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仮題 死神は愚者が見る完全世界の夢を静かに刈り取る  作者: 浦井朝時
序章「失楽園」
4/11

序章④

いつもなら恥じらいを含んだ微笑を湛えるその美しい顔は、

頭部から流れる赤い液体でひどく汚され、

夜の営みでいつもなら愛する僕を映し出すその瞳は、

今や電気の消えた診察室に広がる空虚な闇を映す。

検査の時に使っている折り畳みベットに腕をぶらりと垂らして座り込んだ彼女の姿は、

もはや生者のものではないことはだれが見ても明白であったが、

僕はその光景を現実のものと受けいれることができなかった。

きっと近づいて顔をよく覗き込めば、「サプライズ~~!」と彼女の口が動き出し、全部僕を驚かすためのお芝居だったというオチなんだろう。


さっきの青年も彼女が雇った役者かなにかなんだ。

今日はきっと僕が忘れている記念日か何かなんだ。


確かめようと近づくとある異変に気付く。先程は暗くてよく見えなかったが、腹部の出血が特にひどい。まるで怨みでもあるかのように執拗に、念入りにえぐられた跡、、、


ふと頭をかすめる最悪の発想(アイデア)

まさに悪魔の所業とも思われるその行為


周りを見ると、ベット横にある検査のために脱いだ衣服を入れるための藁編みのかごがひどく汚れているのに気付いた。


「見ないのか」


びくっとして入口の方を振り向くと、いつの間に追いついたのか先程の青年がそこに立っていた。


「」


もはや息すらも許さぬと肺が告げるように、恐怖で声が全くでない。

 

「気に入ると思ったんだが」


そして先ほど僕が気付いたそれに視線を投げる。

それにつられるように僕もゆっくり眼球を動かす、、、


「おぐぇ」


今までこらえてきた胃の内容物が、堰を切ったように口から流れ出る。

先程までは予感や仮定の中でしか存在しえなかった惨劇が、残酷な事実の事象となって肺に、脳に、心に襲い掛かってくる。


嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ


「やはり、ゆりかごに入った赤子というのは絵になるな」


でたらめだ、この男の言うことは全部でっち上げだ

こんなことあってはならない


「もっとも、ゆりかごがそのまま墓になるとは、


全部夢だ、悪夢だ

僕が思い描く世界はこんな血の匂いがする地獄じゃない



こんなのは僕の世界じゃない



気付いたら僕はベットに横になっていた。

長いこと眠っていたのだろうか体がうまく動かせない。

目の感覚も曖昧で周りの状況もうまく見ることができない。

ただ、なんとなくここが病室であり、周りに人らしき姿もあるということが分かった。


助かった。


あの悪夢から僕は目覚めたんだ。

頭が包帯らしきの圧迫感で覆われ、体に点滴などが打たれていることから、おそらく交通事故にでも遭い、気を失っている間に先程の悪い夢にうなされていたんだろう。

目覚めたということは容体も安定したということに違いない。

心の中で思わず安堵していた矢先、自分が覚醒したことに気づいたのであろうか一人の女性が近づいてくる。ああ、彼女に違いないと僕は直感で感じていた。おそらくとても長いこと眠っていたはずだ、多くの心配をかけただろうと僕は近づく女性の顔を申し訳なさそうに見上げた。

しかし、そこには僕が期待していた美女の微笑みはなく、代わりにあったのはまるで掃きだめのごみを見るかのような自らの母親の顔だった。しかも、少し若い、まるで自分が高校生の頃のような、、、


ふと何かの気配を感じ、右横のベットを見る。そこには機械的な黒いヘッドギアを脱ごうとする青年がいた。白いワイシャツを着ていたが僕には一瞬で分かった。

彼が悪夢に出てきた狂った殺人鬼だということに。


僕の悪夢はまだ終わってなどいなかったんだ。そう思った僕の意識は、左から打ち付けられた強い衝撃とともにまた暗闇へと消えていった。


書き方がへたくそですいません。

次章はストーリーの世界観やバックグラウンドの説明が多くなり、これまで以上に読みにくくなるかもしれないのですが、ご容赦ください。

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