
氷李の幼馴染みで学年トップクラスの成績でしかも美少女ときている。
そんな冬音も氷李と同じゲームをしており、氷李と競い合っていた。
睨まれているが、仲が悪い訳ではなく、寧ろ良い方だ。
女の子は準備が長いからな、朝早くからゲーム等出来まい。
そんな卑怯とも言える手で今回のイベントは氷李が勝利を収めた。
「次は負けないからねっ!」
そう言い残して窓を閉めたのだった。
下校中。
「今日から新システム導入か、どんなのだろうね?一寸楽しみ。」
と和やかに笑う冬音。
帰宅後、早速ゲームを始める。
「何々?…へぇ?結婚システムか。」
結婚したら恩恵が…此は!?
氷李は窓を開け。
「冬音!」
「どうしたの?」
窓は開いていた。
「結婚しようぜ!!」
結婚すれば良い恩恵が付く。
「…ふぇ?」
突然の出来事に冬音は顔を真っ赤にし。
「な…な…、だって…でも…心の準備が。」
あれ?何か俺、変な事言ったか?
あたふたした冬音の姿に、氷李は今まで感じた事の無い感情が沸き上がる。
「ひょ、氷李の事は好きだよ?…うん、好き…だけど、いきなり結婚とか…、そう云うのはちゃんと順序が…。」
あ…あれ?何か、冬音が物凄く可愛く見える。
俺は過ぎった感情を押し殺して。
「ゲ、ゲームの話だぞ?」
「…へっ!?ゲ、ゲーム!?あ、ああ、そっか、そうだよね!?…そっか。」
冬音は少し寂しそうに。
「うん、いいよ。」
と言って窓を閉めようとした。
そんな冬音を見た氷李は、胸が高鳴るのを感じ。
「冬音!付き合ってくれ!」
衝動的に告白していた。
再び顔を真っ赤にした冬音は、状況を読み取ったのか、瞳に薄らと涙を浮かべて微笑み…。
「…はい。」
…と、まあ、始まった時が終わりなんですけどねw