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7-叛逆の物語は普通にハッピーエンドだと思うんだけど(前)

「ということで、プリティサミーから始まる魔法少女パロディの系譜に乗っかったはいいが、そのままだと本当にただの焼き直しになってしまうと危惧した制作者がガチ戦闘+友情という要素をぶち込んでできたのが、かの名作リリカルなのはだということなのにゃん」

「聞いてねえよ」

「時は魔法少女戦国時代にゃん! 必殺技が関節技とか実は中身は男とかむしろ外見まで男とか、その程度の色物ではあっさり流されてしまうにゃん。その点まどマギってすごいにゃん、最後まで鬱たっぷりだもん」

「だから聞いてねえよ。ていうか、なんで魔法少女ものの話になってるんだ?」

「だから新しい時代を作るにはいまどんな魔法少女ものが必要かという話にゃん。話聞いてなかったにゃん?」

「聞いてねえよ。ってこれ言うの何度目だ」


 まあ、べつに魔法少女ものが嫌いなわけではないんだが。

 ともあれ、とりあえず目の前の御前崎を無碍にするのもなんなので、俺は話に付き合うわけだが。


「最近むしろ王道が少なくねえか? 色物ばっかりでさ」

「なにを言ってるにゃん。確かに古典魔法少女は少なくなったけど、wikipediaで魔法少女に分類されていて、かつ王道を行く偉大なシリーズ物アニメがあるにゃん」

「なにそれ?」

「プリキュアだにゃん」

「あー。まあ、わからんでもないなあ」


 というか、その方面だとセーラームーンが神のような気がしないでもない。

 ついでに言うとこれも、冒頭のなのはと同じくバトル方面である。


「逆に気になるのがここだな。いつから魔法少女はバトルバトルしだしたんだろう?」

「うーん……それは難しいにゃん。確実にセーラームーンは影響していると思うけど……それとは別路線として、もしかするとカードキャプターさくらが現代に与えた影響が大きいのかもしれないにゃん」

「ほう」

「実際、あれの影響受けた魔法少女モノってめちゃくちゃ多い気がしないかにゃん? なのはだって立派なフォロワーだにゃん」

「まあ、エロゲ版のなのはについては、完全にあっちのパロディだったしな」

「クロノきゅん……すっかりサブキャラに成り果てたにゃん……」

「仕方ないだろそりゃ」

「ところでなのはさんはいつ接近戦でレイジングハートとバルディッシュで御神流を使うようになるにゃん?」

「あの世界観で接近戦技術ってあんま強くないんじゃね?」

「いやあ、でも神速は普通に使えると思うにゃん」


 どういう会話だ。

 ていうか、なんで女子中学生が二十年前のエロゲの話題についてこれるのか。


「それはともかく、ならば日常モノだにゃん! 原点回帰だにゃん!」

「原点回帰っておまえ……そりゃ魔法使いサリーの頃に返れば日常モノでもぜんぜん行けるんだろうけど。古くさすぎていまじゃ受けないんじゃないか?」

「じゃあラブ要素入れるにゃん。魔法少女×日常×ラブ=破壊力だにゃん!」

「うーん……まあ、言いたいことはわかるが、それやろうとするとどうしても越えられない壁にぶつかることになる気がするんだけど」

「なんだにゃん?」

「魔女の宅急便」

「デモンズウォールだにゃん!?」


 御前崎が絶叫した。

 実際、あれはあんまり魔法少女カテゴリで語られる作品じゃない気がするが、知名度と完成度は共に絶望的なほど高い。

 ふと、そこで思う。


「あ、でもアニメというメディアに限らなければ、わざわざ張り合わなくても行けるのか。最近は日常系四コマとかも流行ってるし、そっちの文脈ならいくらでも」

「でもそれもうある気がするにゃー……そしてわたしとしては、その方向でくすりのマジョラムに勝てる気がしないにゃん」

「なにそれ?」

「今度持ってくるにゃん。神作品だにゃん」

「あ、そう」


 まあ、いまは置いとくとして。


「ならもう開き直って、魔法少女脇役にしちゃえばいいのかにゃん? 主たる物語はべつにあって、そこにちょっと脇キャラで魔法少女が。そしてスピンオフで主役!」

「ぱにぽに」

「うーがー……」


 即撃墜である。そんな甘い話はない。

 うーむ……しかしこれ、想像以上にやり尽くされてる感があるな。


「銃を使う魔法少女とかどうかな。まどマギでいたけどあれは一人だけだし、複数が使えば一定の新しさは……」

「ストライクウィッチーズがあるにゃん」

「がふっ」


 一撃だった。世の中は広い。


「よし、なら偉大な作品である大魔法峠に敬意を表して、魔法少女が麻雀で戦うというのはどうにゃん?」

「それ同じ作者の別作品と混ざってる。ついでに言うと、巫女さんでよければ咲がすでにやってる」

「きゅう……」


 御前崎もノックアウト。

 と思ったらひょこっと復活して、


「な、ならばもう、節操なく流行りのジャンルにすり寄るのがいいにゃん!」

「というと?」

「時代は艦これだにゃん! というわけでぜひ魔砲少女プラズマ☆イムヤの放映を――」

「怒られるからやめなさい!」

「でも、深雪が沈んだ! この人でなし! とか聞きたいにゃん?」

「なんの話だ!」


 きわどいことこの上ないのでやめていただきたい。


「結局八方ふさがりだにゃん……」

「まあそう簡単にヒットする企画は出せないってことだろ。

 ……つうか、なんでこの話になったんだっけ?」


 俺はまわりを見回しながら言った。

 早朝である。バイト先のコンビニには俺一人しか店員がいない。

 本来ならもう店長が来てるはずなんだけどな……と思いつつ、客も来ないのでぼーっとしていたら御前崎が来て、雑談しているうちにこんな話になったのだった。


「たしかアレだにゃん。ホビットの映画版で追加されたガンダルフのシーンの是非について」

「そこからどうやってあんなアホな話に転がってったのかわかんねえんだけど」

「わたしに聞かれても困るにゃん」


 まったくである。


「で、そもそもおまえなにしに来たんだよ」

「なにしに、と言われても困るにゃん。そもそも、わたしはここの店長にメールで呼び出されただけにゃん」

「あー、そういえば紹介したんだっけ。こんな早朝にしたの?」

「わたしはべつに早朝じゃなくてよかったんだけど、相手のほうが学校さぼっちゃだめだからって言って譲らなかったにゃん」

「そういうとこまじめだからなあの店長……と、噂をしてたら、来たぞ」

「え?」

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