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突然の幸運


「……ごちそうさまでした」

「食べた食器は台所持ってきてね〜」

「はーい」


俺は母さんの皿も持って、台所へ向かう。

葵さんともちょっと喋ってみたいな。なんか一緒にいて楽しそうな人だし。

あれ?てかよく考えたら俺すげー進歩してね?昨日までコミュ障かましてた引きこもりだったのに、初対面の女の子と喋ってみたいとか……自分で言うのもあれだけど……


「ねぇ母さん、学校行くとか言ってたけどいつになるか決まった?」

「あぁ、そうだった。帰ってきたら言おうと思ってたのに。海斗ちゃんは明日から学校行くわよ」「は……?明日って……本当に?」

「なんか問題あった?」

「いや別にそう言うわけじゃないんだけど……早いな〜と思って。」

「海斗ちゃんが早く学校行きたがってたからできるだけ早く行かせてあげようと思ってね」


いや俺早く行きたいとは言ってないけど!いや……まあ確かに似たようなことは言ったけど!

それにしたって明日ってなんだよ。いくらなんでも早すぎるだろ……


「海斗〜もしかして不安なの〜?」


えっ、葵さん?ちょ、そんな唐突にタメかよ。コミュ力たっけーな。

こんな風になりたい……


「あれ?私なんか変なこと聞いちゃった?なんか、ごめんね」

「い、いやソンナコトナイヨ」


こ、こんな感じか?初対面の、しかも女の子とタメ語で喋るってすげー緊張する。


「ちなみに、私も同じ学校行くことになってるから」

「「へ?」」


俺とシェザルの声が重なる。


「海斗のお母さんにお願いして一緒の学校にしてもらったんだ〜」

「葵さん?僕たちは海斗のサポートのためにこの家にいるんだよ。君が一緒に学校に行ってどうするの?」

「いや、海斗の学園生活が円滑に進むようにサポートするよ!ちゃんとね」

「不安要素しかないんですが、言ってることにはなぜか説得力がありますね……」


そんなシェザルの言葉を聞いて、なぜか勝ち誇った様子の葵さんがこっちの方を向き、


「じゃあ改めて、明日から学校でもよろしくお願いしますね、海斗」


そう言って微笑んだ。

か、可愛い……こんな可愛い女の子と同じ学校に行けるなんて……

本当にこの世界に来れてよかった!母さんありがとう!


「でも私、海斗より一年年上だから同じクラスにはなれないんだよね」


え……?


「あ、そ、そうなんですか……年上……敬語の勉強しなきゃ……」

「い、いやいやそんな気にしないでよ〜私そんな先輩風吹かせたいわけじゃないから。だから私のことを葵って呼んでね。さんとか先輩とかつけるの禁止だから」


葵さんはそう言うけど、気にしないなんて俺には無理だ。

童顔だし身長も低めだったから、ワンチャン後輩くらいの年齢かな〜とか思ってたのに……

まさか先輩だったなんて……

いやまあ年上の女の子が苦手なわけじゃないんだけどさ……

大人な女の子が余裕で上品な雰囲気漂わせながら一緒にデートするとか、すごい好きな展開ではあるよ、あるけどさ……

葵さん、言っちゃ悪いけど大人な感じなんて微塵も感じないしなぁ


「なんかさっきから顔と胸ジロジロ見てるけど、なんか失礼なこと考えてない?」

「そそ、そんなことないですよ、葵さんが気にしすぎなだけじゃないですか?」

「私には海斗が焦ってるようにしか見えないんだけど……それと、さっきも言ったけど敬語禁止ね!」

「わかりました……」


じーーー

葵さんが俺の顔を見つめてくる。

マジでそれはやばいって……

可愛すぎて顔がニヤニヤしそうになるのを必死に堪えながら


「わかった」


と答えると、葵さんが


「よろしい!」


と言って笑った。


「あの……イチャイチャしているところ邪魔しちゃって申し訳ないんだけどさ、一つ言わせてもらってもいい?」


あ、すっかり忘れてたけどシェザルもいたんだった。なんか若干怒ってるように見えるのは気のせいだろうか?


「葵さん、いい加減服着たら?」


シェザルはそんな至極真っ当なことを言ったのだった。



数分後


「僕は服を着ろって言ったはずなんだけど……」


俺たち二人の前には、下着の上にワイシャツを羽織っただけの姿の葵さんがいた。


「いや、服着て来ましたよ」

「どこが⁉︎いやまあ確かに服は着てるけども!せめてズボンかスカート履いてくれよ……しかもワイシャツだって、羽織ってるだけじゃなくてボタンくらい止めようよ……」

「そんなことしたら窮屈でやってらんないよ。これでも結構努力してる方なんだから。というか、なんでそんなに私の格好にケチつけるの?まさか私のこと好きなの?」

「そ、そんなわけないでしょ。大体、僕と君は年が離れてるじゃないか。」

「ふふっ、案外シェザルさんロリコンだったりして。」

「それ以上言うなら、魔法で決着つけようか?」

「あ、いえ、私はちょっとお風呂に入ってくるので。で、では〜」


逃げるようにして風呂場へ葵さんが向かったところで、もう時間も遅いし寝ることにした。

二階の自分の部屋でベットに入って今日起きたことを思い返してみる。

考えてみれば、今日は人生の中で一番インパクトのある日だったかもな……

朝起きたら今まで住んでた家とは違うところにいて、商店街には魔導具の専門店があって、家に帰ったら半裸の女の子がいて……もう疲れたな……


そんなことを考えていたら、この世界で初めての眠りに落ちた。























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