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ドラゴン殺し  作者: 川崎怜央
1/1

冒頭

強い雨が降っている。

風も強い。


遠くの空で雷が光る。

数秒遅れて轟音が響く。


ぬかるんだ泥の道をしっかりと踏みしめて歩く。


いよいよこの時が来た。


俺は今日、竜と戦う。



黒い巨体が遠目にも見える。

目は赤黒く、鈍い輝きを放っていた。


その竜は、まだ動かない。

こちらに気づいていないのだろうか?

いや、そんなはずはない。神聖なる怪物-文字通りこの世界に生きるいくつかの民族は、それを神と崇めるのだ-であるところの竜が敵意に気づかぬはずがない。


待ち構えているのだ。俺を。

俺は今日、この化け物を殺さなければならない。

何としてもだ。

俺は、そのために生きてきたのだから。

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