1章⑤
更新遅れて大変申し訳ないです汗
リアルが忙しく、また背景設定が行き詰まる行き詰る、、、
「Ecclesia」
それが私たちの働く組織の通称。
本当は「対仮想空間及び仮想現実における凶悪犯罪取締課」という物々しい名前がついているが、さるちゃらんぽらん上司が「ダサいから名前変えよう。」と即決し、この名前になったとセレーネ先輩が前話していた。
ちなみに理由はカッコいいからだそうだ。
創立はごく最近のことで、EVORES社が案内人と【Elysion】の販売を始めてわずか半年で設立された政府直轄の仮想空間犯罪対策組織。
しかし「犯罪対策」と銘打って入るものの、その仕事の実情は現在大きな社会問題にもなっている新夢遊病患者の処理が主である。
新夢遊病患者。
妄想の世界に囚われた愚かな人々。
現実から逃げ続けてきたゴミどもの成れの果て。
そもそもなんで公安である私がこんなところに異動になったのか意味が分からない。噂によるとあのおちゃらけ上司が私を指名したとかなんとか。
またごみどもと関わる、しかも今回はそいつらを更生しなきゃいけないなんて・・・
職場は警視庁の地下に存在し、過去には物置にされていた第15会議室が改装されたもので、とてもじゃないが政府直轄の対犯罪組織とはいいがたい。
地下駐車場に車を止め、エレベーターを使いさらに地下5階まで降りると、頻繁に取り換えていないのか蛍光灯がちかちかと点滅し、薄暗い通路を進むとそこに職場がある。
「いつも思うんですけどなんでこんなところに職場があるんですかねぇ。」
「大人の事情ってやつだよ、お・と・な・の♡」
こういうときだけ脱幼児化かよ
聞こえないように心の中で悪態をつきながらドアノブに手をかけ扉を開ける。
「たっだいま戻りました~」
扉が開くと同時にセレーネ先輩が中へ躍り出た。
そして影のようにすっと奥の方に消えていく零間。
「あら、おかえりなさい。」
「おう、戻ったかクソガキども。」
「んー、相変わらずセレーネさんは天真爛漫だねー。」
彼女に続けて中に入ると、ただでさえ過疎化の進んだ限界集落であるEcclesiaの面々だが、その数少ない職員の面々も多くは出払っているようだった。
「ただいま戻りました。」
「卯月ちゃん、お疲れ様。初めての出勤だったけど大丈夫だった?」
「えぇ、出勤といっても先輩方を車で送り迎えするだけでしたから。」
「でも大変だったでしょう?二人を相手にするのは。特にセレーネさんは。」
まぁ、確かに。と苦笑いしながら返事をする。
彼女、板垣百恵さんはEcclesiaと他の部署との連携や活動内容の記録、数多くの事務関係をこなしてくれている頼れるお姉さんだ。
生まれつきだという栗色のロングストレートからはシトラスの匂いが漂い、フレームが水色のスタイリッシュな眼鏡はデキる女という印象をこちらに持たさせる(実際デキる女だけど)。
目は奥二重でセレーネ先輩みたく大きいとは言えないが、顔立ちは左右の均衡がとれており、控えめに開かれた目は逆に彼女の魅力を引き立てている。
ぶっちゃけ、どえろい。
スタイルはいいし、動作や会話の一つ一つがすごく丁寧だし、こんな人が町中を歩いていたら男たちの視線を独占することは間違いない。
私が先週この部署に転属になった時にもいろいろとよくしてくれたのもこの人だ。
気遣いもできて美人、おまけに仕事もできるとくれば引く手あまただが、驚くべきことに男性と付き合ったことはないらしい。さらにいえばうちの部署の男性陣はここ一週間見た感じだと彼女に全く性的な興味を示していないようだ。
こいつら、ちゃんとつくもんついてんのかと疑ってしまうが、今現在ではその理由もうなずける。
「ん?なになに、私がどうしたの?」
どこから聞きつけたのかセレーネ先輩が話に割ってくる。
「セレーネさんはいつ見ても可愛いですよねっていう話です。」
板垣さんが返す。
「ふふーん、まぁねー。別にそういうことは隠れてこそこそ話さなくったっていいんですよー?」
流石、付き合いも長いだけあって先輩の扱い方も手馴れている。
「それはそうと板垣さん。」
「ん?どうしたの?卯月ちゃん。」
「部長の姿が見当たらないのですが・・・」
「ああ、あの人なら毎度のごとく(見回り)に行ってますよ。」
やっぱりアキバか。
まぁどうせそんなことだろうと思っていたが、ここまで予想通りだともはや悲しくなってくる。
今日は私の正式な配属先を任命するとかなんとか自分がいってたくせに・・・
「はぁ、そうですか。」
「ならちょうどいいじゃん♪」
と、先輩が手招きする。
「アイツ待つ間に一杯飲みながらお話ししようよ。」