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俺の目標

 2099年。野上 幸太郎が亡くなって14年後。


「おーい、こっち来てくれ」

「はーい」

 

 俺は近くにいた少女を呼ぶ。すると少女は俺がいる所に歩み寄る。

 

 俺の名前は野上 慎太郎。18歳の男で医者兼科学者という異色な職業に就いている。

 

 俺は14年前に亡くなった野上 幸太郎の実弟で、兄貴の後を次ぐ様な形で医者と科学者を目指すようになった俺は、努力の結果

晴れて今年に医者と科学者になれた。


 俺の家族は何故か医者と科学者の両方を掛け持るから、俺も自然とその道を辿って行ったのかもしれない。でも、両親は俺に医者と科学者になれだの強要してなく、俺が自主的に目指していたから医者と科学者になれてよかったなと心からそう思っている。


 だけど肝心の仕事はあまり上手くいっておらず、生活も苦しい訳で俺は今ある1人の少女と一緒に建設関係のバイトをしている最中だ。


「これ重たいから気を付けて持てよ」

「大丈夫です」


 俺は少女に忠告すると、少女は気を付けながら重たい物を持つ。

 けれど、少女は顔を崩す事なく、重たい物を持ち続ける。


 少女はいったい何を持っているのだろうか?


 力仕事なら少女ではなく、俺がやった方が仕事が捗るし、重たい物を持つなら絶対男がやった方が適任に決まっている。なんて人任せな人なんだって思うかもしれんが、少女はなんとも思っていない素振りで重たい物を持ち続けている。


 そんなに重たそうな物を平気で持っていられるなんて、よほど腕力がある女かと思いきや、どうやらそうでもない。寧ろ見た目はどこにでもいる普通の女の子にしか見えない。


 だったら、あの少女はどんな子で何を持っているのかというと、それは俺の発言で明らかになる。


「リコちゃん、その鉄鋼をビルの中へ置いといて」

「はい、わかりました」  

 

 リコと呼ばれる少女は俺の指示に従い、持っていた鉄鋼をまだ建設途中であろうビルの中へ置いた。

 そう、リコという少女は今まで鉄鋼を軽々と持っていたのだ。

 では何故持てたのかと言うと、実はリコはトールヒューマンズだったからだ。


 リコは女だけど、トールヒューマンズは大きくて力持ちだから大きな鉄鋼持っても問題ナッシング。


 彼女はリコ。14歳で160mの黒い短髪で純和風のトールヒューマンズの少女だ。リコは14年前に兄に拾われた元捨て子であり、兄に面倒を見てもらっていたのだか、リコは兄に一生病気にならないであろう薬を投与されたが、失敗して異常な大きさになり、兄はリコに潰されて死んでしまった話を両親から聞かされた。


 不思議な事に人を殺めたのに警察のお世話になることなく、両親の手で育てられて、今年になってリコのお世話する役目を託されたのだ。

 

 トールヒューマンズは人類の1種として分類され、色々と制限はさせているものの、普通の人間みたいに生活したり働いたり出来る。


 リコはとても好奇心旺盛でチャレンジ精神があって頑張り屋な性格だから何でも積極的にやるから、すごいなと思う。


「よし、OKだ。ありがとなリコ。リコがいたら百人力だよ」

「ありがとうございます」

 

 俺に褒められたリコはお礼を言いながら微笑んだ。


「あっリコ。続けざまで悪いけど、どんどん鉄鋼持って来れんか」

「はい、わかりました」


 ちょっと人使いが荒いかも知れないが、リコは一切気にすることなく、指示に従い仕事を続行したのであった。


 時が経って夕方になり、 


「今日もありがとなリコちゃん。これ少ないけど受け取りな」

「ありがとうございます」


 バイト先の中年の男はリコにお礼を言い、お金が入っている封筒をリコに渡す。一方でリコは普通の人間が扱うぐらいの大きさの封筒を少々受け取りづらそうだったものの、ちゃんと礼儀正しく両手で受け取った。


「お疲れ様でした」

「はいよ。また今度も元気で来てくれよ」


 リコは挨拶をし、その場を後にした。


「今日もよく頑張ったなリコ。リコは本当に頑張り屋さんだな」

「いえ、私はただ当たり前の事をしているだけですので」

「それでも大したもんだぞ。もっと自分を誇ってもいいんだぞ」

「えへへっ」


 褒められたリコはちょっと照れ臭そうに微笑む。


「今日は疲れたな。ゆっくり休もう」

「そうですね」 


 リコはかがんで肩に乗っている俺を、自身の手に乗っけてゆっくりと俺を地面に降ろした。


「じゃあな、リコ。また明日な」

「はい、明日も頑張りましょう」

 

 2人は別れの挨拶をし、その場を後にした。


「ふぅ、今日も疲れたな」


 リコと別れた場所が俺の家の近くだったので、歩いて数分でいえに着き、家のドアを開け、すぐにリビングに行ってソファーで横になって、ソファーの近くにある机の上に置いてあったテレビのリモコンを持って、テレビの電源をつける俺。


 現在は親元を離れ、独り暮らしをしているのだが、家はボロくて生活費も然程なくて、毎日を生きるだけでも精一杯な日々を送っている。


 だが、俺は全然苦だとは思っていない。なんせ毎日リコと協力してバイトを頑張っているから、2人ならなんだって出来る。


 そう思いながらニュースをながら見していたら、とんでもない物を目にする事になった。


 それは、


「え? 嘘だろ!?」


 なんとニュースでトールヒューマンズが街中でしかも俺の地元で何ならかの病気にかかって突然倒れて死亡し、その死亡したトールヒューマンズは14歳の少年だったと報道された。

 

 まだ子どもなのに、早くに死ぬなんてあんまりじゃないかと思った俺。


 そう、トールヒューマンズが街中で死亡するのは日常茶飯事であり、原因は謎だが、トールヒューマンズは普通の人間と比べ、病気になりやすく、怪我も負いやすく、しかもトールヒューマンズは病気に搬送や治療する事も不可能なため、病気になったり怪我を負ったら最後、高い確率で帰らぬ人となってしまう。


 それだけじゃなく、トールヒューマンズのほとんどが15歳未満で亡くなってしまうらしく、15歳以上生きたトールヒューマンズはわずか3人しかいないという。


 このままテレビを見続けても虚しい気持ちになるだけだと思った俺は、すぐさまテレビの電源を消す。


 そこで俺はすぐある事を決意する。


「リコ、俺は絶対お前を普通の人間の女の子にしてやるからな。それまで待ってろよ」


 俺のリコを普通の人間の女の子にするという壮大な目論見が今始まろうとしていた。


 果たして、目標を無事達成摩ることは出来るのだろうか?

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