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ここは桃源郷!?

「君、本当に究極魔法が使えるの⁉︎」

そう俺に話しかけてきたのは、金髪の男の子だった。

寝癖がすごくて髪がボサボサなせいか、少し幼い印象だ。

そんなことを考えながらその子を観察していると、後ろから声が響いた。

「ねぇ観月、こんな見るからに弱々しい奴に究極魔法なんて使えるわけないじゃない。それに、究極魔法が使えるなら、今更学校に転入なんてしないわよ」

あ〜クラスに一人くらいいるよな、こういう奴。

どうせ学級委員長みたいな感じでツンデレで……俺は嫌いじゃないけど……

っ!!

俺が振り返った先には、俺の妄想とは全然違った姿の女の子がいた。

この世のものとは思えないほど美しく光る銀髪。薄緑色に輝く目。

そして、なにより目を引くのはゲームやアニメの世界でしか見たことのないエルフ耳。

美しすぎる……

「そんなことないかもよ。学校見学……みたいな?」

「なんで学校見学するのよ、究極魔法が使える人なんて一握りしかいないのよ。しかも、究極魔法を使えるようになるのは25歳以上なんだから、私たちと同い年くらいのこの子が使うなんてありえないわよ」

「そりゃあ普通に考えたらそうだけどさ、例外みたいな感じかもしれないじゃん。というかそっちの方が夢があるし」

「夢ってあんたねぇ……まあそんなに言うならもうこれ以上は言及しないわ」

いや〜金髪の可愛い少年と銀髪美少女エルフが会話してるって、すごい光景だわ。

「まあとにかくこれからよろしくね、転校生君。……ってあれ?聞こえてるかい?なんかすごい嬉しそうだけど……」

金髪少年の綺麗な顔が目の前に……!正直、下手な女の子なんかより全然綺麗だ。

このままだと、もういけないものに目覚めてしまいそうだ。

「ねぇ君、名前なんていうの?」

「高松海斗だよ」

「海斗か。僕は秋雨観月。観月って呼んでほしいな。これからよろしくね!」

「うん。よろしく」

「ちなみに、そこにいるさっき海斗に突っかかってた銀髪の子はミトって言うんだ。ミトはあんまり素直じゃないから、最初は少し苦労するかもだけど、仲良くしてあげてね」

「なっ、何言ってるのよ観月!別に私は突っかかってたわけじゃないわよ!しかも勝手に私の自己紹介すませないでよ!」

「ごめん海斗、ミトはあんまり素直じゃないって言ったけど、全然素直じゃないに訂正する。」

「うるさいわね!言っとくけどね転校生、私は素直ないい子だから!」

「う、うん」


キーンコーンカーンコーン


鐘が鳴り、教室にいる生徒たちが一斉に席に着く。

あれ?俺ってどこに座ればいいの?

空いてる席は……おっ、一番後ろに空いてる机あるじゃん。

しかもラッキーなことに、隣は銀髪美少女エルフのミトだ。

俺が席についてからまもなくして、先生らしき男の人が入ってくる。

そして、何事もなく朝礼が終わり授業が始まった。

そう、何事もなく。


いや、なんで?

俺一応転校生なんだけど。

一切それについて触れられないってなんなの?


「はい、じゃあ昨日言ったようにテストします」


は……?

俺が転入して来た日にテストって……?


「あの、ミト?なんでテストなんてあるの?」

「は?あんた何言ってるの?実力を試すためでしょ」

「いや、そういうことじゃなくてさ、普通転校生が来たその日にテストなんてする?」

「あんた一人が転校してきただけでテストっていうイベントが無くなるわけないでしょ。どんだけ自惚れてんのよ」

「な、なんかごめん」


テストか。元々成績いい方じゃないのに、さらにここ最近は引きこもってた俺にできるのか?

まあとりあえず筆箱を……

あれ……?カバンの中身、すっからかんなんだけど……

やべぇ、ずっと学校行ってなかったせいで筆箱をカバンに入れてくるっていう習慣が無くなってた。これはマズイ。誰かにペン借りないと。

「ミト、ホントに申し訳ないんだけどペン一本貸してくれない?」

「まさか、筆箱忘れたの?」

その問いに否定できる箇所もないので頷く。

「初日から筆箱忘れるって、凄いわね。しょうがないから貸してあげる」

「ありがと。いつかお返しするよ」

「べ、別にあんたのために貸してあげてるんじゃないわよ。ただ、テスト中に横で暇になったあんたが寝だして、集中出来なくなったら嫌なだけなんだから」

おっと、ツンデレ頂きました。


ジリジリジリ

「はい、じゃあテスト始めてください」

テスト開始のベルが鳴った。



解けぬ……

錬成式とか知らねえよ。なんなんだよ。

というか、ミトに借りた筆記用具使ったのが暇つぶしでペン回ししてた時くらいなんだが。

もはや借りた意味無かったな……

まあとりあえずテスト終わって休み時間になったし、トイレでも行ってこようかな。

そう思って俺が席を立った時だった。


「海斗〜、遊びに来たよ〜!」

そう言いながら葵が抱きついてくる。

「ちょ、ちょっと葵、何してんの!」

「何って、言ったじゃん、遊びに来たの」

とてつもなく周囲の視線が痛い。

「葵、とりあえず帰ってくれない?周りの人たちに勘違いされそうだし」

「え〜、別に勘違いされてもいいんじゃない?」

そんなことを言ってウインクをする葵。

正直ドキッとしたけど、今はそんなことはどうでもいい。

「はい、いいから帰った帰った!」

そう言いながら葵をドアの外へ押し出す。

ふぅ、どうにか追い返せた。

さて、トイレにっと……

「さっきの人、誰?」

ミトが怖い目つきで俺のことを睨む。

教室を見回すと、みんなが俺に注目している。

「やっぱ、説明しなきゃダメ、だよね……」

俺は葵に関することを話し始めた。


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